040 水牛はハンバーグで
水牛………かぁ………
食用に改良された牛肉と違って野生の水牛でしょ?
むう……いい案が思いつかない。
とりあえず、色々試してみますか。
「今日はこの辺りで野営しましょう」
まだ日は高いが、夜間の灯りは心許ない。
コリさんの意見に反対する理由は無く、
そのまま俺達も野営準備に取り掛かる。
荷物を運搬する馬のおかげで結構歩いた気がする。
アズさん達に聞けば村まで半分との事なので
15キロ歩いた訳だ。
馬は近くの灌木に繋ぎ、近くの草を喰んでもらう。
リリーもようやく起き、アズさんのアイテムボックスに収納してあるハイエナ5頭に喜んでた。
(ハイエナで料理…とか言われなくて良かった)
ハイエナと水牛をアズさん達が
街道と馬車から離れた場所で血抜きと内臓処理。
俺達はそれを見ないようにテント張って
馬車との間に簡易な竈を作っていく。
結局俺と樹の寝袋は中古のままだ。
……というのも
「お主らのテントから、芳ばしい香りがするのじゃ」
カレースパイスの匂いがあちこちに染み付いて
加齢臭を気にしない位になってしまったのだ。
血抜きと内臓処理が終わった水牛が肉塊となって
俺の目の前にある。
予想通り筋張っているなー
ひと口大の大きさに切った水牛を
塩、コショウをふりかけ、炙って食べてみる。
………
……………
…………………味の薄いガム……ダメだ。
今度は、鍋に入れて煮込んでみる。
噛み切れない………ゴムっぽい。
これもダメ。
結論:酷い牛すじ
料理スキルのLV3『加圧調理』でも
試してみようかなーと思って
スキルを開いたら、
いつの間にか料理スキルが
LV5
になっていた。しかも
料理スキルLV5
『挽肉製造』『真空調理』
挽肉!!
これはハンバーグ作れという天啓でしょ。
とはいえ、卵も玉ねぎも無い。
パンを細かくしてパン粉だけ加えてもな………
しかも水牛を焼くと結構水分が出る。
油分を出す為ボアとの合い挽きにするとして
水分は片栗粉をまぶせばなんとかなるかな?
そういえば某有名ハンバーガーチェーン店が
100%ビーフハンバーグとか言っているし
合い挽き100%でもできるだろう。
水牛の肉塊とボアの肉塊を同じくらいの量にして……
料理スキルLV5『挽肉製造』
一瞬で挽肉になったのには、俺と楓さんもびっくり。
樹と舞姉ちゃんは
剣道の訓練中だったので見てなかったが、
別の機会にでも見せたい。
(段々と所持スキルがチート化してきているな)
味付けは塩とコショウのみにしようと思ったのだが、
「なんじゃ。魔法の粉は使わんのか?」
「魔法の粉……ってこれのことか?」
アイテムボックスからカレースパイスの入った壺を
全部取りだしてリリーに見せる。
「そうそう。それじゃ!それじゃ!楽しみだったのじゃ」
そういいながらスパイスの入った壺を1つ持っていって…
「皆が美味しそうに食べておったからのう……」
スパイスの粉をスプーンですくって直接口の中へ……
鮮やかな赤い……そのスパイスは!!
「あ………」
………時すでに遅し。
「!!!!!!」
スプーンを口に咥えたまま固まっているリリー。
その白磁のような頬がみるみる赤く変色して
ぶはぁ!!!っとスプーンごと吐き出し
「辛いのじゃ!!辛いのじゃ!!」
地面をゴロゴロ転がりまわる。
「痛いのじゃ!!痛いのじゃ!!」
地面をジタバタのたうちまわる。
アズさんが錬金術で水を精製して
すさまじい勢いで水を飲んでいくリリー。
…………無茶しやがって……
「あれはなんじゃ!あんなのに人は群がっていたのか?」
「あれは……舞姉ちゃん専用のスパイスだよ。」
確かめもせず、いきなり口にするからだろ……
「あんなのを好むとは、お主の姉の舌はバカなのか?」
否定はしないよ。俺だってあんなの食べたくない。
「酷い目にあったのじゃ……舌がヒリヒリするのじゃ」
辛さを抑えたカレースパイスもあるぞと言ったのだが、
「絶対にイヤじゃ!」
…………恐怖心を植え付けたようだ。
トラウマにならなきゃ良いけど。
とりあえず予定通りに肉だけハンバーグを作っていく。
………
…………
………………
おかしい……
一体俺は何枚ハンバーグを焼けばいいんだろ。
「おかわりなのじゃ!」
リリーよ……それ5枚目だぞ。
結局『中辛』のカレースパイスをかけて食べるリリー。
周りがスパイスをかけているのを見て
我慢できなくなったようだ。
香りが立つからなー。匂いに釣られたかもしれない。
他の人達も3枚、4枚……とペロって
「あの水牛がこんなに美味しくなるなんて……」
料理担当のアズさんも驚愕している。
塩とコショウのみの味付けは肉汁も加わって美味しいし、
カレースパイスでアクセントつけたハンバーグも高評価。
難点は、主食が無いから腹いっぱいまで
かなりの量を焼かないといけない点。
俺も焼きながら食べるいつものスタイルだ。
片栗粉が水牛の水分を抑え込んでいるから、
肉汁も十分堪能できて、水っぽさが消えるのは
良い発見だったと思う。
「それにしてもお主は、お人好しじゃのう。」
もぐもぐ食べながらリリーが
カレースパイスを片手に持ちながら話し出す。
食べながら喋るのはマナー違反だぞ。
「これを売り出せば、かなりの財を築けるというのに……」
でもそれだと俺は作る側だけじゃないか。
「俺達のいる世界には、まだまだたくさんの調理法や調味料があるんだよ。」
味噌や醤油、ナンプラーや豆板醤、甜麵醬……
数え挙げたらキリがない。
スパイスだってターガナでは6種類しか使わなかったが
有名店では50種以上も併せている話もある。
「独占するより、広めて……独自のレシピや、変わった調味料が生み出された方が……出会える楽しみがある。」
このハンバーグだって
チーズを入れたり
大根おろしと青じそを添えた和風。
トマトソースで煮込んだり……変幻自在だ。
「なるほどのう。残り74日の王都でのバイト……毎日通いたくなるのじゃ。」
「今日のハンバーグやボア串で日数減らないのかよ」
「食材は妾達が提供しているから『ちゃら』じゃ」
くそぅ。ちゃっかりしてやがる。
「それよりも、おかわりじゃ!」
マジですか……それ6枚目だぞ……
…………
日が暮れるまで焚き火を囲む俺以外の7人は
和気藹々と夕食を楽しんでいった。
魔術スキル
LV1 加熱
冷却
LV2 感知
発光
LV3 光弾
強化
LV4 飛行
透化
LV5 光弾連射
抵抗魔術
LV6 瞬間移動
物体操作
LV7 堅牢陣地
血液蒸化
LV8 並行詠唱
接触吸魔
LV9 隕石散弾
LV10 時間跳躍 ※魔法
各術式のLV1〜9は『術』扱い
LV10は『魔法』扱いです。
術式は6系統。LV10で到達出来る『魔法』は以下
・回復術………蘇生
・氣功術………暴走
・精霊術………降臨
・呪霊術………輪廻転生
・魔術…………時間跳躍
・錬金術………分身
他の術式も、頑張って仕上げます。
質問や意見などお待ちしております。




