025 試験は両方の世界で
「なんじゃこれは!美味いのじゃ!」
はい。胃袋ガッチリ掴みました。
リリーに出したのは試作品だけどクッキー(?)のようなもの。
この世界の砂糖は錬金術LV3の『結合変化』で作り出す。
木炭と水でショ糖(C12H22O11)に変換出来ると知って、楓さんや舞姉ちゃんの強い希望………というより脅迫?があって作る事に。
とはいっても、お菓子は作った事ないから
ショ糖やバターの分量とかは適当に作ったクッキーもどきだ。
味見したけど……まぁ、なんとか?ちょっとショ糖が多かったかなーって気がするけど、女性陣からは大好評でした。
そのまま夕食作りに入るけど、あまり食べ過ぎないでよ……
夕食までそんなに時間ないんだから。
「甘いものは別腹なのー」って
それ夕食前に言うセリフじゃないからね。
太っても知らんぞ。
夕食を食べたリリーさんは、目を大きく開けてプルプル震えてる。異世界の食事事情は……ひどかったからな。
「決めたのじゃ!」
何を?
「今日から妾は、お主らと行動を共にするぞ!」
はい?
ギルド受け付けの3人に『助けて』と視線を送ったが、視線逸らされた。目を合わせてくれない。
「ちょっ!!ガラリーのギルドの視察じゃなかったの?」
「ギルドではなくて、お主らの視察じゃ」
カミングアウトして来たよ。このちびっ子。
「そして別の『食事』も試そうと思っておる。」
だからそれは無理だって。倫理的に。
ちっちゃい体をクネクネした所で何の感情も湧かないわ!
樹に視線を送るが、無言で首を横に振っている。
ですよねー。
「なんでじゃ!」
「年端もいかない子供に手を出しちゃダメなの。」
「子供ではない!お主らの20倍は生きておるわ!」
って事は300歳越え?
っていうより300年経ってもその成長?
…‥かわいそうに
「なんか酷く侮辱する思考が流れて来たのじゃ……」
夕食時間が終わり、樹とミリットさん達を見送る
楓さんと舞姉ちゃんはすでに家へ帰っていった。
お風呂に入る為……というより
鍵はおろか扉が無いバスルームだから、男性陣が帰ってくるまでに済ませたいのだろう。
まぁ、俺もお風呂の音とか聞こえても反応に困るからな。
3個のバスケットはミリットさん達が持ち、樹は……
すでに『魅了』されてるわ。
別れ際、ミリットさんが俺達に向かって
「明日の討伐クエスト終了したら、いよいよ全員Cランクに挑戦するのですね。」
そういえばステータスとかチェックしてなかった。
今日の討伐クエストで俺と舞姉ちゃんはランクアップしたはずだ。
「あれ?」
ランクはD3(トリプルD)のままだ。
ポイントは509/500で超えているのに………
「ランクD3からCランクはポイントだけじゃダメなのじゃ!」
まだいたのか。本当についてくる気じゃないだろうな……
「ランクCになる為には昇級クエストを受けてもらうのじゃ。」
………え?
そうだ。さっきミリットさんは挑戦とか言ってた。
「ちなみに、試験官は妾じゃー!」
……………ミリットさーん……って早っ!
ミリットさん達は足早にこの場を去っていった。
残っているのは俺とリリーだけ。
逃げられたよ。そして押しつけられたよ。
すでにギルドの営業は終了しているから、宿も泊まれない。
「わざわざ……低ランクの試験官に王都のギルドマスターが来るのか?」
随分と暇なギルドマスター業だな。
「今回は特別じゃ。今……決めたからのう。」
職権濫用って言葉………知ってるかい?
「まずは……そうだのう。お主らの家へ案内するがよい。」
これも昇級クエストの一部?
いや……違うだろ。今、思いついただけだろ。
「ぐぬぬ……」
確かに今日は樹の番だから部屋は空いている。
300歳とはいえ外見はちびっ子だ。
夜の町に放り出す訳にもいかない………か。
「今晩だけだぞ。ただし『食事』は無しだからな。」
「つれないのう。『つんでれ』ってやつか?」
どこで覚えたんだ……そんな言葉。
「…………疲れた。」
精神的に。ここはこうやって湯船にゆっくり浸かって………
「なんでじゃ!妾も一緒に入るぞ!」
……扉が無いから外の声が良く聞こえる。
止めているのは舞姉ちゃんと楓さんかな。
「私だって見たいのを我慢してるんです。」
……聞かなかった事にしよう。
女性も男性の裸に興味があるのか……
「流石の私もー見過ごせないのー」
うちの女性陣は頼りになるわー
週3で朝帰りなんだから、こっちにいる時はゆっくり休ませてください。
しかし……Cランクアップの試験かー
どんなクエストなんだろ。
現実世界でも異世界でも試験が間近に迫って来ていた。




