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異世界は剣と料理と現代知識で  作者: わかね
第二章 文化祭と王国祭編
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072 夏休みはあっという間で

2022年 8月25日(木)〜26日(金)異世界サイド〜


「……終わった……」


冒険者ギルドでの無償の夕食作り。舞姉ちゃんの太刀の為とはいえ……長かったよ……え?日数が合わないって?週1だけど休日入れてもらったからね。休日無しとかやってられません。冒険者ギルドの調理担当職員も元々いる訳だし……

メニューも固定にして、月〜土を唐揚げ、オムライス、ハンバーグ、カレー、カツレツ、そしてガパオ。今までの道中で作った物のオンパレードでは一品足りないからってガパオを捻り出したよ。(ケバブは作業台が面倒だったのでパス)


お陰で冒険者以外の人達もギルドへ食事に来るとか割と盛況でした。今後も冒険者ギルドの料理を担当してくれないか?とか言われたけど………このままだとどこにも行けないから辞退しました。

舞姉ちゃんはずっと王都にいて色々な討伐クエストやっているけど、上野姉弟はしょっちゅう『カヤモリ』に行ってギャンブル三昧ですよ。


樹は配当の調整や新たなギャンブルの開発とかで桔梗さんの所に入り浸り、

楓さんは……王都のクエストで稼いだお金を『カヤモリ』のカジノに入り浸って散財するまでがワンセット。


……まぁ楓さんは気晴らしになればいいけど。

7月に予定していた新入生歓迎のバーベキューはコロナ第7波の影響で中止になったから。念入り準備して、消毒、除菌といった感染防止対策も決め……いざ!って時の中止決定はこたえるよね。案の定しばらく放心状態だった楓さん。『気晴らしに』ってカヤモリのカジノに連れて行った樹を責める気はないけど……ねぇ。


後片付けを終え、余った食材を手に冒険者ギルドを後にする。屋敷ではイディさん達が夕食を作って待ってくれているけど、もったいない精神からか持ち帰って有効活用している。主に舞姉ちゃんの晩酌のおつまみとして。


イディさんとミディちゃんだけど、結局冒険者は難しいと判断したイディさん。雇われメイドとして俺達が桔梗さんからあてがわれた屋敷に住み込んで働き始めた。もちろんPTメンバーからも脱退しました。

何度か討伐クエストを受注して、命の危険と今後の生活を天秤にかけた結果だから反対はしない。イディさんの『奴隷紋』も大分薄くなって来ているからこのまま献身的に身の回りの世話をしていれば、じきに解除するんじゃないかな。

『身の回り』といってもエッチな申し出は全て断っています……ってミディちゃんの教育上よろしくないから申し出もやめてほしい。『お背中流しましょうか?』とかミディちゃんが言い出した時はびっくりしたぞ。


……しかしこの屋敷……本当身分に不相応すぎる。部屋の数が住人の数倍あるし、ひとつひとつの部屋もただただ広い。大体……各部屋にトイレと猫足バスタブ付きのバスルームっているか?まるでホテルですよ。ベッドは天蓋付きのキングサイズ……現実世界では俺……二段ベッドなんですけど。

大浴場や食堂もそれだけで学校の教室並の広さ。庭も中央の噴水から放射状に広がって多種多様な花々がエリア別に植えてあり……庭の手入れや屋敷の清掃などは執事のキアンさん(ほぼ白髪の61歳男性)とその息子ドレンさん夫妻が担っていて、イディさんとミディちゃんがそのサポートに回っていた。


ただ、料理に関しては俺の側で色んな調理を見て来たイディさんが(いつのまにか料理スキル3になっていた)指導する立場になっていたけど。


何もかも現実世界とかけ離れた環境に最初は戸惑っていたけど、人間とは環境の変化に順応するもので……今ではキングサイズのベッドが心地よい。屋敷で生活したばかりの頃は寝付けずに部屋のすみっこで寝袋にくるまって寝てたから。


「あれ?舞姉ちゃんは?」


イディさんに持って帰って来た食材を渡して舞姉ちゃんの所在を聞く。


「屋敷内では見かけませんでしたので、おそらく『剣道場』かと」


そうなのだ。この西洋風の屋敷とは不釣り合いな『剣道場』が裏庭に建てられている。……なんとも桔梗さんらしいけどね。それもあってか……この夏休み期間中は舞姉ちゃんにみっちりしごかれましたよ。まだ剣術スキルはレベル2だけど、『そう遠くない内にレベル3になれるよ』と舞姉ちゃんにお墨付きもらえました。


「……ただいま」「……ただいま」


『カヤモリ』に行っていた樹と楓さんが帰って来た。

……なんか二人とも沈んでいる?楓さんはいつもの事だけど樹はなぜに?


「桔梗さんからもらった報酬も姉貴に持ってかれた」


………『お前の物は俺の物』的なヤツですか?……で弟の稼ぎも費やして、カジノですっからかんになったと。そりゃ重苦しくなるよね……ギャンブルなんて辞めればいいのに。


「それだけじゃないんだよ。来月の王国祭だけど……」


来月……9月の月末から10月9日までの10日間、建国祭と収穫祭を併せた『王国祭』が開催される。そのせいか王都は徐々にだけど人が増えて来た。冒険者ギルドマスターのリリーも『王国祭までには戻りたい』言っていたし、リリー自身も準備や何やらで忙しい。


お陰で夜のゴニョゴニョが無くなったから、現実世界で介護パンツは履かなくても良くなったのは救いだなー。


この世界に来て初めての祭りだからどういった催しがあるのか気になる所だけど、……露店で食べ物を売って商売出来れば良いな……位には思っている。


「その『王国祭』の催し物に『武闘大会』と『料理コンテスト』が開催されるんだけど……」


武闘大会と料理コンテストか……俺はどっちかっていうと『料理コンテスト』の方に出たいかな……


「桔梗さんが、俺達3人を『招待選手』として登録したって……」


こっちの事情はお構い無しですか……その辺り舞姉ちゃんの師匠だけあるな……


「ちなみに武闘大会は竜司だけな」


へ?樹と舞姉ちゃんは?3人登録って……


「俺と舞さんは……料理コンテストで登録したって」


え?え?………………



「えええええええええええええええええっ!!????」


思わず叫ぶ。そりゃそうだ。舞姉ちゃんの料理の酷さは……


昔あった出来事を思い出す。

キッチリした性格な母ちゃんは『曖昧』な所が苦手で……『野菜を3センチ角に切る』ってレシピサイトで書いてあったらキッチンに定規を持ち込んで測ったり……

『強火で5分』って時もキッチンタイマーで測って、肉の中に火が通ってなくても終わらせたり……(豚肉はキチンと火を通そうよ……)色々危険なのだ。


それなのに……よりにもよって『料理コンテスト』?


な……なんでまた……そんな地雷……を?……ないわー。


「なんでも舞さんを『武闘大会』に出場させるとオッズが出せなくなるって……」


『武闘大会』は冒険者ランク別に開催されるようで、Cランクの大会に舞姉ちゃんをエントリーするとオッズが偏るとか何とか……樹が桔梗さんのところで始める『新しいギャンブル』ってブックメーカーか。


「そして竜司も『料理コンテスト』に出ると一番人気になるからって……」


………それで俺が『武闘大会』?Cランク限定とはいえ、俺の戦闘力……実戦経験ほとんど無いのですけど?


「樹は……料理経験はあるの?」


「あるわけないだろ。俺の家では姉貴が料理全般担当なの。台所に入らせてくれなかったし」


自分の使い勝手がいいように道具とか配置しているから、肉親でもあまり台所には入って欲しくないよねー……ってそうじゃない。


武闘大会と料理コンテストにそれぞれ畑違いの3人が出場する……という事実に愕然とする俺達。


「っあの【ピーーーーーーーーーー】がーー!!」


剣道場から戻ってきた舞姉ちゃんが『武闘大会』に出場出来ないと聞いて荒れているけど

舞姉ちゃん……放送禁止用語叫んでいいの?その発言も『記録』に残って桔梗さんに読まれるよ?


王国祭への期待は不安へと変わった瞬間だった。

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