表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界は剣と料理と現代知識で  作者: わかね
第一章  昇級クエスト道中編
44/104

043 夜戦は再びで

2022年 5月16日(月)〜17日(火)異世界サイド〜


樹と楓さんの姉弟と見張りを交代。


入眠する事で異世界と現実世界が入れ替わるから、

今の俺とこれから仮眠する樹では

時間軸が多少前後する。


これ、ギャンブルとかに使える?かと思ったのだが、

樹から


「因果律が変化するから使えないだろう」


ってさ。


例えば………俺が競馬の結果を樹に教える。

樹はその結果を元に馬券を購入する

(まだ未成年だから買えないけどね)

そうするとオッズがズレて

俺が見た結果と違う結末になる。

下手したら結果そのものが改変していまう。


『未来は不変ではなく万変』


それがこの一カ月半の間に俺と樹の間で出た結論だ。


変わらないのは………気象など

個人では因果律への影響が与えられない物くらいかな。


「あ………今日の午後2時から土砂降りなるから、俺の分も傘持って行ってくれるとありがたい」


実際、下校する時に樹から

『お前に言われたよ』

とビニール傘を借りたからな。


「なんだよ今日は雨なのか……」

「午後の一時的だよ。夕方には晴れたし、満月が綺麗だったぞ。」


山の天気は変わりやすいからねー。


とりあえず寝袋をたたんでしまい

いつものように舞姉ちゃんを起こして

焚き火の火の番をする。


「おやすみ」「おやすみなさい」


樹と楓さんもテントに入っていく

廃墟と化した村の中央広場。


舞姉ちゃんはいつものように焚き火から

少し離れた位置で正座をして周囲を警戒している。


リリー達の馬車も広場中央に停めて

馬も広場の所で休んでいた。


リリー達も見張りを交代したようで

アズさんとリリーが馬車の中から出てくる。


「目の腫れは大丈夫かのう?」


リリーがニヤニヤ笑いながら出てきた。


それが言いたくて見張りを買って出たのか………

いつもは朝まで(朝ご飯まで)グッスリのくせに…



イディさんとミディちゃん親子は夕食後

広場から少し離れた家へと帰って行った。

俺からの乾燥ボア肉を大量に抱えて


「乾燥ボア肉あんなに上げてよかったのか?」


畑は壊滅的で、産業は他に何も無いこの地では

食いつなぐのは厳しいと思ったから分け与えたのだ。


「次の町で仕入れすればいいだけだよ。」


生肉のボアと水牛を渡しても日持ちしないから

乾燥ボアを渡したまで。


『一緒に町までいく?』との申し出も

『主人が帰ってくるので、二人で待っています。』


と丁重に断られた。


焚き火へ生木をくべると『パチッ』と爆ぜる音が

月明かりの空へ広がっていく。


月齢が現実世界と同じなら次の夜が満月かな

しばらくは満月に近い月を眺める俺とリリー。


「お主は……『幸福な王子』のようじゃ」


よく知っているな……現実世界あっちの物語を


「よせよ。自己犠牲の精神は持ち合わせてない。」


「対価を求めぬ時点で同じじゃよ」


………リリーの言っている事も分かる。


「………あの親子は、昔の俺と被るからかな」


家も……父ちゃんも失って途方に暮れてた

俺達親子を助けてくれたボランティアの人たち


避難所の生活では互いに持ち寄って助け合っていた日々


最近はこの『胡蝶の夢』があるから見てないけど

それ以前はほぼ毎日……夢で見続けていた

父ちゃんと最後に交わした言葉……


「………俺に余裕がある時だけだよ」


「あの親子も……お主の心情が理解できるかのう」


「結局は俺の自己満足なだけなのかもな」


理解されなくても良い。


とりあえずボア肉と水牛の

肉だけハンバーグを作っていく


時間停止のアイテムボックスがあるから、

焼くだけの状態でも、焼いた状態でも保管できる。


ニンニクスライスを混ぜ込んだ

スタミナ満点なハンバーグや


カレースパイスを混ぜ込んだカレーハンバーグ


2種類しか出来ないけど、時間潰し……と割り切って

外が明るくなるまで焼き続けた。



朝食にイディさん親子も招待して

昨夜のボアスープの残りと

焼きたてで保管したハンバーグの朝食。


イディさんは俺と樹から離れた場所で食べながら授乳。


舞姉ちゃんと楓さんの睨みがあるので

俺と樹は後ろを向いて黙々と食べた。





簡単な別れを告げて旅立った俺達一行だが


日も高くなりかけた頃、街道付近の惨状に目を見張った。


村からは10キロくらい歩いたあたりだろうか……

街道脇には、朽ち果てた馬車や野営の後


そして



人骨が数体……


馬車のボロボロ具合から、最近ではないと思うのだが

それにしたって尋常ではない。


そんな俺達をニヤニヤしながら見つめているリリー。


(知ってて黙っているよなー絶対)


朽ち果てた馬車は全部で3基

人骨は15体分あった。



俺達は手分けして穴を掘り、人骨を埋葬していく。


「ここでは野営したくない」


時間的にはそろそろ野営準備しないといけないが、

楓さんの言い分ももっともだし、俺も嫌だ。



埋葬地点からさらに2キロ位歩いた場所で

急いで野営準備を進めていく。



ハンバーグを多めに焼いておいて良かったよ………


スープを作る時間的余裕はなかったので

ハンバーグのみの夕食を食べ、

そろそろ見張りの為寝ようかと思った時だった。


「ワオオオオオオオオオン!!!」


すぐ近くでの遠吠え。

以前対峙した黒狼とはまた違う、高めめの声だ。


舞姉ちゃんも寝袋をテントの中に放りこみ

焚き火のそばまでかけ戻る。


リリーはニヤニヤ馬車の窓からずっとこっちを見て


「届かなかったようじゃな」と一言。



何が?


とりあえず再び夜戦の体制を整える俺達だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ