改造
「ううん、そうでもないよ。魂の欠片って言っても搾りカスみたいな物だし」
「搾りカスって……」
「まぁ、それでも魂の欠片であることには変わりがないから、色々と使い道があるんだけどね」
「どっちなんだよ」
スゴいのかスゴくないのかいまいちわからん。
「河童さんたちがうまく抜き取れればスゴくなるし、下手だとそうでもなくなるよ。あとは抜き取られる側の問題もあるかな。ちなみに今のところはよくできた道具、って感じ」
なるほど。トドメの一撃で尻子玉を入手できるけど、より多くのHPを削り切ったらそれだけ良質の尻子玉になる感じかかな。
「河童たちの強化を優先した方が良いか? でも、河童たちにばかり負担をかけるのもな……」
尻子玉のストックは増やしたいがどうするかな……。殺していい侵入者は限られてるから、無駄にはしたくないし。
「そういえば、久遠さんも似たようなことができるんじゃないかな?」
「え?」
「狐妖怪には『殺生石』って、魂系の道具を作成する技能があったハズなんだけど……上位の狐妖怪だけかな?」
殺生石ね……。
腕輪から作成物のリストを出してみるが、そこには載っていない。以前尻子玉も同じ様に探してみたが、なかった覚えがある。
種族由来の道具は作れないのかね?
「ポイント消費では作れないか。久遠にちょっと聞いてみるか。
ところで、今は何を作ってるんだ?」
久遠には後で聞くとして、一本踏鞴はさっきから何を作っているのだろうか?
「作ってるって言うか、改造してるんだよ。ツグミさんから呼雷樹の実をもらったから、妖刀に組み込んでるの」
「電撃でも付与するのか?」
俺の武器は水奈と連携した水妖刀で事足りてるんだが……。小鬼たちにでも渡すのか? アイツらは基本的に轢き逃げしかしないけど。
「それもあるけど、電気信号を利用して所持者を操り易くするんだよ。あと、まだ途中だけど、刀としても性能が上がってるよ」
罠アイテムとしての強化か。性能自体が上がってるなら、拾うヤツも増えそうだな。
「よし、こんなところかな」
「できたのか?」
そうこう話しているうちに、一本踏鞴の手が止まった。手元を覗き込んで見ると、そこにはうっすら黄色掛かった無骨な刀が見えた。柄も鍔もない。
「ううん、あたいの担当箇所が終わっただけ。仕上げの砥や拵えは姉さんの仕事だからね。
姉さんはもうすぐ来るハズだけど……まだかな?」
それもそのはず、未だ未完成なのだから。
残りは百々眼鬼の仕事らしい。