表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界は剣と料理と現代知識で  作者: わかね
第二章 文化祭と王国祭編
90/104

086 サーレップの粉は増粘剤で

2022年 9月17日(土)〜18日(日)異世界サイド〜


小人族ホビットの集落で目覚めた朝……とりあえずお世話になったので集落の人達の分も含めて朝食を作っている。といっても簡易竈門に鍋をのせて簡単なボアのスープだが……それでも小人族の人達の喜び様といったらすごい。


「おお!スープに具が入っているぞ!」

「え?!こんなによそってくれるの?」

「……おいしい。それにあったかい。」


……って普段どんな食生活送ってるの?

見た目120〜130センチの小人族だけど、集落にいるのは10歳前後の子供と70を超えた老人だけだとか……桔梗さんが「70なんてまだまだ老人じゃないのよ……」なんてぶつぶつ言っているけどあまり触れないでおこう。



2〜30人単位で簡易な小屋や天然の洞窟、大木のウロ等を利用した集落。それが複数点在していて、小人族の『村』を形成していた。

集落の近くに開墾して小さな畑はあるけど、熊とかボアとかいるから結構やられているとか。異世界じゃ電線で畑を保護するとかあるけど、異世界こっちじゃ無理か。

ここは寒村……もしくはスラムか……はたまた海外の難民キャンプといったところだろうか。


集落の収入源は山で取れる山菜や高山植物、薪を王都キッベールで売り捌くといった感じで、あまり高収入は期待出来そうもない。


「冒険者で高ランクになれば、交易とか楽になるんだが」


族長が手元のスープを見つめたまま呟く。

確かに冒険者ランクが上がればアイテムボックスの容量が増え、冒険や交易なども有効に活用できる。

冒険者なりたてのDランクはランクDDで40リットル。

俺たちCCランクで400リットル。


スポーツバック1個分の容量しか無いDDランクに比べてCCランクになれば家庭用冷蔵庫1つ分だ。

さらに桔梗さんみたくBBランクになれば4トン……ほぼ手ぶらでどこへでも行ける。


移動する時の野営道具とかを考えるとBBランクは欲しいかも……まぁ400リットルでもかなりの容量だけどね。


「だから村の代表としてリピピ達には頑張って欲しい所だ。」


………名前の感じからランクアップクエストで出会ったリピピ達はここの集落出身だろうな……とは感じていたけど。精霊術も使えて実力はありそうだし、すぐにランクアップすると思うよ。

俺は舞姉ちゃんにおんぶに抱っこだったけど……


「それで、熊の……ワイルドベアの討伐についてだが……」


族長の歯切れが悪い。

集落の方でも手伝いしたいが、亡くなった2名の葬儀を(小人族の間では『送魂の儀』と呼ぶそうだ)する為、力になれなくて申し訳ない……と謝罪をしてきた。


「大丈夫です。討伐に関しては我々だけで」


桔梗さんも子供達を駆り出す気はないらしい。


「そういえば樹が何か妙案あるらしいけど……」

現実世界でのやり取りを思い出して皆に報告する。


集落の状況や地形を地元住人から聞いて確認していた樹だったが、ウンウンうなずいた後……俺たちに向き直って「材料は全て整ったよ」と獰猛な笑みを浮かべていた。



……

………

……………



とりあえずワイルドベアを最後に見た……送魂の広場まで戻ってから血の跡を辿る事にした。昨夜見た時……矢傷を負っていたからね。


「昨日みたいに殺気を当てられても大丈夫?」


桔梗さんが俺達を心配して声を掛けてくれるが


「安心してください。ちゃんと『介護用パンツ』履いて来ましたから」


……そんなお笑い芸人いたな……


桔梗さんと樹は苦笑いを浮かべ、楓さんは赤面している……あまり触れちゃいけない話題だった?



…………とりあえずワイルドベアの痕跡を探そうとしたが、周囲の木々を傷つけたり、なぎ倒して……なんとも分かりやすい道標を残していた。



「罠?」「あからさまだねー」「誘ってる?」「相当激オコだね。」


しばらくその『道標』を辿り、山の中腹にある洞窟の前まで来た。


「ここが熊さんの寝床かなー。気配は感じないけどー」


先頭を歩く舞姉ちゃんは緊張感の無い……いつもの感じで報告する。


「食糧調達で動き回っているのかも……周囲にも気配が感じられない。」


桔梗さんは氣功術を駆使して気配察知をしてくれていて非常に頼りになります。


「洞窟もそんなに広くないよー。奥は40メートル位で行き止まりだったのー」


一人で洞窟に入って出て来た舞姉ちゃんは……『匂いは酷かった』と苦虫を噛み潰したような顔をしながら……って単独行動はやめようよ。


「ちょうど……おあつらえ向きだな。」


……さっきから一人で風向きやら調べている樹さん。そろそろ作戦の詳細を話してくれても良いのでは?


「舞師匠はボアの肉にハチミツを塗り、洞窟の奥へ置いて来てくれますか?」

「桔梗師匠は洞窟入り口の周囲にハチミツを振りまいて下さい。」

「竜司と姉貴は唐辛子の熊よけボールを投げる準備を、風下のあっち側で」


各人へ指示を飛ばす樹。食べ物を無駄にするのは遠慮したいのだけど………ハチミツは貴重なんだよ?


「俺達が食糧になるよりマシだろ?それに熊といえばハチミツだ。あいつら蜂に刺されながらでも巣のハチミツを舐める程大好物なんだよ」


………アニメとかでのイメージそのままなのか。

で、洞窟の奥まで誘い込んで……唐辛子の熊よけボールを全弾投入……と。唐辛子の粉……『粉塵爆発』でも狙っているのか?


「いや。『粉塵爆発』には量が足りないよ。最低でも4〜5倍は必要かな」


………んーっとじゃあどうするの?

そう思っていたが、樹はアイテムボックスから何かを取り出した。……ラパパ族の収入源の一つである高山植物の粉?


「サーレップの球根の粉末だよ。」


……ってトルコアイス作りに必要な物じゃないか。

そして、それが目的だったじゃん。


「これは増粘剤としてかなり優秀なんだ。」


あの伸びるアイスの材料だからね。


「そして増粘剤と油と炭素……この場合は唐辛子の粉かな。そして精霊術の火魔法を組み合わせて……」


サーレップの粉に油を染み込ませながら説明を続けている樹……目が怖いよ?


「異世界版のナパーム弾……焼夷弾を作り上げてワイルドベアへぶち込む」


うん。樹のその知識は何処から来てるのか……背筋が凍る瞬間だった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ