詰問
「…………むぅ」
「……思いの外、あっさり終わりましたね」
「ああ」
凶骨を閉じ込めた熔岩は車妖怪たちを呼び寄せて火炎陣を描かせたら、狙い通り陣が熱を吸収して固まった。
「なんと言いますか……その、わたし結構頑張ったのですけれど……」
「……ん」
それこそ、俺や水奈、そして六花が必死こいて頑張ったのは何だったの? ってくらいあっさりと。おかげで水奈はむくれてるし、六花は見た目十歳くらいなのにも関わらず、人生に疲れたような表情になっている。
まぁ、火炎陣が熱吸収できることを忘れてた俺が悪いんだけどな。
ちなみに、火炎陣の発動で生まれた炎は車妖怪たちが吸収して、元気に走り回っている。
「ふう、なんとかなったわね」
「ったく、面倒なやつだったな」
凶骨の封印が完了し、安全になったのが確認できたからか侵入者の二人がこちらにくる。
さて、コイツらの処遇も考えないとな。
「まったく、アイツのおかげで魔力がすっからかん。なんとか帰るために使う分を絞り出せるくらいよ」
「俺もかなり疲れたな」
今ならコイツらを殺るのも簡単だが…………まぁ、それはなしだな。女の方は冒険者ギルドの人間だし、男の方も貴族のボンボンらしい騎士を持って帰ってもらわないと厄介なことになりそうだし。
「ねぇ、その娘は何者なの? キメラに乗って来たみたいだけど……」
「……主さま? こちらの方はどなたなのですか? なにやら親しそうですけれど」
近づいて来た女は、ツグミに乗って現れた六花が何者なのか気になるようで質問してきた。だがそれに答える前に、その様子を見た六花がツッコんで来る。
六花ちゃん? なんか妙に視線が冷たいけど何事?
「主さま……って、もしかして奴隷? 黒髪だからアマトの血縁なのでしょうけど……。でもアマトの人間はこの辺りだと傭兵くらいしかいないし、でもこんな女の子は見てないし、誰かが拐われたって話もないし……」
六花の冷たい視線にビビっていると、女は六花の『主さま』呼びに勝手に納得したらしく、ぶつぶつと何か考え出す。 お~い、質問したならせめて答えくらい聞けよ。
「主さま?」
「あ、ああ、単なる侵入者だ。ちょっと同情したくなることがあってな、それで少し話しただけだ」
「……その話、あとで詳しくお聞かせください。とりあえず今は聞くべき場ではない様なので」
六花の催促にしどろもどろになりながら答えていると、六花は納得したわけではなさそうだが、俺から視線を逸らしながら一旦保留にする。
「あなたはいったい何をしているのですか?」
そして、視線を逸らした先、俺の背後を睨み付けながらそこにいる奴に詰問する。