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異世界は剣と料理と現代知識で  作者: わかね
第二章 文化祭と王国祭編
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075 『逃げる』は一つの戦略で

………ぐぅ。

『5倍』というアドバイスがあったけど、朝から何も食べてないのでとりあえずお腹に何か入れたい。

朝ごはん食べる前に特訓始まったけど、食べていたら絶対に吐いていただろうな……


冒険者ギルドの扉を開けるとそこは広さ3畳位の空間。壁には梯子がかけられてあって、用がある人は上へ登って行けばいいわけか。


昇ると6畳位の空間のすみっこに出た。よくまぁ、ここまで器用にくり抜いたものだ。中央には4人用テーブルと椅子が1組。壁には各部屋へと思わしき扉が何個もあって、もう片側の壁には事務机とギルド職員であろう2人のお姉さん……事務机の裏にも扉が数箇所あり、扉だらけの部屋……というより手狭だけどロビーのようなものか。他に人がいないのは

時間帯にもよるのだろう。この世界に昼食の概念はないから。


「こんにちは僕。今日は魔石の買い取り?宿泊のチェックインはまだよ。」


時間的にお昼位だから清掃中でチェックイン出来ないのかな?もっとも宿泊目的じゃないけど。それにしても『僕』……ってそんなに俺は幼く見えるのだろうか?


「それとも……お姉さん達とエッチな事したいのかな?」


ギルド職員さんに壁ドンされてます。……妖しく光る紅の双眸に身動きが取れません。ヘビに睨まれたカエルのような心境です。そういえばギルド職員の大半がサキュバスって言ってたような………やばい!介護用パンツ履いて来てなかった!


「早く食事して移動しないと間に合わないよ。」


梯子の穴から顔だけ出した桔梗さんから助け船が。


「「勇者キキョウ!!」」


2人のギルド職員が目を大きく開いて固まっている。

壁ドンから解放された俺は食事をしたい旨を話してその場はなんとか収まった………ちょっと勿体無い気が……ゲフンゲフン。


「君の日記を読んで思ったのだが、君は魔物に好まれる体質なのかな?」


そういえば元人間とはいえ人狼にも好まれてますね。『モテ期キター!』って素直に喜べないのが悲しい。


「舞君が心配するのも納得だよ。」


……本気で紹介状の内容を知りたい。


「朝食の残りですが……」


おずおずと恐縮しながら食事を提供してくるお姉さん。塩味の野菜スープと硬い黒パン……よくこんな洞窟の中でも温かいスープとか出せるよな。


「料理スキル持ってますので……」


なるほど。料理スキルはIHの代わりにもなるのか。パンは流石に焼けないからアイテムボックスに入れて運搬する……と。確かにそれなら調理スペースは要らないから、こういった場所でもギルド運営出来るわけか。


食事代金を支払いギルドを後にする。(本当に5倍だったよ……)


「この第一エリアはコボルトのみ出現する」


コボルトってあれか。二足歩行の犬……また『犬系』ですか。この世界の制作者は犬に何か恨みでもあるのだろうか?


「たまに集団になっている所もあるから気をつけてな」


は?俺一人で複数を相手にしろと?


「『逃げる』という選択肢もあるぞ」


逃げられるなら……ね。ゲームでも『しかし、まわりこまれてしまった!』とかヤバいから。……でも、どうしてこれが武闘会の特訓になるんだ?


「予選は50人〜60人のバトルロイヤルだから。」


………

……………

……………………


それ……話していい内容?


「大丈夫。毎年……といっても3回目だけど、同じ流れだから、周知の話なの。」


……それならいいけど……いや、良くない。

バトルロイヤル……ってあれじゃん………1人だけ生き残るまで潰しあうって……怖いやつじゃないか。


「そう。だから強くなりすぎると、徒党を組まれて集中砲火される。かといって強くならないと勝ち残れない。」


そのさじ加減が難しい所だけどねーって桔梗さんは笑うけど、俺は笑えない。


舞姉ちゃん位になれば徒党を組まれた所でどうという事ないけど、俺や樹なんかは『来訪者』って事もあり、それなりに狙われる……って今から辞退しても良いですか?


「もうすでに賭けは受け付けていて、辞退されると掛け金を返却しないといけない。」


そして俺は何故か1番人気を集めていて……辞退するとかなりの損害……って俺……関係なくね?危険しかなくね?


「王都での暮らしはどうだい?」


ぐ………ぐぬ…………ぐぬぬぬぬ


王都で暮らしている物件……桔梗さん所有の豪邸で間借りしているんだった。暮らし始めてすぐに付近の相場を調べたら、同じ条件だと月の家賃は金貨10枚。6人がそれぞれ個室の物件……バス、トイレ無しで月の家賃……銀貨50枚と……ものすごく高い。桔梗さんの好意があったから王都で活動出来るようなもので………だから舞姉ちゃんと樹は料理コンテストに出場するし、俺も……嫌だけど武闘会に出る……のだけど……


「出場してくれればいい。簡単なお仕事だよ。」


……絶対簡単ではないと思うんだ。でも背に腹は変えられないんだよな……。


「それで……まずはコボルト相手に『逃げる』特訓って訳なんですね。」


『逃げる』特訓なんて普通出来ないからね。

そして『カヤモリ』と『アイカサ』の往復マラソンはスタミナアップの目的か……ようやく合点がいった。


「それでは上空で見守っていよう。」


魔術LV4透化インビジブル

魔術LV4飛行フライ


桔梗さんが魔術を唱えると桔梗さんの姿が急に見えなくなって……気配が消えた?


「それでは健闘を祈る。」


上空から桔梗さんの声が聞こえてくる……けど声がした方向に人影は無く……それと同時に『ガルルル』『グルルルル』等コボルトの呻き声が……


   出口まで第一エリアは一直線


と……いう事は

隠れるとかやり過ごすとか出来ない訳で……

遠目からでもよくわかる。石斧もった二足歩行の犬がゆっくりとこっちへ向かってくる。その数3。


食べてすぐ運動するのは良くないんだけどな……

『たたかう』?無理無理。


俺は必死に集中して……逃走ルートをイメージトレーニングする事にした。

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