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異世界は剣と料理と現代知識で  作者: わかね
第二章 文化祭と王国祭編
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079 新たなステージは森の熊さんで

2022年 9月15日(木)現実世界サイド〜



「じゃあ男子は明日までに、すね毛などの処理をして来るように」


文化祭は17・18日の二日間開催だけど一般公開するのは18日の日曜のみで17日は生徒、先生のみで楽しむ。


そして明日の金曜日は授業は一切なく、文化祭の準備に充てる。まぁ最終チェックというかリハーサル?みたいな感じかなー。食品を扱うので保健所へ検便の手続きを済ませ、全員『異常なし』のお墨付きも得ているので安心といえば安心だ。もちろん毎日の検温は必須で、幸い周辺でコロナ発症の事例は聞かないから……大丈夫だよね?


大都市は毎日数千〜数万人とかすごい人数が感染しているが、周辺の人間関係が密な田舎……地方は感染しようものなら村八分に近い状態になるから皆必死だ。




******


「T字カミソリで剃るだけじゃダメなのか?」


放課後の調理室には俺と樹と楓さんの3人。料理部の活動は火曜と金曜の週2だから、その他の日は異世界の対策を話し合う場と化している。


「そんな事したら文化祭当日チクチクして痒くなるぞ。しかもポツポツして肌にも悪い。」


呆れ顔の樹がヤレヤレってポーズをしながら首を左右に振る……ちょっとイラッとするけど、じゃあどうしろと?


「私達なんかは機械で脱毛しているけど……」


楓さんにその脱毛する機械の値段を聞いたら安いのでも2万円位で高い脱毛器だと6万オーバー!?無理無理。普通の男子高校生に出せる金額じゃないって。


「だとすると除毛クリームかなー」


これも価格はピンキリで……安い除毛クリームでも小遣い制の自分としては………厳しいが。


「そんな竜司にプレゼント。」


樹が鞄から出したのは、除毛クリームの………試供品?小さな袋が4つ出てきた。文化祭に合わせるだけだからこっちの方がありがたい


「樹……ありがと……」


試供品の小袋へと手を伸ばしかけた俺に


「そこで……取引なんだけど」


聞けば樹が異世界の料理コンテストで作る予定の『トルコアイス』原材料のサーレップという花の球根の粉末。市場にはあったけど、値段が高くて手が出なかったそうで(10グラム位で金貨1枚)取りに行くのを手伝って欲しいそうだ。


「別に構わないけど、俺は今特訓中だから桔梗さんの許可無いと無理だよ?」

「その点なら大丈夫。すでに昨日桔梗師匠の許可を得てるから」


………随分と根回しがいいね。


「桔梗師匠も『そろそろ新たなステップに進む頃だし、丁度いい』って。」


…………

………………

………………………


新たな……ステップ?


なんだろう。嫌な予感がするのだけど。


母ちゃんこと舞姉ちゃんが乱入してからの特訓は……ダンジョンの特訓が取りやめになってしまったのだ。

一回だけ舞姉ちゃんと俺でダンジョンのエリア1……コボルト地帯に行ったのだけど(もちろん桔梗さんは透明化しての付き添い)舞姉ちゃんが片っ端からコボルトをやっつけるので(『白鷺』持ってなくても瞬殺)この二週間は基礎体力の『マラソン』と基本稽古の繰り返し。



「なんでも桔梗師匠が『冬眠準備中の熊は気が立っているから気をつけて』って」


…………やっぱり。


樹が欲しいサーレップの花は標高1000〜1500メートルの高地に生息する植物なので、王都から山へ入る予定。

そして山の中は『ワイルドベア』の生息地帯だとか。


異世界の熊も現実世界同様に冬眠するのだが、冬眠する前のこの時期は食べ物を求めて各地を動き回っている。かなりの雑食で木の実や魚、動物はもとより……人間もその糧となる。2〜3メートルの巨体に似合わず俊敏で冒険者ギルドでも討伐クエストはBランク以上に分類されている。


「……俺たちCC(ダブルC)クラスなんだけど?」


基本的に冒険者ランク以上のクエストは受注出来ない仕組みになっている………のですが。


「その点も桔梗師匠が受注するから問題ないって」


確かに桔梗さんはBB(ダブルB)ランクの冒険者だったか。勇者でBB(ダブルB)ランクなのかは謎だけど。もっと高くても良いと思うけどねー。


「私は行かないわよ。異世界でバイトしているし」


楓さんはカヤモリの冒険者ギルド……の中にあるカジノでディーラーのアルバイト中だとか。まぁカジノで散財するよりは良いか。


「とりあえず母ちゃんに相談してからだぞ?」


試供品の袋を受け取り、学校を後にする。『タダより高い物は無い』っていうけど正にその通りだな。



*******




「…………なるほど。『熱処理』されてない牛乳だから異世界の牛乳を使って『生クリーム』が作れる訳ねー」


夕食後のオンライン会議で生クリームの作り方を樹から教えてもらっている母ちゃん。


なんでも現実世界こっちの牛乳は乳脂肪を均一するように処理されているけど、異世界あっちの牛乳はノンホモ牛乳といって生乳そのままだから……分離させて生クリームが作れると。


……………しかし良いのか?同じ料理コンテストに出場するライバル同士なのに……これじゃ『敵に塩を送る』状態じゃないか。


「敵じゃないよ。異世界の食生活を改善する同志だよ」


確かに異世界の食生活は改善されてきているけど……


「そこで舞師匠にお願いがあるのですが……」


樹は……あれだ。策士というか『軍師』だな。


「わかったー。森の熊さんを倒せば良いのねー」


母ちゃんが簡単に落ちた瞬間だった。

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