転生
昨日、藤原ここあさんの訃報を聞いてからガチ凹み中。テンションが上がらない。
アンデッドに関する話を書くのが少しツラい……。
「……は?」
「どうしたの、お兄様?」
「いや、腕輪にはダンジョンマスター同士の交流を図る機能があるんだが……」
「あ、主さまちょくちょく腕輪をいじってるのはそういうことなのですか」
「ああ、そこで不死一般人について質問したら、ちょっと予想外の答えが返って来てな」
「ニャア?」
久遠だけでなく、六花たちも不死一般人のことが気になるのか、『ダマれ!』を見ている間に周りを囲んでいた。
「なんでも、不死王のなり損ないなんだと。転生の儀式に成功しても、実力不足だとああなるらしい。儀式そのものは成功してるから、本人は自分は不死王だと思っているらしい。
かなり劣化しているけど、不死王の真似事ができるから、気付けないみたいだな」
さすがにちょっと同情したくなるな。
罪禍の軍勢とやらも、本当なら極めて強力な能力らしい。本来は女王・君主、闘士、騎士、術師、兵士という五つのクラスに振り分けられた、アンデッドモンスターを使役するスキルなんだとか。少なくとも、威嚇攻撃の一撃で砕け散るようなモンスターを生み出すスキルではないとのこと。
「儀式に成功しても、自分の実力不足で結局は失敗って憐れね」
「むしろ、儀式そのものが失敗して…………」
失敗してた方が良かっかもな、と続けようとしたが、『ダマれ!』の書き込みが目に入り、ふとある考えが思い浮かんだ。
「お兄様?」
「ちょっと待て、少し調べたいことができた」
「ええ、わかったわ」
腕輪のウィンドウを『ダマれ!』から検索に切り替え、転生儀式を調べていく。
書き込みによると、ダンジョンの存在はポイント消費で転生儀式を安全に行うことができるのだとか。人外マスターの大半はこの儀式で成っているらしい。
ダンジョンマスターのことはさておき、この転生儀式、消費ポイント次第と儀式を受ける者の資質次第だが、たいていのものになれるらしい。
「……あった、『精霊転生の儀』」
「……精霊転生? 誰か、転生するの?」
「ヒン?」
「転生するのはその一角天馬だ《アルミューン・ペガサス》だ。精霊馬という死者の魂に干渉できる馬へと転生させる。もちろん一角天馬自身が同意すればだけど」
直接、精霊馬を作成してもいいが、一角天馬を転生させた方が話が早いと思う。……それに一角天馬は自身の手で主を解放したいだろうし。