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処女作です。読みにくい点も多々あると思いますが、御了承ください。
気になる点があれば、教えてもらえると嬉しいです。
テルスラント王国
三方を海に囲まれ、自然豊かなこの国にはひとつの噂がある。
王族は竜に変化出来る。
その真実を知る者は誰もいない―――
テルスラント王国、北の端にあるマリスト辺境伯領
隣国との境に位置するここは守りの要でもある。が、貿易も盛んな活気溢れる都市である。
そのなかでも、特に活気に溢れているのが関所から真っ直ぐに広がる大通り市場だ。
「おじさん、このリンゴ美味しそうね。いくら?」
馬を引いた1人の少女が、店の店主に声をかける。
「1つ5ティーレです。」
声をかけられた店の店主が答える
「それじゃあ、5個買うわ。」
「25ティーレまいど。1個おまけ付けときます。ルリア様、またお忍びですか?」
店主にルリアと呼ばれた一人の女性。名をルリア マリスト。
髪は黒く、頭の高い位置でひとつに結ばれているが、腰まで延びるストレート。
目は青く、整った顔立ちですれ違う人々の目を引く。
上下深緑色に染められた騎士服には、裾に黄色いラインが入りどこか中性的な印象を与える。
マリスト辺境伯の妹で、今年17歳になる女の子。
「お兄様とお父様には内緒よ?丘に竜が見えたから、少し確認しに行くだけ。すぐに戻るわ。」
「竜が好きなのはわかりますが、危ないと思ったらすぐにお戻りくださいね?護衛を1人付けたらいかがですか?」
店主が心配そうに声をかけるが、ルリアは続ける。
「心配してくれてありがとう。でも、自分の身は自分で守るわ。」
そう言うと、ルリアは東の小高い丘を目指して歩きだす。
「奥様が亡くなって、もう7年か。ルリア様も大きくなられて…」店の主人がそう話すが、ルリア本人には聞こえていなかった。