024 ギルドは巣窟で
2022年 5月2日(月)
夕食を終え、母ちゃんと緑茶タイム。
……そういえば最近『一狩り』やらなくなったな。
飽きた訳ではない。楽しみだったし、母ちゃんや樹と一緒にプレイした時は楽しかったから。
原因は『胡蝶の夢』アプリだ。
このアプリは睡眠を介して現実世界と異世界を交互に行き来する不思議なアプリ。
しかも異世界での行動や思考など記録していく機能があって、この1ヶ月間でかなりのページ数になっている。
このまま膨大なページ数になるかと思いきや、5月に入った時『日誌』をタップするとフォルダが2つ現れ、
[202204][202205]に分かれていた。
西暦と月数のみ書かれてあるシンプルな造りは相変わらずだ。
異世界の中は……といっても始まりの町[ガラリー]から移動出来ず、ずっと留まっているので
この世界の情勢とか全く分からず、『冒険者』と言えるのかどうかは微妙だなー。
でも……まぁ……色々あって、少しは強くなってはいると思う。最近は毎日訓練もしてるし……異世界でだけど。
『色々』の部分は記録に残ってないがな。
「後2回の討伐クエで全員Cランクにランクアップするね」
最近の会話も『胡蝶の夢』関連ばっかりだ。
「竜司クンもー『基本1〜9』がいい形になって来ているしー順調に強くなって来ているよー」
母ちゃんの保証付きだ。
剣術スキルは樹が先にLV2になったが、それは学校の部活動の影響もある。
結局樹は『剣道部』で俺は『料理部』に入部した。
吉沢さんも『料理部』に入部したのだが、未だに会話がない。挨拶程度はするのだけど……
中間テストが終わった後に
料理部では『歓迎バーベキュー』を例年だと開催しているのだが、このコロナ禍で出来るのかどうかは微妙。
去年、一昨年は開催出来なかったそうだ。
楓さんとしては1回も出来ないまま卒業は寂しいので、なんとか出来る方法を模索中とのこと。
出来るといいなー。
とりあえずは目前に迫った中間テストだな。
一通り勉強した後。今日もモグラ叩きかなーなんて思いながらベッドに入る。
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今日も討伐クエストを裏取り引きする為、掲示板ではなく
職員の控室に直接入る。ここ最近のルーティンだ。
「おはようございます。リュウジです」
控室にいるのはいつもの3人なのだが、応接テーブルに置かれた手紙を前に落ち込んでいる……というか固まっている?
「……どうかしました?」
どんよりとした無音の空気に耐えきれず声をかける。
「あ……リュウジさん。おはようございます」
ミリットさんもいつもの元気が無い。
とりあえずフォレストラビットの依頼をもらい、何があったのか尋ねてみた。
「王都のギルド本部から近々視察があるそうで……」
王都……やっぱりこの異世界も例に漏れず「王政」かー。
母ち……舞姉ちゃんが大好きな印籠振り回して暴れまわる時代劇も水戸藩だから異世界風に言えば『公爵』か。
おっと。話がそれてしまった。
で、その王都のギルド本部からの視察が、なんで重苦しい雰囲気になるんだろう。
「ギルド本部……は、その………『私達』の上司でもあるわけです」
ん?
「しかも本部のギルドマスターが直接来るのです。」
えーっと。理解したく……ないのだが
「つまり……サキュバスがもう1人ガラリーの町に来る……と?」
「はい」「ああ」「です」
頭痛くなって来た。
「視察の目的は?」
「おそらく……リュウジさん達かと。」
聞けば俺達は別世界から来た『来訪者』で
その精は現地の人々とは比べ物にならない程の栄養価だとか。
へー。……これ以上は無理です。勘弁してください。
しかし、この異世界は魔物と人間が融合しているというか……入り組んでいるというか……
まぁ……争うよりは良いのかな?
この冒険者ギルドのシステムも『来訪者』を発見すると同時にサポートする為に組織されたんだと。
逃げたくても俺達が目的なら何処へ逃げようが一緒だし、そもそもまだバイトがある。
とりあえずモグラ叩き終わったら、みんなと相談するよ。
しかし……ギルドの職員の大半がサキュバスとインキュバスとはねー
フォレストラビットのクエストをクリアして冒険者ギルドに戻って来たら、見知らぬ少女が待ち構えていた。
名前をリリーと名乗った少女は俺と樹を値踏みしている。
異世界の楓さんと同じくらいの背格好(140センチ位?)
長い髪は後ろでまとめてあるが………
体型といい、顔のあどけなさといい……どこから見ても小学生だ。
頑張れば中学生……に見えなくはないが………
「え!?この子が王都のギルドマスター?」
って事はサキュバス………ないわー。
はいアウト。絶対に無理。俺はロリじゃな………「ゴブッ」
いきなりボディブローへの挨拶をいただきました。
思った事が顔に出る性格は治さないといけないな。




