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翌日。
家の前に馬車が止まる。王都から、兄が帰って来た。ルリアはお出迎えのため馬車へ向かう。
16歳から、王都にある貴族学園(貴族の跡取りとなる人物と王族が、社交目的として通う学園。男女共学だが、男性の割合が多い。)へと通っていた兄とは、ここ数年は年に2~3回しか会えていない。
これから次期辺境伯として、まずは辺境騎士団に入隊することになるだろう。辺境伯になった時には指揮を取ることもある。騎士団員に認めてもらうことも、隣国と隣接している辺境伯領にとって大切な仕事だ。
馬車から兄オルフェが降りてきた。
「お兄様、お帰りなさい。」
ルリアは淑女としての礼で兄を出迎える。ところが、抱きついてきた兄。
「ルリアー出迎えありがとう。元気にしていたか?早く会いたいと思っていたんだ。さあ、兄様に可愛い顔を見せてくれ。王都からルリアにたくさんお土産を買ってきたんだよ。」
「お兄様。く…苦しいです…。」
兄の腕が緩み、ちゃんと顔を会わせる。
「あー大丈夫か?ルリア。ごめん。つい嬉しくて。」
「お兄様もお元気そうで何よりです。長旅に疲れていませんか?」
「あー。ルリアが可愛い。」
とまた抱きつく。すると兄の後ろから声が聞こえる。
「オルフェ、もう馬車から降りて良いか?ルリア嬢に挨拶もしたい。」