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異世界は剣と料理と現代知識で  作者: わかね
第一章  昇級クエスト道中編
35/104

034 露店販売は許可が必要で

ターガナの町南側の森の中。

この森を抜ければ町に着くのに

遭遇したのはまたしてもボア。今度は5匹。


魔術LV3『ライトニング・アロー』


楓さんが一番手前のボアに向け、覚えたての魔術を発動する。


ボアに向けて伸ばした右腕から

黄色の光を纏った矢が打ち出され、

次の瞬間にはボアの眉間へと吸い込まれてゆき

額から鮮血を吹き出しながら倒れていった。



すげぇ……これが魔術か。


料理もそうだけど、魔術もLV3になって始めて役に立つ。


レベル1は温めと冷却だし、

レベル2は発光ライト感知ディテクト

レベル3で光弾ライトニングアロー強化エンチャントウェポン


楓さんは回復術も使えるし、

後衛としてかなりの戦力になりつつある。


魔術の難点としては発動後の硬直時間ディレイだけど

そこは後衛を守る前衛の仕事だよね。


俺と樹でそれぞれ1頭ずつ相手している間に

舞姉ちゃんが残り2頭の首を刎ね飛ばして終わらせてた。


「これでもバランスが良いPTなのかな。」


なんとか無傷で倒した俺と樹。

背負子にボアを縛り付けながら一息ついた。


アイテムボックスは焼き鳥でいっぱいなので

背負子にくくりつけて町まで行く事にしたのだ。


もちろん街道そばの草むらに穴を掘って

血抜きし、土と葉をかぶせるのは忘れずにやったよ。


同じ失敗は繰り返さないようにしないとね。





森を抜けるとターガナの町の全容が見えてきた。


………でかい。


ガラリーの町は木の柵と小さな堀で

取り囲む造りであったのに対し、


緩やかな坂道を登った丘の上に

高さ10メートル位の城壁で覆われた町。


俺達が歩いて来た街道はまっすぐ北へ……南門へ向けて伸びている。

街道の両側には町の入り口までつながっている広大な麦畑。


城壁の一辺も起伏があるので左右の端が見えないが

ガラリーの数倍の規模がありそうだ。


森を抜けてからすれ違うのは、農具を持つ人ばかり。

俺達8人が珍しいのか、奇異の目を向けて来ている。


農夫達は茶色や銀色の髪で堀が深い。

その中で一番背が高くて屈強な男が声を掛けてきた。


「あんたがたは、黒狼の森を抜けて来たんだか?」


「俺達はガラリーから来た。森の名前は知らないが、黒狼なら10頭程倒した。」


樹が受け答えすると農夫達から『おおー』と歓声があがる。


「騎士団の詰所に連絡してくる。」


農夫の1人が農具を預け

ターガナの町へ急いで戻っていった。


「倒しちゃまずかったのかな?」


樹へ相談するも、屈強の農夫が


「いや、逆だよ。あいつら討伐隊を見ると、逃げたり隠れるから厄介だったんだ。」


聞けば騎士団が中心になって討伐隊を何度か編成したのだが、黒狼達は勝てないとわかると逃げ回り

少数の部隊や弱そうな商人に対しては他党を組んで襲いかかる……厄介な魔獣なんだそうだ。


商隊に騎士団が護衛するのも費用がかさむし、割に合わないから対策を考えている最中だとか。



ガラリーの町は大きくはないが、食料の輸出先でもあって

このままだと穀物などが値崩れ起こす所だったと


農夫達からお礼を何度も受けた。


需要と供給のバランスはどこの世界でも厳しいのね。

現実世界でも作りすぎた大根を処分する

農家の話とかニュースで見た記憶がある。


屈強な農夫は名をビガーといい、

「騎士団の詰所に来てくれ」と何度断っても誘ってくる。


農作業はいいのか?


それに、黒狼が襲って来たって事は

うちらが弱小と見られたからだろ?


確かに昇級クエスト中とはいえ、ランクはD3だからね。


「昇級クエストでターガナの方を選ぶなんて物好きだな」


「え?」


「黒狼の森を抜けなきゃならんし、そこには灰色熊グリズリーもいる。」


ガラリーから街道は北東と南東に2本ある。

うちらは王都目指す関係もあって北東の街道を選んだのだが……というより選択肢がそれしかなかったのだが、


南東の街道はなだらかで……温暖で

森は切り開かれ開拓されてあり、戦闘はフォレストラビット位だと。


……じー

………じー

…………じー

……………じー



無言でリリーの乗っている馬車を見つめる4人。


終始馬車の中から監視していたリリーだが、

今は窓を閉め、カーテンも引いていて中が見えない。


道案内を任せたのは俺達だから

文句言えた義理ではないけど………


低ランクの昇級クエストとしては厳しいと思うよ。

だってまだ260キロ近くある訳だし。


「お誘いは嬉しいのですが、食べ物を売って路銀を稼がないと……」


もうすぐ南門へと差し掛かる。時刻はお昼位だし、

この世界に昼食の文化はないけど、ある程度の時間の余裕が欲しい。


「それなら尚更、騎士団の詰所に行かなきゃダメだ。お前ら販売許可証持ってないだろ?」


許可いるのか?そういや現実世界も店を出すのに

色々許可とか必要だったっけ。

食べ物扱うなら『衛生管理』とかそういったやつ


「騎士団の詰所へ行くのは構わんが、その前に今……何のクエスト中じゃ?冒険者ギルドへ寄って中断手続きが先じゃ」


ビガーも


「すっかり忘れてたわ。じゃあ俺は先に騎士団詰所で待ってるからな。」


なんか逃げるように南門から去っていったけど………


無許可営業は現実世界あっちでも罪になるから必ず騎士団詰所には行きますよ。



南門をくぐり少し進んだ広場の正面に

冒険者ギルドはあった。


ただし、

どこぞのホテルかと思えるような佇まい。


基本の石造りは変わらないのだけど、ふんだんにガラスが使用されていて、開放感はガラリーのそれと比じゃない。

ロビーと思える場所は赤い絨毯が敷き詰められている。


「うわー」


ガラリーとの格差に只々絶句する俺達。


冒険者ギルドのカウンター前につくとリリーが杖を掲げて


「現時刻を持って昇級クエストは一時中断とする!」


高らかに宣言した。


周囲の冒険者の面々から


「おー頑張れよー坊主達ー」


とか


「これで折り返しだねー。頑張ってねー」


ここで折り返しだったらどんなに楽か………


「懐かしいなー俺達もやったなー。昇級クエスト。」


って晒し者になってます。

ビガーさん………知ってたな。


「クエストの再開はお主らのタイミングで可能じゃ。」


その間に路銀を稼がないと……


「ただし、滞在期間が1日伸びる毎に100ポイント失うのじゃ。」


現在は995ポイントある。


こりゃ短期決戦で焼き鳥売らないとダメだな。

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