フルボッコ
〔くけっ?〕
〔けぇ~?〕
〔くぅけ!〕
〔〔〔くけっ〕〕〕
〔なっ、こ、こら何をする貴様ら! やめろ! 蹴るんじゃない!〕
子河童たちが目の前に飛んできた頭蓋骨で遊ばないわけがなく、相談の結果サッカーをやり始めた。
〔た、助けよ、我が眷族よ。あ、こら、やむ……たっけてぇ~!〕
すぐさま二チームに別れて頭蓋骨を奪い合う子河童たち。リフティングドリブルからのノールックのヒールパス、そしてダイレクトにトリプルアクセルシュート。しかしパンチングで弾くキーパー。
遠慮なく蹴りまくる子河童たちに、一般人はたまらず配下に助けを求めた。
〔しゅぁ~♪〕
〔しゃ、しゃぁ……〕
〔…………〕
だが、その配下はツバキとナギサがきっちり抑え込んでいる。
ツバキが糸を張り巡らせて動きを封じ、小さなナギサがその間を縫うよ攻撃をしかける。アンデッドには毒が効かないので、ナギサの真価が発揮できないが、その身の丈に合っていない怪力だけでも十分強い。比較対象が雑魚なので、はっきりとは言い切れないけど。
こやし直撃だけで爆散するくらい弱いもんな……。
とはいえ、動きは悪くないので、ツバキとナギサはそろそろ実戦に出してもいい頃だ。……子河童も動きだけなら悪くない。ないんだけど、精神的な部分で不安が残るんだよな……。
と言うか、あの動きは何事なんだよ。短足な河童にはできそうにないスーパープレイばっかなんだけど。
〔キャンッ!〕
あれ、あれは犬神?
子供たちの動きについて評価していると、なぜか犬神までやってきた。
「……ふぅ、ただいま、パァパ。…………? どうか、したの?」
「ああ、お帰り。
いや何でか犬神まで一層に行っているからな。何か知らないか?」
「……森にいたけど、骨の匂いがするから、って、向かっていった」
ちょうど水奈が帰ってきたので、何か知らないか聞いてみたところそんな答えが返ってきた。
〔キャンキャン♪〕
水奈の言葉を裏付けるように、骨に突撃をかける犬神。狙いは一般人の残った首から下の身体。微々たる差ではあるが、どれがこの場で最も価値がある骨なのかわかっているようだ。
まぁ、いいか。そのうち犬神もダンジョンに出そうと思ってたし。……あれ、そういや犬神って物理攻撃できたっけ? 確かアイツは霊体だったと思うんだが……。
〔キャウ~ン♪〕
そんな俺の疑問を他所に、一般人の大腿骨を咥えてご満悦の犬神。
アンデッド同士だから攻撃が通じるのかな?
親河童は格闘系ですが、子河童はスポーツ系です