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【完結】勇者に折られた魔王のツノは、幼児の庇護者になりました  作者: 綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢をよろしく


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11.魔王にまつわる噂の正体

 森人達は集落を作って暮らす。その知識は偏っていたことを知った。バルテルは集落の中心へ向かうと、琥珀を下ろした。それから手を叩いて注目を集め、興味深そうな顔をした森人達に宣言する。


「この子は俺が拾った養い子だ、名をコハクという。面倒を見てやってくれ」


 集まった人達は口々に挨拶し、琥珀の髪を撫でて去っていく。猫を抱いて身をすくめた琥珀も慣れて、最後の方は笑っていた。殴られる経験があったらしく、頭の上に手を伸ばされると反射的に体を硬くする。小柄な森人だが、現時点で子どもの琥珀よりは大きい。


「さて、家に向かうか」


 連れて行かれたのは、思わぬ場所だった。小高い木の上だ。ツリーハウスといえば分かりやすいだろうか。異世界だとエルフの棲家っぽいし、秘密基地みたいな印象もある。登り降りは梯子だった。だがバルテルは梯子の横にある低木の茂みをぽんと叩いて魔法をかけ、蔦を伸ばして押し上げてもらった。


 じっくり観察して、あれなら説明できそうだと頷く。といっても誰も見えないけどね。気分の問題だ。琥珀にこの植物は伸びるから、上まで連れて行ってとお願いしてみろと伝えた。お願いするときに魔力も使う。魔法だぞ、と繰り返して説明する。真似した琥珀は、魔力を流し過ぎた。


 あっと思った瞬間にはツリーハウスを通り越して、大木の天辺に並んでいる。戻るように伝えてもらい、するすると降りてきたが、今度は地面に着地してしまった。中間地点にある家に留まるイメージができないらしい。


 登ったり降りたりする琥珀を見て、バルテルは大笑いした後に抱いて部屋へ連れて行った。ニーは琥珀の様子を見て不安になったのか、自力で子猫を一匹ずつ運んだ。賢明な判断だ。器用に登り降りする猫の方が、よほど安全だった。


 中はごく普通の木造住宅だ。平家で仕切りのない一間だ。木製の家具が並び、この辺は魔族も人族も同じだった。強いて違いを挙げるなら、魔族の邸宅は石造りなところか。


「魔力はツノ……いやシドウ殿が供給しているのか。なるほど、あの噂は本当だったな」


 どの噂だ? 僕は何も知らないぞ。


「魔王の力の源はツノだという噂だ」


 ああ、それか。半分当たりで半分は間違いだ。バルテルは興味深そうな顔をした。別に秘密でもないから、いいか。


 僕の魔力量は魔王の数倍ある。魔王が使う大規模魔法の殆どが、僕の魔力を足さないと発動しない。ただそれだけのことだった。力の源ではないが、魔王が使える魔力の7割から8割が僕の魔力なのだ。


「おいおい、ここにいていいのか?」


 心配そうに尋ねるバルテルが近づくと、琥珀は僕を服の中に隠した。


「しどう、おれの!」


 取られると思ったのか? 可愛いことするじゃないか。撫でてやりたいし、頬にキスもしてやりたいけど……どうにか手足を手に入れる方法を、真剣に考えよう。

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