005 アプリアイコンはQRコードで
目覚まし時計より早く起きた朝。
スマホを起動するとやはり『胡蝶の夢』アプリに新着メッセージがあり、昨夜の夢の内容だった。
所々忘れかけてた夢の内容だったので、確認の意味でもありがたい。
錬金術と魔術が化学と物理だった事にも驚いたが、一番の収穫は戦闘訓練だった。
魔物に限らず、戦闘行動をする時の予備動作を見抜く事が重要……って結局は経験と訓練あるのみなんだけどねー。
例外の代表例は『居合い』だそうで、説明されたけど素人には理解出来ませんって。
それでも母ちゃんよりは教えるの上手。
綺麗な黒髪ロングのお姉さんだったし……また教えてもらえる約束もした。名前聞き忘れてたけど。
早く夜にならないかなー。
起きてきた母ちゃんと朝食とりながらの会話は、昨日の夢の内容。
「なかなか面白そうな場所だねー。そのアプリ招待とか出来ないの?」
「うーん。でも…安全性とかわからないから、母ちゃん誘うのもなー。」
「だったら尚更よ。危険な場所に竜司クン1人で行かせる訳にはいかないしー。」
相変わらずの過保護である。
始まりの街?から全く動いてないし、そもそも街の名前自体知らない。チート的な能力やスキルもない手探り状態だと説明しても『行く』と言って聞かないので
仕方なくアプリを起動するが、招待機能が見当たらない。
『胡蝶の夢』アプリのホーム画面にあるのは
背景が白の黒字で
日誌、感想、検索、同期、リセット
と5つのみボタン表示になっているだけだった。
シンプルというか…何というか……
日誌は昨日と一昨日の夢の内容。
冒険者はじめて物語みたいになっている。
感想は……閲覧数と感想書き込みエリアかな?
どっちもまだ無いけどね。
検索と同期はまだアミカケになっていて、使用出来ない状態。
リセットは……押すと
『リュウジ=カミシロを消去しますか?』
確認画面が現れた。もちろんNOです。
どうすれば招待できるんだろ?
とりあえずスマホを母ちゃんに渡して自分は朝食の後片付け。
今日は教科書を買いに行って、制服の受け取り等々入学準備をしなきゃ。
そのままスマホは母ちゃんに預けて、買い物等済ませ
る。今日の夕食のおかずも購入。
帰宅すると意気揚々と母ちゃんがスマホ画面を見せてきた。
「招待画面が無くて、色々試してみたけど、アプリアイコンがQRコードになってたのよー。」
すっごくご満悦だ。
無事母ちゃんのスマホにも『胡蝶の夢』アプリがインストールされていた。
知り合いが一緒に冒険出来る安心感はあるのだけど、母ちゃんなんだよなー。
親離れ、子離れは当分先の話だな。
その日はゲームをする事無く2人とも早めの就寝となった。