061 出し物は白紙で
結局朝食も甘いメニュー。タピオカを白玉に見立ててぜんざいを作ってみた。
リリーからは好評だったけど、他の人達からはイマイチ。
タピオカ粉が黒かったのもあって、ぜんざいの色と被ってる。料理って見た目も重要なのだと再認識したよ。味は良かったのだけどね。
食事が終わって出発しようかと思ったが、雨が降り出して来たので今日はそのままこの場所に留まる事に。
晴れていると海辺の砂浜は硬く走行しやすいが、雨が降ると砂浜は最悪になるので周囲の人達も諦めムードだ。
テントは買い直して正解だった。あのまま出発してたら樹が開けた穴から雨水が入ってくる……まったくもう。
再利用として焚き火の上部を覆う布として役立ってはいるけど……
特にする事もないので所持品等をチェック。
ラーガミーガの海岸線で拾ってきた昆布と天草だけど、まずは乾燥させないと使い道が無いので保留。天草が使えるようになれば寒天や羊羹なんかも出来そうだけど。
早いけど、夕食用にいつものボア串を作り、リリーに頼まれた小豆を煮ながら考え中。……ん?羊羹か……
「あ……リリー。あんこを使った料理を思いついたけど、この『あんこ』使ってもいいか?」
「別に構わんが……何を作るのじゃ?」
配合は……現実世界で調べたいけど起きたばっかりだし、試しながらやっていくかな。
とりあえず小麦粉と片栗粉を6:4で配合。
そこに出来立てあんこと砂糖、水を投入し、ダマにならないようにかき混ぜてドロっとしてきた所で塩を少々。
そして……四角い容器……が無いので空いているお椀に投入。結構な数が出来るな。入りきらないので鍋ごとアイテムボックスへ。
料理スキルの温度調節で始めは温めて水分を飛ばし、後に冷やして固めると……
「試食してみて」
リリー達も含めて全員にお椀を渡す。材料は元々リリーのアイテムボックスにあった小豆だからね。
「!!!」
リリーの従者含めた全員が一口食べて固まっている。そして次の瞬間……一心不乱に食べ始めた。
「これは!!これはこれでいけるのじゃ!!」
リリーは『あんこ』ならなんでもいけるだろ。
アズさんもスプーンの上にプルルンとしている物体をマジマジと見つめている。
「まさかこっちでも『水ようかん』食べれるとは思わなかったのー」
「天草とかまだ乾燥してなかったのにどうして?」
小麦粉と片栗粉で代用したからちょっと食感が物足りないけど、紛れもなく『水ようかん』だった。粉を抑えめにしたのが良かったのかもしれない。
「現実世界でも参考になるかなーって作ってみたけど、簡単だし……次の町で売り出すのもありかな?」
「アリもアリ。大アリよ。現実世界でも行けそうね」
楓さんは文化祭の件も言っているのかな?楓さんが気にしている『原価率』も悪くは無いと思うし……むしろかなり良い。それに向こうでは材料なんて簡単に手に入るし。
次の町での販売物の目処が立ったから、後は雨が止むのを待つだけかな……そしたらまたランニングなのか?
舞姉ちゃんと目があったらニッコリされた。うん。走るんだね。一日置きに雨降らないかな。筋肉痛とかは無いから大丈夫といえば大丈夫なんだけど。
2022年 6月 8日(水)現実世界サイド〜
ホームルームで昨日の料理部で話に出た『原価率』を説明したらクラス全員が青ざめてた。
「マジか!メイドの格好させられてその時給とか衣装代もでないぞ!」
とか
「いっそのこと価格を500円にする?」
「いや、コンビニスイーツの価格は知られてるから、その価格はかなりのボッタクリだぞ」
「それなら『あーん』ってメイドが食べさせてあげるサービスは?」
……それは別系統のお店になりそうだぞ。文化祭で出来る訳ないだろ………ほら担任も両腕で大きな『✖️』出してるし、風俗な営業はダメですよ。それに食べさせてあげるサービスなんてやりたくない。
「それなら原価が見えずらい商品を出すしかないな」
樹からの意見に『確かに』とクラス全員が納得する。
その後も色々意見が出てきたけど、結局まとまらなくて保留になってしまった。まだ2ヶ月以上あるとはいえ、早く決めて安心したいものだ。
「私はー竜司クンに『あーん』てしてもらいたいけどねー」
母ちゃんは何を言い出すんだ。それは担任からもダメ出しされたって言ったじゃないか。
「竜司クンのケチー」
夕食を食べ終えて久しぶりの『一狩り』
異世界と被るからあまり起動してなかったゲーム機だけど、せっかくもらったからには遊び尽くさないとね。
勉強?もちろん予習も含めて終わってるよ。
暗記系は単語帳を使えば調理中でも出来るし。
「じゃあ今日は『飛竜』行ってみようかー」
上級に上がったばっかりの俺にいきなり飛竜ですか?相変わらず容赦ないな……母ちゃんは。
「だからー尻尾が一瞬浮かび上がるからーそこでシュってかわすのー」
飛竜のサマーソルトを食らっていつもの様に猫車で運ばれていく俺。……飛竜ってサマーソルトするんだ。
それにしても、ゲームの方は教え方が酷すぎる。
「しっぽーしっぽーしっぽーなのー」
変な歌まで歌い出す母ちゃん。尻尾なんて何に使うんだよ……え?装備を作るのに必要なの?
早く言ってよ……スタート地点からリスタートして戦場へたどり着いたは良いけど
すでに飛竜は倒されていて……尻尾を剥ぎ取ろうとしたら
冒険者ギルドへ戻された。
「………………」
「………………ごめん」
楽しちゃダメっていう啓示ですかね?




