050 お子様ランチはお祝いで
2022年 5月20日(金)現実世界サイド〜
「ずっとかき混ぜ続けていけば、こうドロっとしてくるので……これをチキンライスにかければ完成です。」
放課後の料理部活動なのだが、異世界での『オムライス』が気になった楓さんからのリクエストで実演する事になった。
「緩いスクランブルエッグをかける感じだね」
「卵かけご飯の豪華版?」
「卵で包んで無くてもオムライス?」
「たんぽぽオムライスも包んでないよ?」
先輩方も興味津々でメモを取りながら見学中。
作り方も簡単だから家で試してみるのも良いかも
それにしても……
部員全員女性だから妙に緊張するのですけど?
吉沢さんも熱心に見てくるので自然と頬が赤くなる。
ケチャップやコンソメなんかはもちろん市販のだけど、異世界版『オムライス』は再現できたかな。
「『湯煎』で卵を温める発想は無かったわ」
楓さんも調理法に驚いているけど、要は「茶碗蒸し」の応用なんだよなー。同時生産で楽したかっただけです。
それにしても先輩方……普通にお昼食べてたよね?
放課後とはいえ、大丈夫ですか?体重とか……
楓さんから睨まれた。
……思った事が顔に出るのは中々治らないなー。反省。
家に帰ると母ちゃんからLINEで
『異世界で竜司クンが作ったオムライスを再現して』
ってリクエストが届いた。
………マジか。
とりあえず母ちゃん用に作るけど、俺は別メニューを。
異世界でも作れそうな『肉巻きおにぎり』を
作ってみるかな……現地に合わせて玄米で。
とんかつ、唐揚げ、カレースパイスと来てオムライスと
料理がどんどん異世界に広がっていく感じがする。
この『肉巻きおにぎり』もまた誰かに教えれば
広がっていくのかなー
他に現地素材で出来るとすれば……
ブラウンソースやベシャメルソースなんかも可能か。
異世界に行った頃は味噌や醤油を望んでいたけど
無いなら無いなりで色んな方法を見つけ出せば良い。
ブラウンソースもデミグラスの素にもなるし
ケチャップも作ったからバリエーションは増えた。
「その肉巻きおにぎりも美味しそうねー」
……オムライスあるでしょうに
「異世界でも出来るように玄米で作ってみたよ」
とりあえず一つを母ちゃんのオムライスの皿に乗せて…
……はっ!!
これ……
小さなハンバーグとか載せたら『お子様ランチ』だな
2022年 5月20日(金)〜21日(土)異世界サイド〜
天蓋付きの豪奢なベッドで目覚めた朝。
いそいそと服を着て寝室を出た所で樹とばったり会う。
「おはようございます。昨夜はお楽しみでしたね」
「……お前もなー」
はぁ……2人して同時にため息が出てくるのはしょうがない。3年後じゃないと記憶も記録も残らないから。
「今晩も待っているのじゃ」
昨夜会った時、目の下にクマを作ってゲッソリしていたリリーだったが、すっかり体調が良くなって鼻歌交じりで紅茶をすすっている。肌艶が良いのは……そういう事なんだろう。
今日は黒のゴスロリ風ファッションなのね。
「だから黒は……」
「余計なお世話じゃ!」
そんなやりとりをした後、朝食の為1階へ降りていくと
舞姉ちゃんがクエスト受注して待ち構えていた。
「この町での滞在期間中は2人にはこのクエストをやってもらうよー」
ってそれ『田植え』じゃないですか……
「足腰を鍛えるのに丁度良いのよー」
もちろん異世界は田植え機なんて物は存在しない。
手で苗を水田へ植えていく昔ながらの田植え方法。
俺や樹も中学生の時【農業体験】の授業で田植えやった事あるけど……あれずっと中腰の姿勢だからキツいのよね。
「楓さんとイディさんと私は露店担当するから、『解呪』資金とかは心配しなくて大丈夫よー」
イディさんもミディちゃんをおんぶしながら売り子頑張っていたそうで、問題無かったって。
ミディちゃんが起きている時はマスコットキャラになって売り子の補助していたそうだし、その点は心配してないんだけど…………
「最近竜司クン……稽古サボっているからー」
確かに……ここの所料理ばっかりしていたなー
クエストの内容は午前中だけだし
夕食担当には影響は無い……のか。
これ……朝から晩までスケジュールぎっしり?
「スパイスの配合とかは?」
「レシピは覚えだから大丈夫よ」
楓さんも俺が強くなる事に賛成だから協力してくれる。
………外堀埋められた。
「一緒に頑張ろうぜ!」
嬉々として張り切る樹は……味方でなかった。
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2022年 5月31日(火)〜 6月 1日(水)異世界サイド〜
カンディナでの滞在期間最終日。
リリーが思っていた以上に仕事が溜まっていたそうで
滞在期間は5日延期された。
俺たちは「田植え」や露店で稼げたし、文句は無い。
……王都でのバイト日数も62日まで減ったからねー
今日は出発前に『解呪』してもらうので
イディさん親子含めPT全員で教会へ向かう。
「それでは2人分で金貨2枚になります」
この滞在期間で保存食材やスパイスのストック
そして路銀はかなり潤った。
イディ親子の『解呪』代金を支払っても
手元に銀貨216枚ある。
順番に『解呪』かけてもらって……
2人が眩く発光し……光が収まってくると同時に
顔の両脇にあった耳が消え、
頭頂部に犬の垂れ耳が現れた。
ミディちゃんは100センチくらいだった身長が
みるみる大きくなって140センチくらいに成長し……
「パパー!ありがとうー!!」
俺に思いっきり抱きついてくるミディちゃん。
ってミディちゃん喋れるようになったのは嬉しいけど
俺はパパじゃないから。
お尻から尻尾が生えてブンブン振れている……
本当に『犬人』になったんだ……
楓さん……ジトーっとした目を向けるのやめませんか?
「これで明日から再び王都へ向けて出発かなー」
俺たちじゃなくてリリーの都合だったからね。
今日の夕食は『お子様ランチ』にでもしてみるかな
ミディちゃんが食べれると良いけど。
10月から始めた物語も目標だった
『年内10万字』達成する事が出来ました。
初めての投稿で上手く伝わっているか不安です。
投稿ペースは今くらいの間隔で
・1話2000文字前後
・2〜3日間隔で更新
でいきたいと思います。
新年は仕事が立て込んでいるので
1/7からの更新ですが
今後とも宜しくお願いします。
それでは良いお年を。
追記:5000PVありがとうございます。




