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魔女シュワレチェ・デ・ヴイヴィリオーティカ(図書館の鼠)

■シュワレチェ・デ・ヴイヴィリオーティカ

ルーマニア出身


彼女の村では、ある年、誰かの黒魔術の失敗により、

多くの娘達が知性なき吸血鬼になった。

その運命は「娘である以上、絶対に回避できない」と、

村の偉大な賢者は言った。

だがしかし、彼女だけは勉強家であった為、

知恵を使い、吸血鬼になる呪いから逃れる事が出来た。

彼女は吸血鬼となった仲間達の眠る屍を実験材料にし、

一流の魔女となった。

実験中に、屍の一人が言った。

「なぜ、私達は皆、吸血鬼になったというのに、

あなただけはその運命から逃れる事が出来たのか?」

シュワレチェは言った。

「あなた達が世界だと思っていたものは所詮、小さな村で、

偉大だと思っていた賢者は、所詮は小さな村のペテン師だったからです。

運命から逃れる事は出来ないと、小さな村の言葉を鵜呑みにして、

あきらめてしまった事こそが、あなた達にかけられた呪いなのです。

私は、村の外の知恵を使って、運命から逃れたのですから。」


屍は言った。

「でも、それで本当に幸福だったのかしら?

皆が吸血鬼になっているのに、あなただけ一人残っている事が?」

シュワレチェは、しれっと笑って言った。

「はい。幸福ですとも。

[皆で土に埋められる事が幸せ]という人達から離れられる事を

魔女は幸福というのです。

私は孤独に地上で朽ちていきましょう。

孤独を自分の痛みとして噛み締められる事以上の幸福など

この世で望んではいけないのです。」

魔女シュワレチェは、そう言って空高く舞い上がり、

二度と戻ってはこなかった。

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