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異世界は剣と料理と現代知識で  作者: わかね
第二章 文化祭と王国祭編
98/104

092 秘策は重曹で

2022年10月 8日(土)現実世界サイド〜



……………


寝室に充満しているトマトの匂いでめが覚めた……


「母ちゃん?」


二段ベットの下段を見るがすでに母ちゃんの姿は無く


「竜司君ーおはよー。…………よっと!……おかしい。こんなはずじゃ!……………今朝ごはん作ってるから待っててー」


台所から賑やかな声と音が聞こえてくるなぁ……

何をやらかしたんだろうと半ば諦めながらベットから降りる。それにしても換気扇くらい回して欲しい……布団に匂いが染み込みそうだよ?




「お待たせー。たくさん食べてねー」


テーブルにドンっと置かれたラーメン丼に山盛りのナポリタン2つ……

朝からこれはヘビーすぎるだろ。


「どうしたの?これ?」

「ちょっと作りすぎちゃって……」


ちょっと?


「ほら……パックご飯って1人前200グラムじゃない?」


……なるほど。それで2人前だから400グラム……4束のパスタを茹でたと。乾麺のパスタは茹でると2倍以上になるのを知らなかったんだね。しかも茹でた後に炒めるから……


「半分食べて残りは昼食に回そうよ……」

「そうしたい所だけど、今日は買い出しに行かないとー」


地方の山奥に住んでいてスーパーなんて近くには無い。1ヶ月に1〜2回車で買い出しに出かけるのだけど……


「俺も手伝う?」


荷物運び要員として


「竜司君はー中間テストの勉強してなさい。明後日からでしょ?」


……う………そうでした。連休明けに中間テストがあったわ


「それに今日は家庭教師頼んであるから」


こんな山奥まで来てくれる家庭教師なんて聞いてないぞ。

それにそんな金銭的余裕ないはずでは?


「大丈夫よ。樹君だから。」


………同級生に家庭教師依頼ですか。


「しかも実験だ……試食を手伝ってくれれば良いって」


今サラッと『実験台』とか言わなかった?ひょっとして試食を避ける為に買い出しの口実作ってないか?


「はは……キノセイダヨー」


こっちを見ながらもう一回言ってみて。



……

………



「それじゃ行って来まーす」


母ちゃんが車で出るのを見送ったあと、キッチンに戻って後片付けをする。

2つの山盛りナポリタンは二人で頑張って半分を食べ終えました……お腹いっぱい。残った一つはラップで包んで粗熱を取って……後で冷蔵庫へ入れておこう。


……そういや樹も決勝ラウンドへ進んだから、樹もパスタ作るよな……そうなると昼もパスタ?


「ひょっとして決勝までの3週間……毎日パスタなのかな……」


嫌な予感がするけど、とりあえずは中間テスト勉強だよ。



………

……………


ピンポンーピンポンピンポンピンポンピンポンピンポン


「連打やめーい!」

「来ちゃった」


いつものやりとりを経て樹が入って来る。


「あ。舞師匠も早速パスタ作っているのかー」


テーブルに置かれたナポリタンを見てふむふむと頷く樹。


「樹は何にするか決まったの?」

「大体はなー。勉強見る代わりに試食付き合ってもらうけど。」


………昼食もパスタか……


………

……………


「……とりあえずこんな所かな」


……すごい。同じ勉強なのに樹が教えてくれると理解度が段違いだ。これで中間テストも何とかなる?


「昼食作っておくから、その間数学な」

「………はい」


試験範囲の内、特に重要なポイントを教えてもらい……問題を解いていく……


「……ん?」


キッチンから漂って来るこの匂いは……醤油?


「出来たぞー伸びない内に食べてくれ」


……そこには見た目も匂いも……『醤油ラーメン』


「へ?パスタじゃないのか?」

「いや。麺はパスタだよ。パスタを茹でる時、重曹を入れると中華麺になる。」


具が全く無い……『素ラーメン』だけどパスタがラーメンに変わるとはびっくりだ。


ズズズ……ズズズ……


「どう?」

「………本当に中華麺だ。」


もっちりした食感は正しく中華麺。重曹にこんな使い方があるなんて……


「レシピサイトに載っていたんだ。日本食が手に入らない海外でラーメンを食べたい人が編み出したらしい。」


……食に対する執念って恐ろしいな。


「パスタやうどんと中華麺の違いって『かんすい』だからね。重曹は異世界あっちでは手に入らないけど、姉貴の竹炭を使って代用は可能だから」


「なるほどねー。でも異世界は醤油もないぞ?」

「その点も大丈夫。今回使ったのは『しょっつる』だから」


秋田の魚醤か。魚醤は丸山さんの件で異世界でも入手は可能だ。


「しかし……パスタ麺が中華麺に変わるとはねぇ……ゲップ」

「あらら……ダメか。量の調整が必要だな」


俺のゲップを見た樹が何やらメモを取り始める。


「樹……ラーメンに……ゲップ……何入れた?ゲップ」


………毒?じゃないよな。


「いやね……レシピサイトに注意書きがあって、『重曹を入れすぎるとゲップが止まらなくなる』ってね」

「!!!!ゲップ」


「今回を参考に重曹の量を調節しようかと」


…………実験台だった。


それから母ちゃんが帰って来るまで3回素ラーメンを味見させられて……太るぞ………ゲップ。


とりあえず樹のおかげで中間テストは何とかなりそうだけど、代償は……『ゲップ』で済むなら安いほうか。



*******


「へー。樹君は『ラーメン』かー」


夕食………朝の残りのナポリタンをレンジで温めて食べる母ちゃんと俺。結局3食パスタか……まぁ昼はラーメンだったからまだマシな方だけど。


「母ちゃんもラーメンにする?」

「流石にそのアイデアは盗まないよー」


……ってそれよりも……母ちゃんが買い出しした物が目に入って来て……顔が青ざめる。


「え?パスタ……どんだけ買って来たの?」

「え?10キロだけど?」


しれっと悪びれも無く言い放つ母ちゃん。


「だって決勝まで3週間でしょ?1日3食でしょ?二人で200グラムとして……12キロ!!」


ドヤ顔して『フンス』と胸を張る母ちゃん……


「え?毎日パスタ?お弁当もあるんだよ?」

「もちろん。お弁当もパスタだよー。何言ってるの?」


母ちゃんこそ何を言っているんだい?

………………マジか。3食パスタとか……それが3週間?

勘弁して欲しいけど、無理なんだろうな……

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