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「改造じゃなかったのか?」


 完成品をイジっただけなら、ここまで無骨にはならないと思うんだが……。


「まあ、作り直しに近いレベルになったからね。尻子玉も組み込めば、もう少し簡単に済んだんだけど、罠に使うのはもったいないし」


「確かに、そのまま持ち逃げされる可能性がある罠用妖刀に尻子玉はもったいないか。

 そういえば、操り易くするためって言ってたけど、それなら鎧とか籠手の方がよくないか?」


 手を放せば簡単に離れる武器よりも、身体に纏う防具の方が抵抗されても大丈夫な気がする。


「手放しにくくはなるけど、逆に装備もされにくいから、手を加えた物を用意するのは非効率だと思うよ。敵地のど真ん中で短時間とはいえ、防具を脱ぐなんて自殺行為でしかないもん」


 言われてみれば確かにそうだ。武器と違って防具の換装には手間も時間もかかる。必然的に持ち帰ってから、次の冒険で使うという選択になるな。そして次の冒険がうちとは限らない。


「……なら休憩場所でも作ってみるか。それなら脱ぐ可能性も出てくるだろ」


「その辺りは作ってみてからの判断かな。ある程度観察して、期待が持てるようなら作るよ」


「そうだな、その時は任せた」


「りょ~か~い」


 そうと決まれば、案を練るか。あからさまな場所だと侵入者も警戒するからさりげなく、それでいて利用せずにはいられないような感じで。……となると、難所の前か後がいいか。あとは各階層の入り口付近。


「……来たよ……って、ご主人もいたの」


「ん? ああ、百々眼鬼か」


「いらっしゃい、姉さん」


 どういう風に休憩場所を設置するか考えていたら、百々眼鬼が来た。そういえば、一本踏鞴がもうすぐ来るみたいなこと言ってたな。


「河童のところで尻子玉を分けてもらったから、届けに来てたんだ」


「……そう。私は刀を受け取りに来た。仕上げをするから」


「これがその刀だよ。あとはよろしく」


 そう言って、一本踏鞴が先ほどまでイジっていた妖刀を百々眼鬼に渡した。


「……ん、まかされた」


「それとこっちもよろしく」


 そして、先ほど俺が持ってきた尻子玉も。


「百々眼鬼に渡すのか?」


「うん、ご主人の妖刀に付けるための加工は姉さんがやってるからね」


「それなら、百々眼鬼に渡した方がいいか」


 一本踏鞴を挟む意味がないなら、その方がいいだろう。


「あたいもあたいで使い道があるけど……ご主人が優先したい方に渡せばいいんじゃないかな。

 今のところはあたいたちで話し合って分け合ってたけど、ご主人の意図に従った方がいいし」


「そうするか。でも、使い道はどういう風に違うんだ」


「う~ん、色々違いはあるけど、原型を残す加工が姉さんで、残さない加工があたいだよ」


 ふむ、一本踏鞴は金属に溶け込ます感じの加工かな?


「……これは、どうする?」


 方針が決まったところで、百々眼鬼が先ほど受け取った尻子玉について聞いてきた。


「それはお前の方でいいだろう」


「……ん、わかった」


 

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