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夢のカケラ  作者: みや
夢のカケラ
2/85

2.

その日の晩に、変な夢をみた。

私はいつも通り塾に通っている。

そこで、アルバイトの先生と話している。

とても話していて楽しい。心が騒ぐ。



「果歩ちゃんってさー、○○で△△ってどうして?」



私は思わず黙り込んで俯いてしまう。

なにを聞かれたのか分からない。

でも心の傷を掘り返されるような、そんな気分になった。

そんな私を心配そうにみつめている先生。なんとも奇妙な光景。

先生が何か言おうとしているところで目が覚めた。





変な夢だった。だいいち、あの先生とは普段まったく喋らない。

とても明るい先生で教え上手。生徒たちからも人気がある人だ。

そんな先生がどうして私と話しているのか、どうして一緒にいて楽しいと思ったのか。

わけが分からない。

モヤモヤとした気分を抱えたまま、私は塾に向かった。







塾に着いたのは12時半ごろ。

次の授業は、14時半からだから生徒は誰もいなかった。

いま流行りの個別指導の塾である。

コンビニ2個分ぐらいの広さで、あまり広くない。


「…はやく着きすぎたか。」

私は適当な場所に座ろうと、周りを見渡した。



すると、あの人がいたのだ。



「あれっー、果歩ちゃんだ!来るのはやいねー!勉強熱心だねー!!」

昨日の夢に出てきた先生だ…。これは偶然なのか。




「なにブツブツ言ってるのー?一緒にご飯食べない?」

普段だったら断るところだ。

けれど、昨日の夢が気になった私は先生の近くに座った。




生徒が勉強するところのすぐそばに、先生が休憩する場所がある。

そこで生徒たちは、先生と団欒したり、分からない問題を教えてもらったりしている。

その場所には生徒がたくさんいて、私は絶対行かない場所である。

授業外で先生と話そうとは思わない。

みんなは何を話すのだろう。不思議で仕方がない。





「いやー、寝坊したって思って慌てて起きて塾に来てみたらさー!

12時半で。暇すぎて仕方なかったんだよねー!」

「このバイト終わったあと、家庭教師のバイトあるんだー!忙しいなー!!」

「今日もいい天気だよねー!!!こんな日は海いきたいよなー!!!!」





はぁ…とか、そうですね…しか言ってないのに、次々と喋る先生。

どうしてこんなに喋れるんだろう。





「…先生ってよく喋りますね。すごいです。」

「よく言われるよ。でも逆に俺は不思議だけどなー。

果歩ちゃんがどうしてそんなに心を閉ざしちゃっているのか。

辛そうにしているのか。助けてほしいのに、どうして誰も気づいてあげてないのか。」




この人はいきなりなにを言いだすのか。




「果歩ちゃんってさ、人を信じることを諦めちゃったのってどうして?」

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