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異世界は剣と料理と現代知識で  作者: わかね
第二章 文化祭と王国祭編
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083 登山は長袖と長ズボンで

2022年 9月16日(金)〜17日(土)異世界サイド〜


王都キッベールは北と西側を山で囲まれた所に位置し、城壁は半扇状の三重構造となっている。王城と堀のみある第一城壁の内側は一般の人はもちろん通れず、桔梗さんから借用している屋敷は第一城壁と第二城壁の間に存在する。


この世界には貴族は存在していない為、近くに住む人たちは騎士団の団長だったり、商会のトップや教会の枢機卿や大司祭と…………俺たちがそんな所に住んでいるとか、場違い感半端ないのだけど?


朝早くにカヤモリを出発してお昼過ぎに王都キッベールに到着した俺たちは一旦屋敷へ戻り、登山用の装備へと変更……っていうより半袖と七分丈のズボンから長袖、長ズボンに着替えるだけだ。山に入るのに素肌を晒すとか無いからね……山蛭とか痛いし。


桔梗さんはすでに準備は完了していたので、冒険者ギルドにて入山が必要なクエストを数点受注してくるとの事。もちろんワイルドベアの討伐含めて………これ……『戦闘は舞姉ちゃんと桔梗さんに任せる』作戦はダメ?……ダメなんだろうな。


「へー。採取クエスト竹10本……って『竹』あるんだー」

桔梗さんが受注したクエストを確認する4人。

異世界の道中であまり見かけなかった竹は山で入手出来るらしい。


「竹炭の灰を使ってみたいな……」とは楓さん。


「灰はアルカリだから竹炭の灰で石鹸やシャンプー作れたらいいな………他にもパックとか……」


楓さん……『化粧品作り』諦めて無かったんだ。ギャンブルの人になりつつあったから意外。



午後から登山はなるべく避けたい所だけど、サーレップの球根を探して……トルコアイスを試作する……となると時間的に余裕無いのでこのまま入山する事に………大丈夫かな?


前日作った唐辛子爆弾はパーティーメンバーに10個ずつ渡した。時間停止のアイテムボックスだから出来る芸当です。油紙に唐辛子……保存があまり聞かないからね……


「イメージとしてはコンビニに置いてある防犯のカラーボールだねー」


舞姉ちゃんがお手玉のようにジャグリングしているけど……素人が作った唐辛子爆弾だからあまり乱暴に扱わないで欲しい。


*********


「標高800メートル辺りに『ラパパ族』という小人族ホビットが集落を作っているから、まずはそこを目指しましょう。」


桔梗さんの案内で王都の西側から山道へと入っていく。キッベールとカヤモリを結ぶ街道程広くはないけど、2人が並んで通れる位には広い。ただし、背の高い樹木に覆われて昼間だというのに日差しが届かず薄暗いが………


「大木の根には気を付けてねー」


足元を良く見てなかった為、足が引っかかりそうになる……結構デコボコしているのね。

………これ結構歩きにくいな……木の根って滑るのね。



………

……………

…………………



桔梗さんを先頭に舞姉ちゃんも歩きにくいはずの木々の間をスタスタ歩いていく……


「昔は山中が遊び場だったからね」


山の中の歩き方など身体が覚えているのだそうだ。


「ゼーハー」「はぁはぁ」「………」


一方で現実世界で山遊びはあまりしていなかった俺たち。当然のように山の歩き方なんて慣れてない……少しの時間なら問題ないのだけど、流石に登山ともなると……


「あなた達………現実世界でも山歩きしたら?」


舞姉ちゃんはかなり余裕があるのか『森のくまさん』歌いながらの登山だよ……ってその選曲ってどうかと思うよ?本当に出会ったらどうしてくれる!?


2時間ひたすら登り道の山歩き。給水休憩は何度か取ってくれたけど、焼石にウォーター………返事も返答も出来ずに只々肩で息をする3人。


「あの辺りが開けているから、早いけど野営準備にしましょう。」


息一つ乱していない桔梗さんは周囲を常に警戒していた様で、山道から少し外れた場所に日差しが差し込んでいるエリアを見つけ、俺達3人を気遣い………早めの野営を提案してくれた。


同じ山道に慣れた2人でも、鼻歌混じりにズンズン先に行く舞姉ちゃんと………

慣れない3人を気遣いながら周囲を警戒している桔梗さん。


………人間性か。信頼を得るってこういう事なんだな。



森の中で日差しが差し込んでくるエリア……直径20メートルくらいの円形で雑草などは無く、土がむき出しで

その中心点には平べったい石が幾重にも積み重なっていて……イメージするのが


「青森の恐山の石積みみたいだねー」


積まれているのは中央の1箇所のみ……しかも四角錐のようになっているから、恐山というより丸石で出来た『プチピラミッド』って感じなんだよな。


「地面といい、積まれている石といい、間違いなく人の手が入っている場所だな」


かといって、周囲に生活している雰囲気は全く無く、もちろん人の姿は確認できない。


「野営で火を使うから、ありがたく使わせてもらいましょう。」


確かに……山火事起こしたら洒落にならない。こういった広い空間は貴重だね。


ずっと薄暗い森の中を歩いて来ていたから気付きずらかったけど、テントを張って夕食準備が整った頃には地面を照らす太陽の光は徐々に黄色からオレンジへと変わりつつあった。


「明日は小人族ホビットの集落に到着して、熊討伐はそこからかな?」


いつもの様に上野家と神代家に別れた野営の見張り当番。

桔梗さんは上野家と一緒に見張りをする事になり、俺と舞姉ちゃんが先に仮眠する事になった。

更新が遅くなり、すみません。


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