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異世界は剣と料理と現代知識で  作者: わかね
第一章  昇級クエスト道中編
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055 カウントダウンは無慈悲で

2022年 6月 3日(金)〜 4日(土)異世界サイド〜


「そう……ですか……」


冒険者ギルド中にあるテーブルに肘をつき力無く座る丸山さん。現実世界での丸山さんは……4月20日に永眠していた。


しばらく沈黙が続いて重苦しい雰囲気に包まれる食堂だが、


「それって奥さんと娘さんさんを招待すれば異世界こっちで会えるのでは?」


樹の一言で希望(?)が見えてきた……のかな……


「丸山さんのスマホにも行動記録が小説として記載されていると思いますが、奥さんや娘さんに異世界の話とかはされてますか?」


「ええ……『異世界でも醤油作りなんだ』って呆れられましたが。」


まさに『寝ても覚めても』ってやつだな。

でも、それなら話は早いかな。事前情報もなく、いきなり『異世界で知り合いました』って言われても怪しい人扱いされるのがオチ。

うーん。もう一度電話して亡くなった誠さんのスマホを起動してもらう?

………でも解約とかしていたら起動も招待も出来ないだろうし……


「解約しててもー、スマホ本体があったらアプリも残ってるよー。」


「え?そうなの?」


「接続するにはWi-Fi環境が必要なんだけどな。」


舞姉ちゃんと樹からレクチャーを受ける。


……なるほどねー

何せ俺はまだスマホデビュー2カ月なのでそういったやり取りは疎いのよ……。


「……それでも厳しいかもしれません。娘のももはもちろん持ってませんが、妻の百合香ゆりかもスマホではなくて……ガラケーです。4G対応の機種で……」


まぁ小学1年の娘さんは持ってないのは分かるよ。

うん。俺だってようやくスマホ持たせてくれたんだし。

ただ……奥さんもスマホじゃないってのは……

…………ガラケー。まだあったんだ。


どうしよう。


「こうなったら現地に行くのが一番早いのー」


え?現実世界で?かなりの距離離れてますよ?


舞姉ちゃんがやる気だ。暴走しそうで怖いけど。

……でもこうなったら猪突猛進だからなー


あ……って事はこの町でも数日の滞在確定?

路銀の心配はないんだけど、昇級クエストのポイントがやばくないか?1日でマイナス100ポイントって言っていたし……



とりあえず冒険者ギルドの奥にいたリリーに数日の滞在を告げる。リリーは『やれやれ』とため息ついた後


「了解したのじゃ。……しかし、イディ親子の時といい……お主らそろってお人好しじゃのう」


「返す言葉もございません。」


そういうリリーも『嫌悪』という感じではなさそうだし、似たり寄ったりなのかもな。


「ところで……滞在のポイント減算を止める方法があるのじゃが……」


えーっとそれって……いつものアレですか?

………

……………



「まてまて!!今日俺は介護パンツ履いてきて無いぞ!」


嫌がる樹だが、町で泊まるのに履いてないお前が悪い。

俺は不測の事態でも対応出来るよう、町で宿泊する時はいっつも履いている。


「なんか……あえてそっち方面に行こうとしてない?」


楓さんの疑惑が突き刺さるが………

楽して強くなれるなら良くないですか?

実際は楽じゃないだろうけど、記憶無いし。



2022年 6月 4日(土)現実世界サイド〜


「……はい。急な申し出ですみません。それではごめんください。」


母ちゃんが電話している相手は丸山さん。

異世界での勢いそのままに弔問に伺う事にしたのだが、明日は四十九日法要で納骨するというので

急遽今日の午後行く……って今日!?


「ほらー早く支度するのー」


すでにスーツ姿の母ちゃん。

俺も失礼の無いようにって学校の制服だ。

一応って事で着替えとか持って行くけど……介護パンツもな。


自動車で最寄駅まで出て在来線、新幹線、そしてまた在来線。それでも午前中に埼玉県の川越に着くってすごいなー。

昇級クエストの300キロは1カ月かけてようやく半分の150キロだというのに。


そこからバスで15分位なのだが


「流石にお昼時に着くのは避けたいねー」


駅周辺でお昼を食べてから行く事にした。

スマホで周辺の飲食店を検索していた母ちゃんが


「これなのー!!」


って歓喜の声をあげる。


………

…………

……………


検索して入ったお店はラーメン屋。

他の客を見てみるが、食べてるラーメンが……なんか『赤い』んですけど……


母ちゃん曰くカップラーメンでも発売した事がある

辛いけど美味しいって………俺は辛いの得意じゃないのですが……え?辛さを抑えたメニューもある?


お願いしますよ……本当に。


………

…………

……………


母ちゃんの言う事は絶対に信じない。

ラーメン食べるのにあんなに水を飲むとは思わなかった。

吹き出す汗が止まらない。舌がいまだにヒリヒリする。


「美味しかったのー」


母ちゃんは汗を全くかかずに完食。

この違いは何?俺はきっと父ちゃん似なんだ。



「遠路はるばるありがとうございます。」


丸山百合香さんの出迎えでアパートの一室に鎮座している誠さんの遺骨と遺影に対面。


遺影は異世界での体型そのまま……頭髪が……な誠さんの笑顔がそこにあった。

一緒に飾られているのは丸山さん親子3人で撮影された卒園式の写真。それと百合香さんと桃ちゃん2人で映る入学式の写真。そして1台のスマホ。


事の成り行きを説明し、俺のスマホの行動記録を読破した百合香さんは静かに涙を流し……そばで寄り添う桃ちゃんを抱きしめる。


その後4人で駅前まで移動して百合香さんと桃ちゃんのスマホを作り再びアパートへ。


誠さんのスマホを起動して

『胡蝶の夢』アプリのアイコン兼QRコードを読み込ませようと…………


「あれ?」


俺や母ちゃんのアプリアイコンと微妙に違う『胡蝶の夢』アプリ。

アプリアイコンの下側には『残り01日08時間25分36秒』と表記してあってカウントダウンしている……


このカウントダウンって……

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