錬丹術
「錬金術って他に何ができるんだ?」
技術が足りてないから無理なら、技術を鍛えさせればいいだろう。
「私のは薬品とかの命に左右するようなものが可能ね」
「薬品特化か……。
そういえば、前に一本踏鞴が精合錬金がどうとか言ってたけど、何か関係ないのか?」
錬金術と聞いて、ふと以前一本踏鞴が言っていたことを思い出した。
確か炭を仲立ちにしてモンスター素材と金属を融合させて、効果を上げる方法だったかな。錬金とついている以上、無関係ではないと思う。
「それは錬金術の一分野ね。金属の精錬や合成に特化した分野ね。
私のはさっきも言ったけど錬丹術、薬品や生命力に特化した分野よ。一応、他の分野の錬金術もできなくはないけどね」
その辺りがいっしょくたになっているのがスキルとしての錬金術か。
まぁスキルを持っていても、活かすには知識が必要だ。一本踏鞴が鍛冶知識を予め持っていたように、久遠も錬丹術の知識を種族特性として持っていたが、他分野のものはあまり持っていない、と考えればいいのだろう。
「なぁ久遠、本格的に錬金術について学んでみないか?」
「う~ん、そうね……」
だが逆に言えば、知識さえ仕込めば、他分野の錬金術も可能ということになる。ならば逃す手はないだろう。
「とりあえず、錬丹術をきちんとモノにしてからね。当面の目標は殺生石を作ること。他の錬金術は殺生石を安定して作れるようになってからよ」
「そうか。じゃあ、ひとまず薬品作りを頼めるか? それなら錬丹術の練習になるだろう」
久遠がそう言うなら、無理強いすることはないな。今はやらないってだけだし。
「薬草類はコロポックルに任せるから」
「そうね、いきなり殺生石を作るよりも簡単な物からやった方がいいわね。元々片手間にはやっていたけど、本格的にやってみるわ。
材料は他にも生き血とか生物由来の物が必要だったりするんだけど……後で主に必要なものをまとめておくわね」
俺が知らなかっただけで、ちょこちょこやってたのか。久遠は時々、ふらっといなくなるからその時かな?
「ところでお兄様。私の話ばかりしてるけど、何か話があったんじゃないの?」
「ん、あ~……殺生石について聞きに来たんだよ」
話が一段落ついたところで本題について切り出してきた……が、あいにくさっきの話が本題だったんだよなぁ……。
「あら、そうだったの変な偶然ね」
「河童の尻子玉と同じように、魂に関する物って聞いてな」
こっちは話が早くて良かったけどな。
「魂に関する物……じゃないくて、魂に関する事でいいなら刹那に聞いてみるのもいいかもしれないわね」
……刹那が?