おまけ1 執事見習いのその後
人気が出たのでおまけを書きました。
執事見習い君の視点です。短いです。
「こちらの書類にチェックをお願いします」
俺は腕の角度に気を配りながら旦那様に資料を渡した。
俺が仕えている子爵家は、複数の商会を経営しているから書類仕事がやたらと多い。
まだ執事見習いの俺もさっそく鍛えられている。
もちろん茶をいれるとか備品のチェックとか銀食器の手入れもあるから気が休まらない。
まあ周りに女の子が多い職場なのは気に入っているが。
しかし人目がありすぎて雑談も一苦労。
休みを合わせて出かけるなんて不可能だよな。
どうしたものかと時々悩んでいた。
あの日廊下で体がフワッと包みこまれるまでは。
正直理解が追いつかない。
フワフワしているのは幸せそうに笑いかける女の子の体だったことに気がつくのは、彼女が去った後。
あの子は上のお嬢様の侍女。あんなに積極的な性格だとは知らなかった。
悪くない。
次に誘いをかけられた時はすぐに応じたはずなんだが、うまく行かず逃げられてしまった。
訳が分からない。
あれから会うとすぐ逃げるし、俺のかん違いだったのかも。
自分ばっかり意識して、くそ恥ずかしいじゃないか。
図書室に資料を探しに行ったら、彼女がいる。
本棚の上段に本を戻そうとしているが届かないようだ。
「手伝う」
後ろから声をかけて本を取り棚に戻す。
たったそれだけのことで、この子はビクッとした。
あー 俺怖がられてるのか?
「この前は悪かった。その‥ 脈がない相手にはさすがに何もしねえから」
後ろから謝る。
(あ、耳赤くなった。可愛いんだけどなあ)
「つ、つまりそれは脈があったら何かされると言うことですか?」
ずいぶんと他人行儀な返事。声も緊張からか上ずっている。
もっと気楽に接して欲しい。
「そりゃぁ、あったらするけど? どっち?」
わざとふざけた態度で聞いてみた。
「そ、その件はいまだ判断いたしかねておりまして。し、失礼いたします」
彼女は一切こっちを見ないで図書室から逃げて行った。
うーん? 脈がまるでないわけじゃなさそうだ。
その後休みの日がなぜか偶然かさなります。
「つき合ってくれないか?」
「ま、前向きに善処いたします」




