不死の王
聞き間違いか?
メニューを操作してメッセージログを確認してみたが、そこにはアンデッドモンスターの侵入と書かれていた。
「刹那、とりあえず状況を確認したいから、聴覚を繋いだら急いで一層入口に向かってくれ」
「ニャア」
まずは感覚共有ができる刹那を派遣して、情報を集める。
状況を確認今までにない状況だから、慎重に手を打たないとダメだな。単なる野良アンデッドならいいんだが、アンデッドはイメージ的に誰かに使役されていそうなんだよな……。まぁ、アンデッドが彷徨く状況ってのは、それはそれで問題がある気がするけど。
「六花は一層が突破された時に備えて二層で待機だ。雪山にしてあるからナマハゲたちと連携してくれ」
「はい。了解しました、主さま」
「久遠は一層の出口。コクホウたちと侵入者を迎え撃つ準備だ」
「わかったわ、お兄様」
「水奈はさっきの戦いで消耗してるから俺とここで待機な」
続いて六花たちにも指示を出して送りす。戦闘には参加していなかった久遠と六花はともかく、色々と無理をした水奈は今日はもう戦闘に参加させない方がいいだろう。
「…………うん」
だが、水奈は自分だけ役に立てないのが悲しいようだ。目に見えて落ち込んでいる。
「……まぁ、伝令は任せることになるから、そうしょんぼりするな」
「……パァパ」
〔ニャニャーン〕
「刹那か、見つかってはいないな?」
水奈の頭を撫でて慰めていると、刹那から感覚共有を通して声が来た。
〔ニャア〕
「よし、それなら視界も繋いで、声が聞き取れる距離まで近づいてくれ」
〔ニャン〕
刹那からの返事と同時に片目だけ視界が切り替わった。
「これは……骸骨の群れ? 狂骨か?」
いや、なんとなくだが、妖怪とは別種の存在に見えるな。
一体だけ、他より装いが豪華なのがいるが……あれがリーダーか?
〔先ほどまで森にいたのに、突然湿原とは……まさか、ここはダンジョンか?
フハハハッ、転生直後にダンジョンを見つけることができたとは幸先がいい。近くの町を襲い拠点にしようと思っていたが、こちらを乗っ取る方が良さそうだ!
聞こえているかは知らんが、ダンジョンマスターよ、このダンジョンは我がもらい受ける! 代金として不死王の力を見せつけてくれよう!〕
不死王ってあれか? アンデッド系モンスターの最強の一角と名高いあの不死王か?
待て待て、そんなの相手になんて……
──詳細
不死王(笑)・不死一般人レベル1。
不死従者(笑)・不死雑魚レベル0.5。十五体。
……案外勝てるかも知れない。