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異世界は剣と料理と現代知識で  作者: わかね
序章  はじまりの町編
13/104

013 ガニ股は矯正で

「やっと終わったーー」

嵐の様な夕食時間が終了して大きく息を吐く。

用意した150食とパン180人分は完売。

飛ぶように売れるってこういう事なんだなーと実感したけど……これを後99日?燃え尽きますよ。途中で。


夕食が足りない人やお酒を欲しがる人は早々と近くの酒場へと繰り出していった。

掃除や片付けをしようとしたら、5人のスタッフが


「私達がやりますので、料理長は休んでて下さい。」


いつの間にか料理長にされてる……


お言葉に甘えて少し遅くなったけど、舞姉ちゃんと樹の3人で夕食……っていうか少し焦げていたり、形が悪く提供できない品々の……いわゆる『まかない飯』をいただくとしますか。

ギルドの各種受け付けも終了していて、受け付けのお姉さん達も後片付けをしていた。


Dランク受け付けのミリットさんはすでに片付けを終えて私服姿だ。

水色のワンピースに淡いピンクのストールをショールの様に巻き付けている。白い幅広のベルトもボディラインの良さを引き出していて……思わず食事を忘れて見惚れてしまった。


手に持っている茶色のバスケットからは夕食のパンやウサギの香草焼きが何個かみえる。さっき「お土産」とか言っていたのはミリットさんだったのか。


「お先に失礼します。教会にいる弟たちに夕食届けないと。」


「あ……もし足りなさそうなら、もう少し持っていく?」


テーブルの真ん中にはとても3人分とは思えない大量のウサギの香草焼きが。


「少し焦げていたりするけど、味は大丈夫だよ。」


パンは人数分しかないので渡せないけど……


「助かります。このウサギすごく美味しかったから、みんな喜ぶと思います。」


皮をバリバリまで焼くと冷めても割といける。

……といっても現実世界の動画の受け売りだけど。


聞けば『教会の弟達』は孤児院の子供達だそうだ。

ミリットさんも孤児院出身で、受け付け業務が終わった後……食堂の余り物などを分けてもらい、孤児院みんなの夕食にあてている。


他にも酒場や市場の屋台など孤児院出身者が働いていて、その給金や余った料理を持ち寄って教会や教会内の孤児院を支えあっていた。


「……しばらくは夕食担当になっているから、ミリットさんや孤児院みんなの為に多めに作るよ。」

「ありがとうございます!!」


力強くハグされました。肩口までの切り揃えられた黄土色の髪から……いい香りが………直立不動で固まっていると、「みんなが待っているので」と足早にミリットさんは帰って行った。

もちろんウサギの香草焼きはバスケットからはみ出るくらい詰め込んで。

ミリットさんが見えなくなるまで見送ってから席に戻ったのだが、心臓の鼓動はいまだに早鐘の様になっている。


「フラグ立ったな。」

「胃袋がっちりだねー。」


外野うるさい。ミリットさんは困ってた俺に優しく声かけてくれて、アドバイスもくれた。

自分に出来る事でミリットさんの助けになるなら嬉しいことだよ。


夕食食べた後は解散かな?と思ったのだが、舞姉ちゃんが「特訓するよー」と言い出したのでギルドの裏庭へ。

食べてすぐの運動はやめて欲しいと思うけど……


「そんなに難しい事はやらないよー。」


今日の樹とのボア狩りで2人の指導方針が決まったらしい。


「結論から言うと、2人とも眼は及第点かなー」


「「眼?」」


「一眼二足三胆四力……これは剣道の大事な順番を表したものでー。」


眼……相手の眼を見て行動を読む力


もちろんそんな力はないけど、目を逸らさず敵を見続ける事が出来たので『及第点』だそうだ。


胆……度胸。ボアに怯む事なく挑んだ2人は『合格』


力……これは腕力の事ではなくて『技術力』


初心者なので技術力は基礎訓練を積み重ねれば良い……と。



2人共に最悪だったのが2番目に大事な『足』。


「2人ともそこに落ちている枝を拾って構えてみてー」


樹も俺も1メートル位の枝を見つけて構えてみる……普通の「中段の構え」だ。


「そこから踏み出してこの薪を叩いてみてー」


俺と樹の2メートル先に薪を2本。垂直に立たせて薪の上部をペチペチたたいて位置を知らせる。


「止まっている物なら楽勝だろー」


樹から踏み込んで振り下ろしてみせるが、薪の右側を枝がかすめていった。


俺もやってみるが薪の右側にかろうじて当たった程度……中心からはずれている。


「竜司クンと樹クンの踏み出した足跡見てみてー」


靴の跡がクッキリ残っている。何が悪いのかさっぱりわからない。


「靴全体の跡が残っているからダメなのー」


「「へ?」」


俺から枝を受け取り、中段に構えて踏み込み打ち出す。薪の中心部に打ちつけられた枝は乾いた快音を周囲に響かせていた。


「踏み出した足跡を見てみてー」


みると靴跡が……かかと以外の靴跡がクッキリ。


「2人ともかかとをつけているのー。それに思いっきりガニ股なのー。」


確かに……逆『ハ』の字に靴跡が残る俺と樹。対して舞姉ちゃんの足跡は両足とも真っ直ぐに薪の方向を向いていた。


「まずはその『足』から特訓なのー」


舞姉ちゃんの笑顔が怖い。


それから2時間。内腿に丸めた布を挟んだ男2人……姉ちゃんの合図に合わせて素振りを繰り返した。


姉ちゃん……まともな指導出来るじゃないかと思ったのは内緒だ。

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