こういう友達欲しかった
自分の欲望丸出しで書きました。
「翔磨〜? 起きてる〜? 入るよ〜?」
鬱屈とした講義から解放され、冷房の効いた部屋でダラダラと愛しのカード達と睨めっこをしている最中、愛莉は今日もやってきた。
「はぁ……どうせダメって言っても入ってくるんだろ。どうぞどうぞ入って下さいまし〜」
「やあやあやあ! あなたの愛しの愛莉ちゃんが来ましたよ〜っと、さて、早速今日もやるよ!」
ショルダーポーチから勢いよくデッキケースを取り出し、慣れた手つきで俺のプレイマットを広げる愛莉。
入学初日でお互い決闘者だと判明してから仲を縮めるのに時間は掛からなかった。
テキパキと準備を進める愛莉の勢いに流されるまま、俺も自分のデッキを取り出す。
「……っ、はぁぁぁぁぁぁぁ……。セット」
「悪いな愛莉。俺は初手にうららを引き込んだとだけ先に言っておく」
「んんんんん………っだぁ、バレてるかぁ。まあ打つけどね。はいゴードン」
「おう、残念だったな」
最早このやりとりも慣れたものだ。
知り合ってから初めての決闘でいきなり結界像メタビ使ってきた挙句煽り散らかしてきた時は正気を疑ったが、幸いサンボル羽箒を握っていたため手が出る事は無かった。まあ代わりにこちらが涙目愛莉の平手による直接攻撃を受ける羽目になったわけだが。
ただそれから打ち解けるのは早かった。平手から土下座の特殊敗北を見せつけた愛莉だったが、今となっては互いのプレイングの癖が明け透けになるほど決闘している。
「せっかく私が極上のファンサービスをしてあげようっていうのになんで都合良く超融合で拒否るかなぁ」
「エクストリオ最終戦士はファンサじゃないが? 拷問だが? 事実上の極刑だが?」
「ぶーぶー、良いじゃん私は気持ち良いんだからさー」
こいつはナチュラルにこういう事をするやつだ。仲間内であろうが己が気持ち良くなるためなら平気で友情崩壊コンボを決めようとしてくる。そのくせ愛莉は大会にはそこまで興味が無いという本当にタチが悪いタイプだった。
現に持っているデッキを一通り見せてもらったが、メタビに始まり壊獣カグヤ、満足ハンデス、挙げ句の果てには3種の先行ワンキル、おまけの超絶先行制圧というこの世の地獄を煮詰めてもまだ足りないであろうラインナップが揃っていた。
「えー、どうせやるなら徹底的に気持ち良い盤面作りたくない?」
愛莉の口癖はいつもこうだ。自分が楽しむためならそのための努力を惜しまない。ここだけ切り取ればとてつもなく良い人間に見えてくる。実際大学の成績も上位常連。GPAも4以上を維持し続ける化け物だ。
ただそれはそれとして凶悪極まりないコンボを嬉々として披露してくるのだからどうしようもない。地元から離れた大学に来たのも、高校時代に通っていたカドショのフリーでも悉く干されていたかららしい。
まあ、最初の夏休みにはここら一帯のカドショでも干される始末となってうちに転がり込んでいる訳だが。
「ねえ翔磨。今日はこのまま泊まってっていい?」
「どうせそんな事だろうと思ったわ。出前取る。何食いたい?」
「んー、んー、んー、出前かぁ、私今お寿司の気分かも」
「あいよ」
適当な出前寿司を注文する傍らで、愛莉は今度の店舗大会に向けてデッキの調整をしている。普段の嫌らしいデッキを使う時とは別物の真っ直ぐな視線。その実目線の先に広がっているのは罠型メタビバーンとかいう地雷とも呼べない呪物なわけだが。
ただそれを平然と持ち込もうとする胆力は俺も見習うべきかもしれないと思わせるような力強さがある。
「今度の大会さー、優勝したら私のお願い聞いてくんない?」
「おー、限界大学生に叶えられる範囲なら良いぞー」
茜の差す静かな室内にはシャカシャカとスリーブの擦れる音と、どことなく心地良い空気感が流れていた。
好きなデッキ発表ドラゴンが好きなデッキを発表します。60ワイト、60ノイド、エンドフェイズが実質メイン3なやつ。




