交差法
すみません、少し遅れました。
「クケッケェー、クケッ」
「クケッケェー、ククケッ」
「「クケケ・クッケェー」」
──侵入者を撃破しました、838ポイント入ります。
二鬼の河童が盗賊とおぼしき侵入者を挟み撃ちで撃破し、ダンジョン内から全ての侵入者がいなくなった。
今は精霊天馬となった一角天馬がこのダンジョンに来てから、半月ほと経過したある日、河童のコクホウから見てほしい物があると呼び出されたわけだが……
「今のが新技か?」
「クケッ!」
「今までの尻子玉抜きと何か違うのか?」
俺の問いに元気よく頷くコクホウ。見てほしい物とは新技とのことだが、ただの二鬼がかりの尻子玉抜きにしか見えなかった。今回はは前後から股間へのアックスボンバーで挟み撃ちだ。
「クケクケ、クケケッ、クケ」
「ふむ、それで欠点は?」
尻子玉抜きはMPとHPをを最大値の三割消費する大技だ。それは二鬼がかりでも変わらず、二鬼両方が消費することになる。
だがコクホウによると、この尻子玉抜き改『交差尻子玉抜き』とやらは従来ものと違い、HP消費とMP消費をそれぞれで分担しているとのこと。
「ククケ、クク、クケケクケ、クッケー」
「威力の低下は当然だが、今まで以上に息を合わせる必要があるのか」
二鬼がかりの尻子玉抜きは相乗効果で威力が上昇し、最大で単体のものの三倍以上の威力があったのだが、交差尻子玉抜きは単体の五割増し程度の威力。単体と同じコストで五割増しはそれはそれでスゴいのだが、従来の半分以下に落ちている。
まぁ、それは状況に応じて使い分ければいい。だが、問題は後半だ。
「現状では夫婦か、お前のところの師弟の組み合わせでしかできないのか」
「クケェ」
組み合わせ固定だと、片方が撃破されたり、メス河童が妊娠したらアウトだ。例外は一夫二妻のハーレム河童のところだが、コイツらはシンクロ率が低くて、威力が他より低いらしい。確か従来のヤツでもコイツらの威力が低めだった覚えがある。
「しばらくは夫婦の連携強化を優先するか」
「クケッ!」
連携がよくなれば死ににくくなるし、交差尻子玉抜きの威力も高くなるだろう。コクホウも賛成している。
「クケ」
「クケケ」
そうこう話していると、交差尻子玉抜きをしていた二鬼がこっちに来て、尻子玉を差し出して来た。