表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界は剣と料理と現代知識で  作者: わかね
第一章  昇級クエスト道中編
46/104

045 結論は先送りで

2022年 5月17日(火)現実世界サイド〜


「人間の姿に戻ったままで眠ってるのー」


朝食時に母ちゃんから報告があった。

これも入眠によって切り替わる時間軸のズレだな。


リリー達からのコンタクトは特に無く、

イディさんの回復待ち。


狼状態では禁忌なニンニクも人には無害だから

あれ以上の悪化はないだろう。


イディさんはとりあえず母ちゃんの寝袋を使って

す巻き状態にしてあるそうだ。


いつ覚醒して襲い掛かってくるかもしれないから

必要な処置だよね。



イディさんは人狼だった。



村人が誰もいなくなっていたのは……

考えただけで身震いしてくる。


そうなるとミディちゃんも人狼なのかな?


「なぁ……母ちゃん……あの親娘……」


続きの言葉が出てこない。救いたいのか

……それとも討伐したいのか………


「リリーちゃんに詳しい話を聞いてみたいのー」


朝食後の緑茶をすすった母ちゃんが呟く。

視線は湯呑みを見つめているが、

母ちゃんも判断に迷っているようだ。





放課後の部活動はバーベキューの日程決め等

重要な話し合いのはずなのだが

侃侃諤諤けんけんがくがくとまとまりつかない。


部長の楓さんが正気に戻ってなんとかなったけど、

楓さんも異世界あっちが気になっていたのだろう。


結局『新入生歓迎バーベキュー』は


7/19(火)の放課後

場所は校庭と体育館の間にある水飲み場付近に決定した。



「お疲れ様でした。」


今日は話し合いのみだったので、決定したら即解散。

他の先輩達はバーベキューで何を焼くか

話しながら帰宅していった。


俺は自宅から持ってきた緑茶を淹れて楓さんにだす。

ティーパックだけどねー


「ありがとう」


どちらから話すでもなく、時間だけが過ぎてゆく。


しばらく経って調理室のドアが開いて樹が入ってきた。


「灯りがついていたから、まだいると思って来たが……今日も2人だけだったのか?」


「話し合いはとっくに終わったよ。異世界あっちの件で相談したくてね……」


「も」ってなんだよ……


「玉ねぎが禁止食材ってよく知ってたな……」


樹にも緑茶を淹れて出す。

樹は準備室の冷凍庫から氷を取り出して湯呑みにドバドバ入れていく……部外者なのに詳しくなったなー


「小さい頃子犬を飼ってた頃があってな」


初耳だよ。


「知り合いから譲り受けたんだよ。沢山産んだから1匹どうですかって……」


冷えた緑茶を一気にあおる樹。


「もらってすぐ………俺の好物のハンバーグを分け与えたら泡吹いて倒れて……2日後に死んじゃって……」


それ……「飼っていた」と言えるのか?


「悔しくて姉貴と調べたんだよ……」


それがあの機転の要因か……


「しかし、剣でも魔法でもない方法で倒すなんてな……」


「…竜司君……イディさんをどうするの?」


楓さんが部活の時も元気がなかった原因はこれ。

俺もずっと考えていたけど


「母ちゃんは人狼の事をリリーに聞いてみようか?って考えだよ。ミディちゃんの事もあるから、トドメを刺すのは俺も避けたい。」


確かに命を狙われた……ってのもあるけど

お乳を出す為の栄養補給って意味もあったのかな?


考えてみれば、村があんな惨状なのに授乳出来た事自体

不思議っちゃ不思議だったわけで。


街道にあった朽ちた馬車や人骨も

イディさんの食糧だったのかな……


「リリーは絶対に何か知っているよなー」


そうなんだけど……でもね?

情報って対価が必要じゃない……


「対価なら次の町で樹と竜司君が『奉仕』すればいいだけじゃない」


………その未来が見えるからやなんだよ……


「介護用パンツ履けば被害は最小限で済むんでしょ?」


楓さん……かなりドライですね。

俺や樹の気持ち……とか尊厳……とかは?


「竜司……このPTって女性陣が強すぎないか?」


何を今さら………


「じゃあとりあえず、リリーに人狼の事を聞いて……イディさんの処置はそれからって事でいいかな?」


「意義なし」

「私もそれで」


なんか先送り感がするけど……

人狼の事知らなすぎるからな……


治るなら治したいし……治らないなら……

その時は可哀想だけど……



自宅に帰って母ちゃんにもその方針を伝えた。


「私もそれでいいと思う。」


憂鬱な気分でベッドに入るのは、はじめてかも……



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ