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異世界は剣と料理と現代知識で  作者: わかね
第二章 文化祭と王国祭編
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081 文化祭前日は急転直下で(前編)

2022年 9月16日(金)現実世界サイド〜


いつもの起床時間より1時間早めに起きた朝。風呂場で樹からもらった脱毛クリームの試供品を使って、すね毛などの処理をする。毛深い方では無いので……うぶ毛がほとんどなのは助かる。


「しかし……試供品とはいえ、すごいな。」


まずは右足にクリームを塗り、浸透した頃を見計らってシャワーで洗い落とすと……左足との違いがハッキリと分かる。


その後も左足……両腕……と処理している頃に母ちゃんが起きて来た。


「永久脱毛とかするー?」


………いや、いいです。今回は文化祭の為だけだから。

最近はヒゲの永久脱毛や美容整形といったメンズエステのCMが流れてるけど、正直面倒くさい。樹みたいにスラっとしているなら効果は抜群だろうけど……


「そんなに自分を卑下することないのにー」


………あまり人の思考を読まないでよ……



**********



……

………

……………


今日は文化祭の準備なので授業は無い。簡単なホームルームの後は早速準備に取り掛かるのだけど……

教室に入って来た担任が生徒の面々を見て斜に構えている………デスヨネー…………俺も怖い。


女子生徒はナチュラルメイクが決まってて……すごく可愛い……直視出来ない位です。

男子生徒は……特殊メイクが……すごく怖い……こっちも直視出来ません。

だって……俺と樹以外の男子生徒……一言で言うなら『平安時代?』って感じなんだよ?真っ白に塗られた顔面は能面の様で……もしくは『バカ殿様』?

そりゃニキビなどで……お笑い芸人の人みたいに頬がボツボツしている男子が多かったけど……


「…………」

樹は無言でため息を吐き、首を左右に振る。

樹は……ものの見事に『女性』と化していて………化粧って怖いな。付け睫毛とかアイラインとか見事に決まってる。短髪じゃなかったらドキドキしてたかもしれない。


「みんな頑張ってるじゃないか」

「頑張る方向性が違う。」

「あはは………」



とりあえず今日はフルーツポンチを実際に作ってクラス全員で試食するので、俺と樹……そして吉沢さんの3人は教室の机並び替えには参加せずに調理室へと向かう。


クラスメイト29人+担任の30個作る。キリがいいので明日以降の目安にもなるかな。


「ミカン4、黄桃と白桃を2個づつ。パイン2個チェリー5個……」


調理準備室に間借りしている冷蔵庫から必要数の缶詰を取り出し、大きめのボウルに開けていく。もちろんパイン、黄桃と白桃は実が大きいのでカット。

バナナやキウイを加えたかったけど、その場合『調理』に該当するので出来ない。同様の理由で『絞るだけ生クリーム』も没案に。パイン、黄桃や白桃をカットするのも……なんだけど、そこはグレーゾーン?大人の事情は分かりにくい。


仕上げに炭酸水を入れれば出来上がりっと。


大きいボウル6個に結構な量のフルーツポンチが出来上がった。中身の偏りは……この際気にしない。


「こりゃ結構な量があるな……」

「値段設定考え直した方が良いかもな」


ドリンクとセットで350円の設定していたけど、この分なら300円でも原価率40%位じゃないか?


「……多めによそっても30人前以上ありますね……」


……吉沢さんの声……やっぱり桔梗さんとそっくりなんだよな。容姿だって………


……じぃーーー


視線を感じた吉沢さんが小首を傾げて俺を見る。


「あ……ごめんね。吉沢さんが知り合いに似てたから……つい……」


『夢の中の異世界で吉沢さんのそっくりさんがいる……』なんて言っても信じてもらえないだろうし、危ない人認定されるの間違いない。それに桔梗さんはリアルだと70歳超えのおばあちゃんだし……


現実世界リアルと異世界が混同してくるようじゃダメだなぁ。


「じゃあ手分けして運ぼうか。」

気まずい雰囲気になりかけた所へ樹からの助け船。吉沢さんに盛り付けしてもらい、俺と樹で教室まで運搬。丸いお盆にドーム型の蓋を被せて運ぶ。それぞれのお盆には3つしか乗らないので……5往復?

プラスチックの可愛らしいボウルにちょこんと山に盛ったフルーツポンチ。


教室について試作品をみんなに見せると


「おー美味しそう」「早く食べたいー」


などと好評価。


教室は3分の2を食事スペースとして区切ってあり、4人がけのテーブル(机4つ合わせた所に白いテーブルクロス)が2つと、向かい合わせにした2人がけテーブル(机2つ合わせて薄いピンク色のテーブルクロス)が4つが教室中央にあって、窓際にはテーブルクロスが無い1人様用の……机そのまんまが4席。


4人がけの所も2人がけの所もプラスチックで出来た仕切り板があるから感染対策も大丈夫………早くこのコロナ騒ぎが収まって欲しいけどね。


「上野君と神代君もメイド服に着替えて来てー」


すでに俺と樹以外はメイドの格好になっている……みんな着替えるの早くないか?


「神代君は猫耳カチューシャもねー」


クスクスと数人の女子が笑ってるよ……付けなきゃダメ?


「文化祭って『祭』なんだから楽しんだ者が勝ちだぞ」


……樹よ。なんならお前に貸そうか?


「うん。俺は遠慮しておく」

「……………」


………

…………


教室はほぼ準備が完成しているので、俺と樹は着替えを持って調理準備室へ。残りのフルーツポンチの運搬はクラスメイトに任せた。


「あれ?それって女生徒のワイシャツじゃん」


樹が脱ぎ始めたワイシャツは、よく見ると右前になっているよ……襟元も丸くなってて……


「姉貴に頼み込んで借りた。」


…………良く貸してくれたな。


「昔は……服なんて姉貴のお下がりばっかりだったぞ」


流石にスカートは着なかったけど、シャツとかズボンとか……色合いも女子っぽいやつだったそうで……

俺はひとりっ子だからそういった苦労は無いなー


「久しぶりに姉貴の服を着たけど、肩幅とか厳しいな……」


ひょろっとしている悩みから、異世界では筋肉ムキムキの樹だけど、なんだかんだ言った所で結局は『男』なんだよ。樹と楓さんは、身長は同じくらいだけど、肩幅とか骨格とか違いが出てくるんだね。


「後は……胸の辺りもキッ!!!!」

「!!!」


突如現れた樹の背後から細い指が……樹の首を締め上げて……必死にタップする樹。


「あ……あの……楓さん?」


楓さんの目が怖い。ヘビに睨まれたカエルです。


「アナタタチ……ホウカゴ……オハナシガ……アリマス」


無言で首を縦に振る俺。グタッとしている樹は……とりあえず脈と呼吸はある。


俺は……悪くないよね?

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