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ヴェイド  作者: 片桐渚
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第七話~模擬試合

今回もこのページを開いてくださり、ありがとうございます。

少しでも楽しんでいただければと思います。m(__)m


 アーテナは帰国した翌朝に、フロウと国内の居住地区で出会った。

「おはよう」

「おはようございます」

アーテナの礼に対し、フロウも丁寧にお辞儀を返す。

 続いてフロウの肩に乗っている聖獣が明滅した。

「ブルーもおはようって」

(名前を付けたんだ……)

「ブルーもおはよう」

 挨拶を終えて二人が歩き始めると、遠くにシーナの姿が見えた。

「シーナはまた狩りかな?」

「かり?」

「うーんと、国外にいる魔物の中にも、調理をするとおいしいやつがいるから、それを倒してくる」

「そうなんだー」

「おーい、アーテナ~!」

 フロウに狩りについて話していると、シーナがこちらへ走ってきた。

「おはよう」

「おはよう。徹夜?」

「いや、違うよ。きちんと寝たから」

「そうか。それならいいけど」

「フロウとブルーもおはよう」

 シーナはしゃがんでフロウ達に挨拶した後、立ち上がると二人を眺めるようにして見てきた。

「今日は二人で何をしているの?」

「いや、特には何もないからぶらついているだけ」

「そっかー。用がなければ、久しぶりにアーテナと一戦交えたいなと思っていたんだけど……」

 とシーナが呟いた瞬間、

「突撃の聖騎士と七色の放撃手が戦うのか!?」

「何! 本当か!?」

 それを聞いた周りの商人が大声で言ったため、たちまち辺りが騒ぎになりそうな雰囲気になっていた。

「どうする?」

「いや、どうするって言ってもね……」

 シーナは思いもよらない騒ぎに困惑しながら聞いてくるが、アーテナにもどうしたらいいのか分からない。

「模擬試合してみる?」

(フロウは戦闘を嫌がるだろうけどなぁ)

「それしかないか……」

 アーテナはフロウを見て戦闘を避けたいと思うが、それ以外に選択肢がないと諦めて承諾する。

「じゃあ、特別訓練場に行こう」

「わかった」

 そこで、シーナは息を吸うと――

「みなさん! これから、特別訓練場にて三十分後にボクとアーテナが模擬試合をします。興味のある方はどうぞ―!」

 ――シャウトした。

「おい! どうして、そんな大声で言うんだ!」

「だって、もうすでに大騒ぎだからさ。鎮めるにはこれしかないよ」

「確かにそうかもしれないが……」

「後、口調が騎士モードになってるよ」

アーテナは抵抗しようとしたが、気にしていることを小声で言われて言葉に詰まっている内に、シーナは勝手に話を進めていった為、辺りは賭けまで始まっている有様で、いまさら引けない状態となっている。

(どうしてこんなことに……)

「?」

 そして、周りから歓声が上がっている中、フロウはただ一人状況が分からずにいた。


三十分後、アーテナとシーナは特別訓練場にいた。

 ――しかし名前とは裏腹に実際は決闘場である。

『さあ、みなさん。お集まりいただきありがとうございます。今回戦いますのは、突撃の聖騎士こと――アーテナ=アイギス=ニーケと、情報が一切謎に包まれたままの七色の放撃手――シーナだ~!!』

(その呼び名は止めてくれ)

 突撃の聖騎士という呼び名は、アーテナが槍を使っていた時に風の身体強化状態で突貫したことから来ているのだが、アーテナはその呼び名が嫌いだった。

(本当に、どうしてこんなことになっているんだ?)

 二千人は収容できると言われる観客席は満席となっていて、立ち見の見物人まで出ている。

『今日はどんな戦いを見せてくれるのか―!』

(みんな、すごくやる気だ……)

 シーナは自分の実力を見せることを極端に嫌っている。その為か、本当は銃と剣を混ぜた戦いが得意なのに、神経毒などの薬を塗った投げナイフを使って、相手の動きを封じる戦いをしていることが多い――それでも十分な技術の為、周りからはそれがシーナの戦いと勘違いしているが……。

 そんなシーナがいつものボーイッシュな笑みこそ浮かべてはいるが、深緑色の軽装の腰に細身の剣――レイピアを引っ提げている。

(この分だとマントの中には二挺の拳銃が隠されているんだろうな)

 だが、そんなにもシーナが本気な理由がアーテナには分からなかった。今回は身内どころか、国内の半分近くの人が見に来ているのではないかという騒ぎだから、ここで本気を出してしまえば、今まで実力を隠していた意味がないからだ。

『おーと、ここで王国騎士団団長殿のお出ましだー!!』

 アーテナはそれが信じられず、実況の隣にある特別観客席を二度見したが、間違いなく騎士団長だった。観客も騎士団長を見ることができるとは思っていなかったのか、ざわつきが一層大きくなっていた。

(ち、父上……何故このような場所へ?)

 そして、さまざまな疑問を浮かべていると、前方にいるシーナの雰囲気が変わったのが分かった。

 先ほどまでの笑みもすっかり消え、真剣な眼差しでこちらを見てきている。

 アーテナはシーナが底知れない人物だと思ってはいたが、まさか騎士団長まで動かせる程とは思ってはいなかった。

(シーナ、お前がやったのか?)

 しかし、もとよりあっさり負けるわけにはいかないと思ってはいたが、負けることすら許されない状況となってしまった為、剣を握る手にも自然と力が入ってしまう。

『それでは、栄光ある騎士団長より一言頂きたいと思います』

『騎士に敗北などありえない! ましてや、聖騎士ともなれば尚の事! だがしかし、対戦者には、それを潰す意気込みでやって欲しいと思う!』

 団長は実況役からマイクを受け取ると、ハウリングしそうな迫力で言い放った。

『……流石は騎士団長。迫力のある激励の言葉でした……。えー、今回は王国騎士団からの応援により、回復魔法使いが数名会場入りしているそうです。よって、故意にやらない限りの殺害は許されますので、全力で戦ってください。では、構え。』

(まさか、実況役が試合進行までするとは思っていなかったが……)

『試合開始!!』

 アーテナは驚きを隠し、剣を抜き放った。

読了ありがとうございます。m(__)m

今後ともよろしくお願いします。

シーナとの一戦がどうなるのかは、僕自身が現在悩んでおります。

どうしたものか?

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