表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界は剣と料理と現代知識で  作者: わかね
第一章  昇級クエスト道中編
67/104

066 カジノはCランク以上で

リリーに案内されて訪れた勇者茅森さんのお宅は確かに『奇妙な屋敷』だな。現地の人にとってみればだけど。

町中の家々は石造りだったのに対し、漆喰の壁に囲まれたこの一角は………リリーが『奇妙な屋敷』というのも頷ける。観音開きの門をくぐれば見えてくるのは池のある庭園と平屋建の……日本家屋だ。

出迎えしてくれた猫人の獣人は和装だし……歩いている板張りの廊下は『キュッキュッ』と鳴る……うぐいす張り。極め付けはその廊下から見える中庭。


「あれって枯山水?」

「だな」


ここは京都か何かか?


案内された和室も掛け軸やら生花やら……まさしく『和』で同一された空間。


「桔梗様はまだ戻られませんので、少々お待ちくださいませ」


これまた三つ指ついた丁寧な挨拶。

ここまでこだわるなら、食事環境もこだわって欲しかったけどね……


「お待たせして申し訳ございませんでした。」


30分ほど待たされて現れた桔梗さん……なんでもカジノでDランクの冒険者が来て揉めたらしい。Dランクは『駆け出し』に位置されていて、カジノは元よりダンジョンも立ち入りは制限されている。


「現在は昇級クエスト中らしいので、Cランクに上がってから来て欲しいものです。」


あれ?現在Dランクで昇級クエスト中って……

…………思い当たる人物がいるのだけど。


そう言いながらローブを外した桔梗さん……

その姿を見た俺と樹はしばし固まってしまった。あの時……始まりの町で剣術を教えてくれたお姉さん……クラスメイトの『吉沢 澪』さんとそっくりな風貌は決して見間違いではなかった。


「おや?君は……」


桔梗さんも俺に気がついたようだ。

それにしても桔梗さんが勇者で……現実世界では70歳超えの人で……舞姉ちゃんの師匠で……冒険者のランクはBB?色々こんがらがって来たぞ。


外見年齢と実年齢の違いについては舞姉ちゃんの件もあるから納得出来るけど……(それにしても若返りすぎだろ)

……その舞姉ちゃんは畳の上で五体投地のまま微動だにしない。




「そうか。あの『じゃじゃ馬舞』がねぇ」


流石にここでは『舞お姉ちゃん』は封印するようだ。


桔梗さんの話によると、この世界は桔梗さんの娘『茅森 理乃』(かやもり りの)さんと『相笠 健太』(あいかさ けんた)さんが共同開発して作り上げた世界。

(アイカサの町の名前もそこからか)


娘の理乃さんは都内で心療内科の医師をしていて、『夢』を使った治療方法を治験………試験運用している最中なんだとか。(そんな世界によく入れたな)


「昔は運営資金等も潤沢にあって、世界も広かったのだが……」


3年前にトラブルがあって事業規模が縮小。現在ある世界はこの……日本の本州の半分程度の島が2つあるだけだとか。


「娘の理乃もそうですが、3人とも料理関連は疎かったので、神代君の来訪は大歓迎です。」


俺たちの『日記』は中央サーバーに全て集まっているので、唐揚げにしろカレースパイス、オムライスや最近作り上げた羊羹も参考にしているとか。


「その度に相笠氏から『味覚エンジンの構築が……』と悲鳴上げてましたが……」


相笠さんはメインプログラマーだそうで……ごめんなさい。余計な仕事増やしました?

異世界の相笠さんはダンジョンの管理を任されている。


「いや。生活が向上するのは歓迎なのでこれからも頑張って欲しい」


勇者(桔梗さん)からお墨付きもらえました。

それにしても勇者が運営するカジノって『アリ』なのか?理乃さんがあるゲームを参考にした……っていう話だけど、多分『ドラゴンファンタジー』だろうな……


それにしても、桔梗さんが遅くなった原因が楓さんだったとは……申し訳ない気持ちでいっぱいです。


「くれぐれもカジノはCランクに上がってからにして下さいね。」


「はい」「言って聞かせます」


そう言って冒険者ギルドへと帰ろうとした俺たちだけど、


「ここで知り合えたのも何かの縁。良かったら君たちの成長を見せてくれないか?」


要は剣の指導をしたいらしい。俺との約束も覚えてくれていたようだ。


「それに……」


桔梗さんが微動だにしない舞姉ちゃんを一暼しながら


「師匠に対して『胸が大きいだけの小娘』と言う弟子にちょっと話をしたいからな……剣で」


舞姉ちゃんはビクン!と跳ね上がったかと思ったら次の瞬間プルプル震えてる……若干涙目?


それから夕方になるまで離れにある剣道場でみっちり指導してもらったよ。舞姉ちゃんはボコボコになったけど……


「基本の型をこれからも続けていけばもっと強くなれるよ」


「おー」「ありがとうございます師匠!」


樹はすぐ感化されるな……

それでも「強くなったね」って言われると嬉しくなるよ。俺は褒められて伸びるタイプなんですよ。


「舞もきちんと指導出来てるみたいだし、楽しみだね」


桔梗さんはにこやかに語りかけるが、舞姉ちゃんは返事がない。ただの屍のようだ。


「「ご指導ありがとうございました。」」


ぐったりしている舞姉ちゃんをおんぶして冒険者ギルド兼宿屋に戻ろうとした俺達だったが


「明日も稽古をつけよう。その代わりと言っては何だが……」


何でもカジノ関連で相談事があるそうだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ