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病弱な従妹を優先する婚約者とそれを我慢できない私  作者: ノーネアユミ


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4/10

婚約者目線 後

 誤字報告ありがとうございました。

 ボーっとしている時なので助かります。


 しかし僕は父上から婚約解消を告げられた。

「これで多額(たがく)持参金(じさんきん)もなくなる。お前はバカか」


 (ほお)(なぐ)られた。


「まさかそんな、急になぜです」

「分かっていなかったのか? 出かける約束を二回も反故(ほご)にしたのはお前だろう」

「そんなたった二回で」


 成り上がりの娘は我がままなのだろう。

 僕は説得のため彼女の家におもむいた。




 が、そこで元婚約者の実情を初めて知る。

 身体が弱いとは聞いていたが、まさかのレベルだった。


 もっと早く教えてくれれば僕だって気を使ったのに。

 しかし婚約がなくなったら、これからどうすればいいんだ?



 情報が整理しきれないまま屋敷に戻る。

 僕の足は自分の部屋ではなく別館に向かっていた。


「お兄様、来てくださったのね」

 別館の入り口で、帰宅したばかりの従妹と鉢合(はちあ)わせる。


「今日はちょっと調子が良かったからお買い物しちゃった」

 従妹は今日もおしゃれで‥ 薄着(うすぎ)だ。


 そう言えばこの子と僕はよく一緒に外出している。

 一人じゃ不安だからと人気の店に連れまわされた。



「どうしましたの? お兄様」

 混乱しているうちに、小さなサロンでお茶を飲んでいた。


「えっとその、実は婚約がダメになってしまってね」

「まあそんな」

 従妹は悲しそうな表情だ。優しい子なんだよ。


「こんな素敵なお兄様を断るだなんてひどいお相手。さっさと別れて正解ですわ」

 別にそんなわけではと言いかけた僕に、彼女は満面の()みを(うか)かべた。


「かわいそうなお兄様。つり合うのはわたくしくらいかしら」


 可愛いはずの笑顔に、一瞬、僕の背筋(せすじ)(こお)った。



(なんだこれは? 気持ちが悪い?)

 僕はその場をにごして立ち()る。



 晩餐(ばんさん)の後、コーヒーを飲みながら父に相談した。

「僕の結婚はどうなりますか」

 父上は眉間にしわを寄せる。

「解消の理由が理由だ。病弱な婚約者を野外で長時間待たせたとか、周りに説明できんぞ」


「困るなぁ。兄さんが先に片付いてくれないと、僕の婚約が進まないよ」

 弟が嫌みったらしく口をはさむ。


「お前たちも知っての通り、我が家の財政状況は芳しくない。持参金が期待できなくなったので別館は売り払う」


 は? なんでそんな話に。


「考えていなかったの、馬鹿なのかな」

 弟をにらみ返す。


「しかし別館にはあの子が」

「あれは弟の元に帰せばよいだろう。治療(ちりょう)も終わっているのだから」


 そんな‥ と僕は肩を落とす。


「それともお前が面倒を見るのか?」

「それもいいんじゃないかな。彼女、兄さん目当てでうちに居座(いすわ)っていたんだから」


 悪寒(おかん)が走る。

「そんなまさか。あの子は妹みたいなもので、無理です絶対」

 結婚? 妹としてしか見ていない相手と? ありえない。



 従妹は実家に帰すことにした。


 ポイント嬉しいです。^0^

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