6 兎
《》の人とプチナレーターの人の声がハモったら、その言葉にフリガナ(ルビ)付けます。
『』は過去の事につけます。私だって使い分けはできるんです。だから部屋がぐっちゃなのは気にしないんです。いつかの私に任せます。問題の先送りは私の特技です。
「美味しい!」
「ききゅいききゅ」
この兎、失礼な兎ですね。
「運よく食べるあれと味付けの為に使うあれには、及ばないけれども美味しい!」
「きゅいききゅい?」
《フフフ私は優しいから》
どこがですか?
《無知で失礼な兎に》
聞きなさい!
《教えてあげよう。》
無視しない!
《さあ、説明しなさい!オーニソガラム》
私ですか!?はぁ~
《っと言っても聞こえないでしょうがね。》
「ききゅきゅき」
《は?》
気のせいです。幻聴です。
「何かあった?」
「き」
「っえ?何かあったの?」
ブンブン「き」
話すとまた誤解を生むと悟った兎は首を振って示しました。
「そう、じゃあ無視するよ」
「きゅ」
あれとは、大根の葉と卵です。尖端部に影がないのが無精卵なのでアイリスはよくその方法で確かめています。
「ききききゅいきゅいきききゅ」
ハハハ幻聴が何回も聞こえるようになったようです。終わったら医者に見せに行かないと
《私もそうしよう》
まあ、幻聴が言っていた通り皆さん気になると思いますので、そこも説明しましょう。
『アイリスは赤ちゃんの時は、バランスの取れている食事が与えられていました。』
《少ないけどね》
『何故ならば赤ちゃんの時に死亡すると親の監督不届きとなり罰せられるからです。問題はその後でした。アイリスが歩き始める頃になるといじめ…ルンド家は躾と言っていますがあれはれっきとしたいじめです。が始まりました。そのせいでアイリスは、タンパク質が取れなくなりました。
何故なら偶に残っているのは野菜だけでした。ヤバいと察知したアイリスは森へ行きニワトリと出会いを果たしました。ニワトリに必死の頼み込みをして、無精卵を貰ったアイリスは、隠して持って来たフライパンに残った野菜と貰った卵を入れ、
そのフライパンを燃え移らないように火を囲った石の上に置いて焼きました。出来た物を食べていると卵をくれたニワトリがやってきて
「ッココケ―」
とせがみました。
「いいわよ」』
《ここで気になるのがアイリスがニワトリの言葉を理解したのが不思議なんだよね。兎の言葉は理解できていないのに》
『あっさり了承したアイリスが食べさせるとニワトリはその味を気に入ったのかバクバク食べました。アイリスの分まで食べたかと思われましたがアイリスは自分の分はもう食べていたので大丈夫でした。ニワトリが食べさせてくれたお礼というように食べれる草と食べれない草の区別の仕方を教えて
くれましたが、あいにく、その草等は不味かったのでアイリスの味覚をおかしくさせたのでした。』
分かりましたか?これが説明は以上です。
「きゅ、ききゅきききゅきききききゅきゅいきゅいきいきゅききゅきゅ。」
絶対に医者の所に行きますからね!
《うん、一緒にね》
木の実を採集し終わったアイリスは、急いで屋敷に戻りました。兎は湖の中に潜って行きました。。しかし、アイリスは急いでいたのでそのことに気づいていませんでした。
屋敷に戻ったアイリスは、プラインとマイオンに木の実を渡し、
「その実は、高級品の中でも一番独特な味になっていますので、合わないかもしれませんが貴族の方々は好んで食べるようです。」
と言ってから、自分の部屋とも言えない部屋に行くとカマグから闇に紛れやすい服を出して着ると村に行きました。村に着いた時には、辺りは真っ暗。アイリスは、色んな家に隠れて入ると食料や水、お金を置いていきました。医者の家の中に入ると人がまだ起きていました。
(ヤバ)
焦ったアイリスは、医用品と食料と水、お金を置くと逃げる様に去りました。止める声と落ちた荷物に気付かずに…
《アイリスって優秀だけれども、どこか抜けているんだよね》
ええ、そうよね。どこか抜けているのよね。だって言葉を理解している兎がただの兎な訳がないのに、
でも流石に私たちの会話を聞く事は出来ないはずよ。王でない限りまあ、偶に聴こえる高位の者もいるけどめったにいない除外。でも、高位はあり得ないわ、何故なら高位は“自由に動く必要なんてない”と思っている物たちばっかだから。けど、ここには王が住んでいるから不躾なものが来たのか身に来たのかもね。
でも、あのニワトリは絶対低位か中位よ。だって私たちの会話が聞こえていなかったから。
《そうだよね。問題は、兎のほうだけれどもまあ、後で考えよう》
そうね。問題を先送りするのは、あなたの癖だけど私も調べないといけないから。
全部の家に置き終えたアイリスは屋敷に帰り、床で寝ました。
《………》
何か文句あるの?
《ありますぅー。問題を先送りするのは、私の癖じゃありませんー》
じゃあ、もう問題を先送りしないのね。
《ごめんなさい。それは無理です。》
人間たちが来れないある場所
二人は、医者に行きました。
「何も異常はありませんね。」
「ええ?!でも幻聴が聞こえてきたんですよ。」
「そうだよ!幻聴が。」
「それは、どんな幻聴ですか?」
「兎が私たちの会話に答えている。幻聴です。」
「そうなの、そんな幻聴が聞こえてくるんだよ。」
「それは、幻聴ではないのでは?高位の上は、姿が変われるんですよ。しかも、貴方達みたいな子供の声も聞こえるんですよ。」
「そうなんですね。不思議だったのですよ。高位にも上下があるのに低位・中位と違って能力の差が無かったので」
「私は、低位・中位に上下があるのは知っていましたけど高位に上下がある事を初めて知った。あの世界の人間には低位・中位・高位がある事すら分からないみたいに。」
「「っえ?」」
さて、貴方は兎とニワトリの正体がわかるでしょうか。ついでに、この子たちの正体も