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ついで

「六花、それは俺が言う言葉だ」


「そ、そこまでしなくてもいいよ!」


「……うん、やり過ぎ。頭を上げて」


「ニャンニャン」


「……はぁ」


 座礼をする六花だが、それは俺がするべき行動だし、やり過ぎ感もあるので皆で止める。……久遠だけはあきれているが。


「いえ、主さま、皆さん。それは違います」


「いや、話を続ける前に頭を上げろって」


 幼い容姿の六花に頭を下げさせたまま話をするのは精神衛生上よくない。


「……わかりました。

 こういう言い方は何なのですが、一本踏鞴さんや百々眼鬼さんは主さまの配下なので、主さまのためになることをするのは当然のことなのです。ですから、主さまは労いはしても、礼を言う必要はありません」


 六花は俺の指示に渋々といった感じではあるが、頭を上げて話し出した。

 いや、確かにそうだけどさ……。六花ちゃん、それちょっと厳しいと言うか、冷たくない? 雪女系の妖怪だから?


「ですが、それとは別に、わたし自身の気持ちとして……主さまの窮地を救っていただいたことに対する最大限の感謝として、頭を下げさせていただきました」


 ……冷たいだけじゃないか。


「あの……それなら、あんなに厳しい説教はしなくても良かったんじゃ……。いや、もちろん反省はしてるよ。してるけど、もうちょっとマイルドでも良かったんじゃないかな……って」


「それとこれとは話が別です。わたし個人の感情と、主さまへの忠誠は比べるようなものではないのです」


「あ、はい」


 お説教をもろにくらった一本踏鞴が遠慮がちに反論したものの、六花はバッサリ切り捨てた。

 冷たくはないけど、なかなかドライだよね。


「さぁ、それそろいいかしら?」


「どうした久遠?」


 場が落ち着いてきたところで、先ほど一鬼ひとりだけ六花を止めなかった久遠が口を開いた。


「いや、もともとの予定では、この娘たちへのお仕置きの後にこの鉱山の運用法を話し合う予定だったでしょう」


「そういえばそうだったな。一本踏鞴を呼び出したのはお仕置きよりも、そっちがメインだったし」


「えっ、あたいってそんなついでみたいな感覚で、あんなお説教されたの!?」


 残念ながら、ついでみたいじゃなくて、ついでそのものだ。

 鉱山だから鍛冶知識があった方がいいかな、って思った時に妖刀をスリ取られていたことを思い出して、丁度いいから百々眼鬼共々呼び出してお仕置きすればいいや、って考えただけだからな。

とんだ「ついで」もあったもんです

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