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異世界は剣と料理と現代知識で  作者: わかね
第二章 文化祭と王国祭編
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080 撃退スプレーは手作りで

2022年 9月15日(木)〜16日(金)異世界サイド〜


午前中に王都へと戻って来た俺、樹、舞姉ちゃんと桔梗さん。そして


「まったく……なんで私まで山登りしなきゃならないのよ……」


ぶつぶつと文句をつぶやく楓さん。


「後衛サポート出来るの姉貴しかいないんだよ……」


顔面ボコボコで左目が『お岩さん』状態の樹が必死になだめすかしている。

楓さんは回復術と魔術がレベル4の貴重な後衛職。樹も回復術と魔術がレベル2あるけど、この世界はレベル3になって初めて役に立つからな……


楓さんを連れて行きたい樹は、桔梗さんに頼んで楓さんのアルバイトのシフトを操作し、10日間外したそうだから……楓さんの逆鱗に触れてボコボコになりました。


「山から戻ったら、カジノの軍資金を提供するから」


うわ……樹よ……それは悪手だぞ。『それなら良し』と文句を言うのをやめた楓さん。常に冷静な樹から有利な発言を引き出せた楓さんがすごいのだろう。桔梗さんや母ちゃんといい……学校の委員長といい……俺の周囲には強い女性が多すぎる。


「とりあえず『ワイルドベア』討伐クエストは私が受注しておくから、皆は野営道具などの準備を整えておく事。出発は明朝0700とする。」


桔梗さんの号令によって解散する面々。準備といっても資金があまり無いから、武器や防具など装備品の新調は無理。

俺も樹もショートソードとレザーメイル……初期装備より少し良くなった程度だ。

楓さんは術の効果アップがあるスタッフを装備。防具はローブと後衛職のテンプレ装備。

舞姉ちゃんは『白鷺』と命名した刀を装備。防具は特になく、強いて言うなら普段着……『ぬののふく』といった所かな。……桔梗さんはどういった装備なのかはわからないけど、舞姉ちゃんと同じ感じではないだろうか。


「準備といえば……こっちの世界でも『熊撃退スプレー』とか出来ないかな……」


現実世界あっちでは山菜取りやキャンプなどで山に入る時、熊鈴やラジオを持って山に入る。それでもバッタリ遭遇した時に備えて『熊撃退スプレー』ってのも持ち歩く人もちらほら。唐辛子成分……カプサイシンを含んだスプレーで1缶5000円前後する。


「料理スキルで唐辛子を細分化させて……小袋に分ければ『撃退スプレー』に近い物が出来そうだな」


熊に出会ったら死んだふり……なんて絶対ダメ。1番は森の木々に注視して、幹に付けられた傷を見つけ……テリトリーに近寄らない事なんだけど……


「人も食べているそうだし、熊鈴は逆効果かもねー」


もちろん異世界にラジオは無い。鈴は……探せばあるだろうけど、確かに人を食べる熊なら呼び寄せる事になりそうだ。


市場を手分けして回って………唐辛子を買い漁る。



夕食後……使っていない部屋のテーブル中央に高く積み上げられた唐辛子……これを乳鉢で粉末にしよう物なら……涙で酷い事になるけど、そこは料理スキルの出番。

料理スキルレベル5を持っているのは自分だけなので、さっさとやっつけますか……


……

………

……………

…………………


ゲホッ。ゴホッ。グハッ。

目が!!目が!!目が!!


しみるし、痛いし!!

………例えるなら目前30センチで玉ねぎを沢山微塵切りしている感じ。唐辛子を粉末にしているから窓も開けられず……換気も出来ません。マジつらい!!って痛い痛い!!


粉薬の要領で油紙に小分けしているのだけど、あまりにも痛いので一旦廊下へ避難。


「樹達も手伝えー!!」


中庭で木刀を素振りしている樹と舞姉ちゃんを見つけたので、道連れ……じゃなくて手伝いさせる。


「うわーん。目に染みて痛いのー」

「これは……キッツイ」


そのキッツイのを1人にやらせるなよ。

唐辛子粉末を包んだ油紙。一つ一つはプチトマト位の大きさのそれを5個ひとまとめにして大きな油紙でまとめる。


「とりあえず唐辛子爆弾の完成だな」


唐辛子爆弾は全部で80個。

頑張ったよ。マジで。


痛みに堪えて……目は充血して……無言で作りきった三人。


これだけあれば熊に遭遇してもなんとかなる………かな?


とりあえず疲れたので風呂に入って早く寝ることにしよう。

明日からは登山だ。


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