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プロローグ
私は「普通」に少し哲学が混じったような人間なのだろうと思う。
友人は皆、口を揃えていつも「普通」と私のことを称した。
それ以上の言葉をかけてくれたことはないように思えた。
そこで一度目の嫌気を刺されたのを覚えている。
ただ、自分自身としては「普通」より少し考えれる人間だと自負した。
おそらく自負すること自体が「普通」ゆえなのだろう。
そこで二度目の嫌気が、脳を通過した。
そして、私は皆が「普通」と言うのならば、反対して私以外の物を、「異端」と呼んだ。
ある意味嫌気が刺した。普通と言われることに。反抗するように、しかし心の内で留めたが、これもまた「普通」に見えた。言葉のレッテルの魔力を感じた。
それは自分の意思だけでは曲げられない言葉の呪いだ。
そこで三度目の嫌気が全身を巡っていくのを感じた。
そしていつしか私は「普通」を軽蔑した。
四度目の嫌気は巡って来なかった。