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2014.02.24 細かい文章表現を訂正しています。

翌朝、まどかが予鈴ギリギリで教室に入ると、クラスメイト達は一瞬横目に過ごすも昨日のような不穏な空気を醸し出す事はなかった。

まどかは一晩中、高校生という仕事をしているのだと自分に言い聞かせてきて、教室でひとり浮いてしまっても何てことはないんだと身構えていたので、肩透かしをくらった気分だ。

自席へ向かえば、すでに前の座席には名越がいてまどかに気づいた。

「よお。さすがに休むかと思ってたんだけど。良かった。」

昨日は否でも応でも恋を自覚させてくれた名越が、あっさりとした明るい態度だったのでまどかは気抜けした。

名越の心境は分からないが、特にこういう公の場でフレンドリーに接していただくと本当に助かる。

「まあね。今日休むと本当にヤバいから。」

「今日?何かあったっけ?」

まどかは普通に会話が成立していることにホッとしつつ、後ろの席の舞が机に突っ伏しているのが目に入った。

「数学だよ。テスト範囲をちゃんと聞いておかないと。」

「ああ、もうすぐテストだしな。赤点取るとまた沼田から呼び出しくらうぞ~。」

「それは嫌。猛勉強するよ。」

続けて話しかけてくる名越に目配せで応じながら、後方で全く顔を上げようとしない舞の様子が妙に気になった。

いつも舞の隣には希美がいるからだ。

ケンカでもしたのだろうか、その希美といえば自身の席に座っておりこちらの様子をうかがっている。

この二人に関しては仕事の上で大事な情報源ではあるが、単純に心配である。

「数学、教えてやろうか?」

「ううん大丈夫。ありがとね。」

話は一区切りついたとばかりに席を離れて行くまどかへ、名越がもどかしげな視線を送る。

さらにその後ろではひっそりと顔を上げた舞がその様子を見ていた。


一時間目が終わると名越はまどかにまた話しかけてくる。

後ろで立ち上がる音がしたので振り向くと、舞がかばんを持って足早に教室を出て行こうとしていた。

希美によると舞は生理痛による体調不良らしいのだが、今までこんなに不機嫌になることがなかったようで、気遣っても放っておいてほしいと言われてしまったらしく、いつもあっけらかんとしている希美が落ち込んでいる。

希美が近づいてダメなのであれば、付き合いの浅いまどかなら尚更拒絶されることだろう。

一人で帰宅できるのだろうか。

まどかの舞を心配する気持ちに、他意はなかった。


放課後、名越がどこかへ食べに行こうと再び誘いをかけてきたが、希美とファーストフード店に行く約束を口実にやんわりとお断りした。

希美と一緒に学園を出て店に到着すると制服姿なのは同じ学園の生徒くらいのもので、会社員やその他の客層がほとんどだ。

近くに高級住宅街が並ぶので、この類の店によくありがちな、夕方になると学生だらけでごった返しごちゃごちゃしているという光景は見られない。

店の看板等も街の景観を損なわないよう落ち着いた配色にしてある。

まどかはこの近辺の地理には詳しくないのだが、前の職場や取引先の人間と出会う事があるかもしれない為、希美に怪しまれないように黒目を左右に動かしながら席につく。

対する希美はトレーを置いて座ると背筋を正した。

「ちゃんと謝れてなくてごめん。プロフのことでは本当にごめんなさい。」

「え。ああ、もういいよ~。同じ状況におかれたら誰でも同じ事しちゃうよ。」

プロフ上でまどかの悪女伝説が蔓延していた時の話だ。

プロフの友達リストには舞も希美いたのだが、一方的に友達削除した事を、希美は申し訳なく感じているようだ。

「私たちあんなひどいことしたのに、まどかは何でもない風に話しかけてきてくれてさ。普通怒るよ?っていうか、本当は怒ってて復讐考えてるとか!?」

「ええっ!?そんなつまんない事やるヒマないって!私成績やばいの知ってるでしょ!特に数学ね!」

希美は両目をぱちくりさせた後、笑い声をあげた。

「ほんとだ!あっはは!」

「そうそうそれでいいの。ネットよりも大事なのは現実なんだからね。」

まどかは諭すように言いつつポテトフライに手をのばした。

「その落ち着き、あの子にも分けてやりたいな。」

ボソッと小さくつぶやいた希美の声は、希美の後ろから聞こえてきた他の客の笑い声にかき消される。

希美は身を乗り出して拳を突き出した。

「うん!じゃあ!お言葉に甘えて話題を変えます!!名越君とはどこまでいったの?」

まどかは名越というワードを耳にしただけで心に淡い緊張が走る。

さらにどこまでいっただなんて、そういう言われ方をしてしまうとまた名越の事を異性として意識してしまいそうだ。

まどかはポテトフライを手にしたまま、息を吸い、そして細く長く吐いた

更新速度がそろそろ元にもどりそうです^^

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