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異世界は剣と料理と現代知識で  作者: わかね
第一章  昇級クエスト道中編
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067 名物料理はヒラメキで

冒険者ギルドに戻って来た俺たちは、バニーガールの姿になっている楓さんとイディさん、ミディちゃんに目が点となった。


「賭けさせてくれないから、せめて近くで見たかった」


給仕のアルバイトなら入場は可能と……

どんだけギャンブル中毒なんですか……


「壺振りとかもしたしね。」


ミディちゃんと「ねー」って言い合っている姿は可愛いけど……鉄火場には似合わないような。


流石にサラシを巻いてのディーラーは辞退したそうだけど。(ちょっと見たかったな……)


ギャンブルの種類は時代劇でよく見る『丁』と『半』を当てるのと、サイコロ3つで出目を競ういわゆる『チンチロリン』の2種類。西洋風な世界観とはかけ離れたギャンブルだけど、スロットマシーンなんか出来そうにないし、トランプカードもまだ開発中との事で、単純な『サイコロ』を使った競技だけだ。


俺達への依頼も『他に何か出来ないか?』っていう未成年に対する依頼としてはどうかと思うけど、この世界は見た目の年齢と現実の年齢が離れている事が多いから……。


「それにしても……茅森師匠……吉沢さんにそっくりだったな……」

「樹もそう思っただろ?」

現実世界では70歳超えのおばあちゃんでも、こっちの世界なら20歳位の外見年齢。普通に『綺麗なお姉さん』なんだよな。



「思考が『日記』に記載されるのは勘弁してほしいのー」


舞姉ちゃんは俺の背でぐったりしながらつぶやく。

うん。俺もそれはずっと思っていた事だから。


「サイコロなら2つ使った『クラップス』とか3つ使った『大小シックボー』とかあるけど……」


樹のその知識はどこから来てるのかな?相変わらず変な所に博識だよな……


「後は……ルーレットとか作ってみるかな。」


38ポケットの本格的なやつではなくて、9個ポケットの簡易的なやつ……とは言うけど、9分割とかどうするの?分度器とか無いよ?


「それは三角関数で余裕だよ」


まだ習ってませんけど?

え?すでに数Iの予習は完了?


……頭の出来が違う人がここにいた。

来月頭の期末試験……教えて下さい。


「とりあえずカジノの件は俺が何とかするから、もう一つの依頼『カヤモリの名物料理』は竜司よろしくな」


そうなのだ。この昇級クエストの行程中、立ち寄る町でそれぞれ町の名物になりえる料理を提供して来たので(アイカサは素通りしたので無いけど)それを見越して桔梗さんから依頼されていたのだ。「それなら羊羹は?」と言ったけど、出来ればお菓子とは別物を作って欲しい……と。

しかも調味料やら食材やら……現実世界では簡単に手に入るものがこっちでは無い。パンだって二次発酵の概念さえなかったからね……。


「ん?……そうか。パン……サンドウィッチかな」

「おー!その手があったか。」


確か片手でカードしながら食べれるように作られたのが起源じゃなかったか?


「あーでもダメだ。パンはパンでも食パンタイプはまだ作れない」


食パンは四角い直方体の型が必要だ。この世界のパンといったら丸いパンがせいぜい。しかも以前はスープに浸さないと食べれない程の硬さ。

柔らかい丸パンは何とかなるけど、丸パンをサンドウィッチにするとなると………バーガーか?


ハンバーグも唐揚げも以前作ってたから……名物となるとねぇ。


結論が出ないまま……現実世界で何か出来ないか検索しようと思い、みんなで夕食にする。流石にバニーガールの格好は目のやり場に困るので着替えてもらった。


「へー。この町にヨーグルトあるんだ。」


夕食に出て来たのは、やっぱり硬いパンとフォレストラビットの香草焼き、ボアの塩味スープ……そして小さく切ったフルーツのプレーンヨーグルトがけ。

テーブルに砂糖が入っている壺が置かれてて、好みでかけて良いらしい。砂糖なんかは錬金術使えれば簡単に手に入るし貴重品ではないのがありがたい。


「ヨーグルト……ヨーグルト……」


南の地域で見かけなかったのは気候のせいか……それとも保存方法からか……出回ってはいないけど、普通に発酵物はあるんだなー。


…………ひとつ試したい物をひらめいた。


夕食後『キキョウさんの依頼』と話したら快く厨房を貸してくれたので早速実験……調理に取り掛かる。


パンは丸のままで薄く平べったい形にして焼き

フォレストラビットは何羽も塩コショウした後に大きな……鉄柱のような串に突き刺し、串の反対側には回せるハンドルを付けて……丸焼きみたいな感じにする。巨大な肉の円柱が出来上がった。

丸焼きは……さすがに厨房では出来ないので樹と楓さんに協力してもらい冒険者ギルドの裏庭でフォレストラビットの表面を焼いててもらう。


その間にキャベツを千切り……はイディさんとミディちゃんに任せて……俺はソース作りに取り掛かろう。

ソースはヨーグルトをベースにスパイスを混ぜて……


「こんな感じかな」


丁度焼き上がった平べったい円形のパンを半分に切る。半月となったパンを切り口から左右に開いて千切りキャベツを入れて………フォレストラビットの方はどうなったかな。


裏庭に行くとフォレストラビットの焼ける香ばしい香りが漂っていて、周囲の人々が『じー』っと注視しているが……今はまだ実験中だからダメです。


一旦丸焼きを中断してもらって、垂直に立たせた肉の柱から焼けている部分を削いでいって、キャベツの上に乗せたら


「ケバブか」「ケバブね」「美味しそうなのー」「食べたいのじゃ」


なぜにここにリリーがいる?……夜のお誘い?はぁ。

……ちょっと待ってね。


仕上げにヨーグルトソースをかけて完成した『ケバブ』

PTメンバーからはもちろん好評だったし、リリーやアズさんもおかわりするくらい。

厨房や裏庭で固唾を飲んで見守っていた人達の分も作り……

(大きかった肉の柱がか細くなったよ。)


疲れ果てたのだけど、リリー達に連行される俺。

すでに樹も『魅了』状態でいるし……

休息って何だろう……と本気で思い始めた1日だった。

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