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異世界は剣と料理と現代知識で  作者: わかね
第一章  昇級クエスト道中編
39/104

038 スパイスレシピは無償で

2022年 5月13(金)〜14(土)異世界サイド〜


豪奢な天蓋付きベッドで目が覚めた朝。

キングサイズのベッドの中央で

全裸で大の字になっている………


「………ですよねー」


ベッド脇の椅子の上には綺麗に折り畳まれた

シャツとズボンが。

銀貨を入れている小袋も添えられてあって

昨夜テーブルに置いた30枚も一緒に入っていた。


今日は討伐クエストは必要ないので、慌てる事はない。どうせみんなに朝帰りはバレてるしね。


着替えてリビングルームへ行くと


リリーが黒のパーティードレスを着て

優雅にティータイム中だった。


いつもの町娘風のファッションとは一線を画す……が


「黒はもう少し大きくなってからの方が似合うぞ。」


「うるさいのじゃ!」


リリーの側に控えているアズさんは何も言わない。

少し肩が震えていた様な気も……


「とりあえず、情報はいただけるのかな?」


対価はもらえるか確認しないと。


「まだなのじゃ。」


へ?


「情報とは高いのじゃ。」


そりゃ……そうだけど……


昨日俺から沢山搾り取ったというのに?


リリーも側に控えているアズさんもお肌ツルツルの

プルンプルンなのに………


「今夜も待っておるのじゃ。」


足元見やがって………


現実世界で介護用パンツ履いてきて良かったよ……


「わかったよ……夕食後に来るよ……」




力無く階段を降りて皆んなと合流する。

『明日も朝帰りになる』と告げた時の楓さんが

めちゃくちゃ怖かったです。はい。


とにかく今日はクエストしないで

カレースパイスを大量に作る必要がある。


道中の食事にも使えるからね。


樹と舞姉ちゃんはひたすら乳鉢でスパイスを

細かくしてもらい、楓さんはボア串の作成。


俺はボア串を作りつつ、スパイスの配合。


昨日と同じ様に『辛口』と『中辛』の

2つで良いかなと思ってたのだが、舞姉ちゃんが


「辛口の上も作ってー」


って……マジですか……


赤唐辛子カイエンペッパーを辛口の2倍入れた

『超辛口』を作って舞姉ちゃんに味見してもらう。


「もうちょっとー………辛さが欲しいかなー」


試しに俺と樹が味見したけど、

(楓さんは味見すら断った)

舌が麻痺するかと思うくらいの辛さだったぞ。


時間が無いから……ハバネロとか探さなかったけど……

探しておけば良かったよ……


………結局、赤唐辛子カイエンペッパー全軍投入した


『舞姉ちゃん専用辛口』


を加えた4種類のカレースパイスを作り上げた。


味見?絶対ヤダ。

バラエティ番組の罰ゲームじゃあるまいし。


だってウコン入れているのに『赤』一色なんだよ?




スパイスは作り終わったので

ボア串は作りながら焼いていこうと

昨日と同じ市場の端に向かったのだが


人だかりが凄くて進めない。

何かあったのかな?と思ったら




「スパイス串の店主が通れないから道あけろー!」




全身鎧の人が大声で周囲に叫んだ。

………スパイス串の店主って………


すると『モーゼの十戒』もかくや

人だかりが割れていく。


…………この人だかり………え?マジですか?


ここにいる全員、カレースパイスのボア串目当てだって。


昨日俺達が売っていた場所には

立派な屋台と焼き台が用意してあって

全身鎧の数人がすでに列整理している。


聞けば、全身鎧の人達は騎士団からの応援派遣だそうだ。


なんか……こう………

俺の中の騎士団のイメージが崩れてます。

そういえば市場の許可も騎士団だったなー



そんな事より早く開店準備しないと!


………

…………

……………


騎士団の人達が手伝ってくれたから何とかなったけど、

これ4人だったら完全に詰んでました。


昨日と同様に隣でスープ売ってたおばちゃんも

早々と売り切れて

俺達の串焼きを手伝ってくれたり……


スパイスはまだあったけど、肉が切れて販売終了。

終了と同時に盛大な拍手と


「ありがとう!美味しかったよ!」


などという声があちこちから上がってた。


大体行き渡ったみたいだしね。



最終的に……………

全部で何と1800本売れました。

銀貨90枚の売り上げです。


騎士団の7人とおばちゃんに

銀貨2枚づつお礼に渡したけど

(はじめは銀貨5枚渡そうとしたけど固辞された)


それでも懐には銀貨110枚ある。


これで路銀にも余裕出来たし、

ターガナの町を何の憂いもなく後に出来る。



片付け終わってそろそろ帰ろうかと思ったら、

騎士団長を名乗る壮年の男性が俺達の前に現れた。


「お初にお目にかかる。ソーバルと申します。」


丁寧な挨拶と騎士礼に戸惑って対応に苦慮する。

(返礼の仕方とかわからないよ……)


「率直に申し上げます………」


ソーバルさんは、俺達にこのままターガナの町で

暮らして欲しい……そしてスパイス串を町の名産として

広めて欲しい……そういった内容だった。


のんびり暮らしたいのは山々だけど、

昇級クエストの途中である事と

色んな町や人を見て回りたい旨を説明した。


ただ、2つ目の申し出……スパイス串を名産として

売り出すのは構わないので、

レシピを羊皮紙に書き出してソーバルさんへ渡した。


「よろしいので?」


代金の事かな?


「美味しい料理が広まって行けば、俺は満足なので無償で提供しますよ。なので、このスパイスを求める人に対しても無償で教えてあげて下さい。」


俺も動画サイトやレシピサイトで得た知識だ。

現実世界でも無料だったから助かっているし、


それにスパイスは極めようとすると

果てしなく深い事が分かった。


追い求めるなら1人でも多い方がいい。


「度重なる貴殿の好意に感謝を」


ソーバルさんは再び大きく腰を折り

最大限の賛辞を述べた。




「この町も素敵だったのー」

「屋台の忙しさは、もう勘弁して欲しいけどな。」

「美容液になりそうな物が色々あって、また来たいわ」


ほんの数日しかこの町にいなかったけど、

『また寄りたい町だ』と思いながら冒険者ギルドへ。


今度来た時は『スパイスの町』ってなってたりして……


そして……冒険者ギルドの入り口前で待ち構えている

リリー達を見て、

俺にはもう少し頑張らないといけない事があったと

思い出した。


「ずいぶん……ゆっくりな……夕食じゃのう。」


アズさんとコリさんに両脇を固められた。

え?そんなに遅かった?



「竜司クンー頑張って情報ゲットしてきてねー」

「ふんっ……」

「竜司ーお大事に……」


薄情なパーティーメンバーは

それぞれ宿の部屋へと入っていく。


「さてと妾も食事とするのじゃ」


俺の頭の中には『ドナドナ』がいつまでも流れていた。


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