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異世界は剣と料理と現代知識で  作者: わかね
第二章 文化祭と王国祭編
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084 森の熊さんは獰猛で

「………竜司……竜司起きろ!舞師匠も起きて下さい!」


二人用テントに入って来て俺たちを起こす樹。入眠する事で現実世界へ戻るはずだったけど、切り替わらずに異世界で目が覚める……睡眠時間が足りないのかな?


寝入ってすぐ起こされたので脳がまだフル回転しておらず、ふらふらしながらテントを出る俺と舞姉ちゃん。


テントから出た俺たちが見たのは、山の斜面を降りてくる松明の列。こっちに向かっているのもあり、その数10や20じゃ効かない……たくさん。桔梗さんは周囲を見回して警戒している。


「これってどういう事?」

「俺も知らん!とりあえず桔梗師匠が『2人を起こして、竜司と俺と姉貴で焚き火の側で待機』って指令を受けてる。」


ここへ近づいている者は火を使っているから熊ではないけど、イコール味方とは限らない。街灯も何もない異世界の山中で光源を守るのは必須か。

とはいえ距離的にはまだまだ……



グガギャァァァァァァ!!!


突如深夜の山中にこだまする獣の咆哮とバキバキバキ……樹木がなぎ倒される音。………この広場のすぐそばじゃないか?


音がする方を注視すると、間髪入れず広場に雪崩れ込んでくる巨大な熊………でかい。体長2〜3メートルって聞いていたけど、目の前にいる巨大な熊は3メートルをゆうに超えていて、立ち上がって周囲を威嚇する姿はとても怖い。

特に左目には矢が突き刺さっていて眼球が取れかかっている……一瞬ゾンビかと見間違える程。

口からは血液が入り混じった涎を垂らしていて、身体中には矢が何本も刺さっている。


「グガアアアアアア!!!」


俺たちに気付いた熊が咆哮をあげて威嚇してくる


「「ヒィッ!!」」


気を当てられた俺と楓さんは焚き火の側で小さな悲鳴をあげ、その場でへたり込む……ごめん。腰が抜けて……立てそうに無い。


………しかも……少し漏らした。


見ると……樹はかろうじて立ち上がっているけど、膝がガクガク震えている……


「ここまでの殺気を放つとはねー」

「中々やるじゃないか。」


流石は桔梗さんと舞姉ちゃん。戦力にならない俺たち3人をかばう様に熊との中間地点に立ち、刀を抜いて構える。


「師匠。私の間合いには入らないで下さいねー」

「ぬかせ。舞の方こそ入るなよ」


………こんな状態でもよく笑みを浮かべられるな………


桔梗さんと舞姉ちゃんが左右に均等に離れて、ゆっくりと熊

との間合いを詰めていく。


熊は……にじり寄ってくる二人に対して『ニヤリ』とするとぶら下がっている左目を矢ごと引き抜き………自分の目玉を食った……


…………夏侯惇かこうとんかよ………


「いたぞー!!『送魂そうこんの墓所』だー!!」


ピィィィィィィーーー

ピィィィィィィーーー


周囲にこだまする怒号と呼び笛の音。山の斜面に見えていた灯は全部が一斉にここを目指してやってくる。


桔梗さんと舞姉ちゃんと10メートル位にいた熊は周囲に集まってくる人の匂いを……気配を察したからか、クルリと反転し、森の中の暗闇へと消えていった。


深追いはせずに熊が消えた方向へ構えたままの桔梗さん達……消えた熊と入れ替わりに広場へやって来た人の姿を認めるとようやく息をつく。


「まずいわね……」


とは桔梗さん。どういう事なのたろうか……


「熊って雑食なのよ。木の実から野菜、芋や魚……そして肉も。今の熊……口元が血で濡れていたけど、それがボアとか鹿とか野生の魔物や動物なら良いけど……」


熊を追っている人達がいる……


「人肉の味を覚えた熊は、今後……人を恐れる事はなく『人=食糧』って認識するの」


現実世界でも熊による被害はたまに聞く。山菜取りに山に入って遭遇して亡くなった話とか……




それにしても『次の特訓』と言ってダンジョンから、熊が生息するこの山中に来たけど、あの熊を討伐しなさいって事?ムリムリ。

命がいくつあっても足りません。例え夢の中とはいえ、怖いものは怖い。


「流石に『アレを倒せ』なんて酷い事は言わないよ」


俺の表情から察した桔梗さんは、笑いながら説明する。

………俺にとっては笑い事じゃないのだけど……


「予選はバトルロイヤルって言ったよね?対戦相手が威嚇して来た時、さっきみたいに腰が抜けて動けなくなったらどうなる?」


…………周囲の人達からボコられるね。



「そういう事。『一対多』は常に動ける状態でいる事」

「………はい」


………コボルトでは大丈夫だったけど、熊では足がすくんで何も出来なかった………ってか熊みたいにでかい人って武闘会にいないよね?


……

………

……………


松明を掲げて集まってくる人達は全員が120〜130センチ位の人達………小人族ホビットと呼ばれる連中だ。人が多い街中では生活せず、街から少し離れた森林や山間部に集団で生活する。直接戦闘は得意とせず、弓や魔法……といった後方職が多い。


「依頼を受けてくれた冒険者達かね?」


小人族ホビットの族長と名乗る人物が桔梗さんの前に歩み寄ってくる。


「討伐対象は、あの傷ついた熊でいいのね?」

「ああ……あいつのせいで今日も2人やられた。弓矢や魔法でダメージは与えてはいるのだが、どうしても致命傷にならなくてな………」


山火事を起こすわけに行かないから、精霊術による攻撃は水や風に限定しているので、ダメージを与えずらいそうだ。


「早速……と言いたい所だが、夜で視界が悪い。ひとまずワシ等の集落で夜を過ごしてもらうのはどうか?」


桔梗さんは俺たちを見回して


「そうですね。お言葉に甘えますか……着替えが必要なメンバーもいますので」


………………あう……


集落に着いたら就寝前に着替えてズボンと下着を洗わないと………

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