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暴走の正体

「……わかりました、久遠姉様。やってみます」


「ええ。他のことは気にせず、存分にやりなさい」


「はいっ!」


 久遠の激励を受け、刹那は仙術の練習を再開する。ただし、今度は先ほどのように出力を最大限に絞ったものではなく、全力で。


「ん、くぅぅぅぅぅぅぅぅぅ」


「そう、その調子……暴走なんて恐れないで」


 草の上に正座し、膝の上に久遠を抱えた体勢で仙術を発動した刹那が髪と同じ白銀に輝き出した。先ほどは見られなかった変化だ。これは全力である証左なのだろうか。


「まだ私は手をつけてないけど、今どんな状態になっているか自分でわかる?」


「は……い、気が、わたくしの、中から外に出ようと、暴れ、回って……います」


 仙術を発動した刹那だが、その表情は苦しそうだ。暴走しそうなのを押さえ付けているのだろうか?


「そうね。気は自然のエネルギーだから、元の場所に帰ろうとしているの。まぁ、当然と言えば当然ね」


「は……い」


「暴れ回っているのは、あなたが押さえ付けているから、その反動よ。それはわかってる?」


「はい。ですが、そうしないと、すぐに、気が……抜けて、しまいます」


「そうね。だから押さえ付けるんじゃなくて、こうよ」


「うっ!」


 久遠は前足を刹那の胸にやり、何かを……おそらく錬丹術を使ったのだろう。刹那の表情が和らいでいく。


「っ、はぁ。……これは身体が楽に……」


「押さえ付けるのじゃなくて、身体中に廻らせるのよ」


「……ですが、これは……今は久遠姉様にしていただいていますが、わたくし単独では、気を廻らせることに気を取られてしまいますね。

 それに、気分が高揚しています。あの時ほどではありませんが……」


「気の操作は慣れるしかないわね。とりあえず瞑想でもして、呼吸をするように維持できるようになりなさい。

 気分の高揚も慣れるしかないわね。それは仙術で能力が底上げされたことによる、万能感が原因なのよ。直接的な仙術の作用ではないわ」


 万能感? それにしては、色々おかしかった気がするが……。


「以前は万能感では片付けられないほど、気が立ってしまったのですけど……まさしく、暴走という具合でした」


「それはさっきまでやってた、押さえ付けの反動で気が暴れ回っていたからよ。ちゃんと身体に気を廻らせていれば、そうなることはないから安心なさい」


 暴走の正体は押さえ付けの反動と、実力上昇による万能感の会わせ技か。

 前者はなんとかなりそうだが、後者は慣れる以外になんともしようがないな。

万能感で最も身近な物と言えば中二病です。

中二病を発症してしまうケースもあったりします。そう考えると刹那の暴走はまだマシな方だったり……

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