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死者の声

 我がダンジョンで一番頭の痛い問題と言えば凶骨になる。戦力として見るなら非常に優秀で、いざというときの起死回生の手段になるが、暴走のリスクが怖い。……常に暴走状態だからリスクと言うよりはコストと言った方が正確か。

 現状では平時はガチガチに封印して、本当に危ないときに解放するくらいしか手段がない。それも再封印が面倒だけど。


「なんとかできるのか?」


 マスタールームに戻り、腰を落ち着けたところで天馬に切り出す。

 起死回生の手段にはなるが、普段から気を使わなきゃならんし、使用後はこっちもピンチになりかねん諸刃の剣だから、なんとかできるのならなんとかしたい。


「ヒン、ヒヒーン」

「……もしかしたら、一つだけ、だけどあるみたい」


 天馬の嘶きを水奈が通訳して俺に伝える。

 もしかしたらで一つだけね……。


「なぜお前は自分でその方法を実行しない?」


「ヒィーン、ヒヒィーン」

「それは、その方法そのものが、特殊なもので、自分にはできない、って」


 曖昧な表現に引っ掛かりを覚えて問い質したところ、そんな答えが帰って来た。

 特殊ね。


「その特殊な方法とやらが当方には可能だと?」


「ヒヒン」

「可能性はあります、だって」


「で、その特殊な方法とは?」


「ヒヒィーン、ヒン、ヒヒン、ヒンヒン」

「今は亡き、主の想い人、の姫の言葉であればあるいは、って」


 まぁ、確かに凶骨の恨みやらなんやらはその姫とやらに根差した物っぽいから、理屈としてはわかるが……自分で今は亡きって言ってんじゃん。


「死人の言葉を伝えるのは……」


 無理と言い切ろうとしたその時、ある人物の名前が頭に浮かんだ。

 その人物は自ら手での理想の嫁を創り上げた猛者。その腕前はとどまるところを知らず、人工生命体に妊娠能力を搭載させることに成功したとか。

 その名は『輪廻を超えし生命王』さん。

 彼が人工生命体の嫁に妊娠能力を搭載させた時の研究対象に、死霊術というものがあった。つまり死んでいようとも、魂に干渉できれば何とかできるかもしれない。


「なるほど、可能性だけの話ではあるが、不可能ではないだろう」


 ただ俺にできるかは別問題。ちょっとやれるかどうか調べてみないといけない。

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