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【完結】勇者に折られた魔王のツノは、幼児の庇護者になりました  作者: 綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢をよろしく


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15/82

15.数百年ぶりに浸かったお風呂

 はるか昔に日本から転生した、と思われる僕の知識では、建物の棟上げは重機が必要だった。この世界では魔法が活躍する。前世でどうやって死んだのか、その辺の記憶が欠けているため、中途半端に知識だけが残った。


 斜めに木材を打ち付けておくと頑丈になるぞ。横から口だけ出す。完全な丸太小屋ではなく、木造建築を丸太小屋風に仕上げる方式だった。あっという間に組み上がっていく建物は、柱を立てたら屋根を乗せる。続いて外壁の順番だった。内装が最後なのは、どの世界でも共通らしい。


 日本ならカンナで削る表面を風で平らに、外壁の外側は炎で軽く炙った。驚くべき速さで建築は進む。わずか10人ほどで、半日あれば形になった。ここからが難しい。風呂の形状を伝えるのに、僕が描いて教えれば早い。だが角に手足はないので、口だけで説明しなくてはならなかった。


 この世界に存在する物を思い浮かべて、近い形状の物に改良を加える形だった。湯船は桶の大きな物と説明したら、まさかの円形だった。あれ? 僕が知ってる魔族の井戸は四角い桶だったが? 魔王の風呂も四角かった。


 まあ、円形でも問題はない。下から沸かす必要はなく、魔法で直接お湯を作った。洗い場も水道を引く考えはなく、シャワーも蛇口もない。蛇口とは何かと問われたので、うっかり文字から説明した。蛇を捕まえてきて、首を壁に刺すと言われた時は、全力で断った。形状が似てるだけで、別に蛇を突き刺す必要はないから。


「つくった」


 琥珀が、得意げにお湯を両手から放出する。じゃばじゃばと溢れるお湯に興奮した琥珀だが、めっちゃ魔力を抜かれた。早く微調整を覚えて欲しい。たかが湯を満たす程度の作業に、僕の魔力の半分以上使うのはロスが凄い。99%は捨ててると思う。


 満たしたお湯を不思議そうに見つめる琥珀に、服を脱いで入るように伝えた。ところが、服を脱ぐのを嫌がる。人の視線が気になるのかと思ったら、服が気に入ったらしい。脱いだら誰かに取られると心配なのだろう。


 誰も取らないと何度も説明し、ようやく脱いで湯船に向かう。それを手前で呼び止めて、体を洗えと教えた。ヘチマとかあればいいけど、見当たらないので麻布を貸してもらう。石鹸も見当たらないので、お湯で乾布摩擦のように擦ってもらった。それから髪の毛をよく濯ぎ、中に入れる。ついでに袋から出された僕も浸かった。


 感動だ。魔王のツノだった頃は、お風呂は目の前にあっても浸かれなかった。あれは風呂好きな日本人にとって、拷問だからな。数百年ぶりの風呂を堪能していると、バルテルが入浴する。僕が教えたマナー通りに体を洗い、髪を洗ってからだ。順番が詰まっているので、先に上がるよう琥珀を促す。


「うん、ふわふわする」


 お水を飲めよ、冷たいのがいい。少しのぼせたか? 心配する程でもなく、温かいの別表現だったらしい。オレンジの服を被って、袖を直してもらい、琥珀はご機嫌だった。この後、全員で遅い昼食を食べるが、琥珀は何も教えられていないと改めて思い知らされた。

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