不死王(笑)
聞き間違いだとマズイのでメッセージログを確認してみたが、聞き間違いではないようだ。
……ふぅ。さて、どこからツッコもうか?
まぁ、(笑)についてはこの際スルーしてもいいだろう。ダマれ! でも付けられてた人がいたし、システムの仕様だと思えばいい。
それより不死一般人って何よ? 本人は自分が不死王だって名乗ってたけど詐称か? ……いや、本当にそう思い込んでる可能性もあるか。
次に不死従者(笑)改め、不死雑魚。名前もひどいが、レベルもひどいな。整数以外のレベルなんて初めて見たし、一に届いてないのは何事だ?
〔さあ我が眷族よ、進軍するがよい!〕
〔…………〕
不死一般人が号令をかけると、不死雑魚たちはカタカタと音を立てながら一斉に動き出した。……が、かなり遅い。ぬかるんだ地面に足を取られている。……比喩表現じゃなくて、本当に足を取られて分離したヤツすらいる。
脆いな。剣や槍など、一通りの装備を持っているが、どうもその重さに骨身が耐えられていないみたいだ。……雑魚の名に偽りなしか。
〔くけっ?〕
〔くけけっ?〕
〔くけぇ~?〕
〔何者だっ!?〕
遅々とした進軍を続けた不死一般人一行の前に複数の人影が現れた。……何かを手に持った子河童たちだ。
いや、お前ら何しに来たよ? まだ成長しきってないから、戦闘時には迷宮区じゃなくて生産区の方にいるように命令していただろ。
……いや、でも丁度いいか。
「水奈、生産区の湖畔にいるツバキとナギサに一層に向かうよう指示だ。あと、コクホウたちと三層の蜘蛛夫婦に子供たちの初戦闘だと伝えてくれ」
「……うん、わかった」
ツバキとナギサも向かわせて、戦闘訓練をすればいいだろう。どう見てもザコなので、子供たちの生贄にピッタリだ。
〔ほぅ、矮小なる小妖怪か。このような者が尖兵とは、このダンジョンとは小規模のようだな。地形から見ても、ダンジョンというものを使いこなせていないようだ。ますます我が物にして有効活用してやるべきだな。
行け、我が眷族よ。数においても質においても我らが上だ、蹂躙するがよい!〕
〔…………〕
〔くけ?〕
〔くっけ〕
〔くけくけ〕
〔〔〔くけっ!〕〕〕
子河童たちと対峙した一般人は雑魚たちに攻撃を命令。雑魚たちは子河童たちに向かって駆け出した。
子河童たちは少し相談したと思ったら、手に持った物を一斉に投げつけた。
〔これは……獣の糞か〕
河童名物こやし投げだ。
〔ふっ、愚かな。命ある者ならば効いただろうが、死を超越した我らはそんなもの怯みはしない!〕
そうか、アンデッド系にはこやしは効かないのか……。
一般人の言った通り、こやし投げの直撃を受けた雑魚は怯むことなく…………砕け散った。
…………あれ?