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【完結】勇者に折られた魔王のツノは、幼児の庇護者になりました  作者: 綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢をよろしく


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76.幼子は有言実行タイプだった

 周囲のやらかしを知らず、僕は琥珀の発言の対応に追われていた。


『琥珀、それはまずいよ。今からでも修正しよう。この国に警告に来た、に変更だ』


「やだ」


 即答される。幼子の決意は固いらしい。ここは側近役で来たロルフが上手に言い包めるしかない。目配せで合図を送った僕に何を思ったか。琥珀がぎゅっと抱き着いた。


「シドウは僕の」


「あ、奪う気はないのでご安心を。琥珀王」


 ……そっちのフォローじゃなくて、あっちで青褪めてる王族の対応を頼む。がくりと(くずお)れそうな僕は、必死で立て直しを指示した。


『ロルフ、先に国の滅亡を警告に修正して』


「別にいいじゃないか」


『良くない!!』


 ざわつく向こうをちらりと確認したら、騎士が盾と槍で攻撃の姿勢を見せながら……後ずさっていた。ここで国王や宰相を放り出して逃げない辺り、忠誠心はあるようだ。玉座と僕らのいる場所が空いていたのも、幸いだった。いきなり飛びかかって攻撃されたら、琥珀が容赦なく反撃すると思う。


「なぜ我らが滅ぼされる話になったのか」


 国王の残念そうな呟きに『あの、違います』と声を上げるも届かない。魔術師から伝えてもらおうと考えたが、彼らは魔法陣を構築中だった。というか、結界を張ろうとしてるのかな? 魔法陣を読み解きながら眉を寄せる僕に気づいた琥珀が無造作に手を振った。


「えいっ!」


 可愛い幼児の声に似合わぬ威力で、魔術師達が吹き飛ばされた。背中から壁に激突し、動かなくなる。作りかけの魔法陣がきらきらと消えていくのを見ながら、僕の顔が引き攣った。もう……いろいろと取り返しがつかない気がする。


「琥珀王、我らの対応に何か不満が」


「不満だらけですね。明らかにこちらの方が上なのに見下ろす態度も、魔術師を連れてきて攻撃のタイミングを計っていたことも、すべて気に入らない」


 ロルフが琥珀の不満を吐き出す。満足そうに頷く琥珀は、僕のマフラー部分に抱き着くだけじゃ足りず、よじ登り始めた。仕方ない。姿勢を低くして乗りやすいよう伏せた。


「ありがと、シドウ」


『どういたしまして』


 乗ったのを確認して立ち上がった。伏せてると緊急時の対応が遅れるからな。ここまで拗れたら、ちょっと解くのは無理そう。再度の話し合いをするとしても、時間を置いてからだろう。


『一度帰ろう、ロルフ』


 こうなったらベリアルやシェンを伴い、改めて話をした方がいい。僕の言葉が通じれば簡単だったのに。むっとした僕の気持ちに敏感な琥珀が、不安そうに呟いた。手を伸ばしてロルフと繋ぐ。


「シドウ、機嫌わるい。この国が悪い」


 ん? 今、なんて?


 問い返そうとしたが、琥珀は転移してしまった。すでに都の外だし、わざわざ戻る理由もない。ここからもう一度転移してやり直しだ。森人の集落に戻った僕はご機嫌斜めな琥珀を宥めて、完成した家族風呂へ誘った。


 集落の人達が自慢げに見せてくれたのは、大浴場の半分ほどの立派な風呂だ。今日は疲れたし、折角だから入ってしまおう。琥珀と一緒に入浴する僕は、小さな手でわっしわしと洗ってもらった。砂も取れたところで、琥珀と一緒に並んで入る。そういえば、一緒に風呂に入るのは久しぶりだ。


『機嫌は直ったか?』


「うん! やっつけたから満足」


 やっつけた……物騒な表現に、あれだけ王宮の塔や騎士団宿舎を壊せば満足しただろうと納得する。中途半端に穴を開けた謁見の間が崩れないことを祈りつつ、僕は琥珀と一緒に眠った。疲れすぎてて夕飯も食べなかったほどだ。


 目が覚めて、ベリアルがイイ笑顔で挨拶をするまで――僕は考えないようにしていたんだと思う。


「おはようございます。琥珀王、昨日は魔王以上に立派な()()()()をなさったのですね。私もそちらにお邪魔すればよかった」


 ――物騒な表現が出てきたが、何の話だ?

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