第1話「恋愛話(ラブストーリー)のプロローグ」
結構長くなってしまい、読む気力が失せるかも知れません…。
また、読み辛く申し訳ありません……。
2話以降からは短く読みやすくできるよう頑張ります。
では。本編へ行ってらっしゃいませ。
「次は絶対…絶対…貴方とっ…!!」
激しい光に包み込まれた。全身がまるで何かに引き戻されるかのように重くなった。
涙が溢れてしょうがない。この手を必死に伸ばしてもきっと貴方には届かない。
それでも私は…また、貴方と必ず恋をする…………………………。
パリンッ……………。まただ。またこの音。食器が割れる音。
この音がすると大抵は自分の体のどこかから血が出ている。そして痛い。
「またお前は…何度言えば解るんだこのクズ!!ああ?!」うるさいな。「あんたが生きているだけでどれだけ金がかかっているか解っているの?!この穀つぶしがっ!!」うるさいうるさいうるさいうるさいっ!!!!!
この音たちは一番耳障りだ。なんで私がこんなめにあわなきゃいけないっ!?
「何であんたなんか産まれてきたのよ……生きる価値も無い癖にっ…。何もできないくせにっ!!」勝手に産んだのはそっちだろっ?!食器で殴ったあけぐ叩きつけるしか脳がない…。クズなのはそっちだろっ!!
私はそんなことを思いながら俯き続けていた。俯き続けてコイツらが満足するとは思えない。次は何処を蹴られ、殴られるのだろうか………。
「聞いてんのかこのゴミっ!!!!!」バキ……………ッ。鈍い音がした。この汚い音たちと共に。腹部の辺りに激痛を感じた。息が止まるかと思った。何かが込み上げてくるような感覚があった。それを吐き出すと、とても鼻や口内が鉄臭かった。(私…吐血したのか……。)
いっそのことこれで死ねたらどれだけ幸せだろう。けれど、どれだけ血を吐こうが痛みを感じようが関係ない。何度も願っても何度も祈っても…私は目覚めてしまう。(痛い…誰か助け…て…)
助けを呼んでも誰もが見て見ぬふり。来るはずのない助けを求め続けても無駄なのに。それでも私は呼んでしまう。どうせ生きてしまうのだから。
「何だその目は?!生意気なんだよ!!」
バキ…………ッ。神様ってやつは残酷で…神様さへも私が気にくわないのか。ならなぜ私に命を与えた…?魂を与えた…?……もううんざりだ。
頼むから…私をこれで終わりにして…私を殺して…。こんなに苦しんでも、こんなに憎んでも、おとぎ話にでてくるような悪役にもなれないのだから。もう私は…"目を覚ましたくない"のだから。二度と。永遠の眠りにつきたいのだから。
……そろそろ限界だろうか。私はゆっくりと瞼を閉じた。この後の展開は解りきっている。きっと目を覚ませば見飽きた天井を目にすることになるだろう。そしてきっとそれまたを繰り返すのだろう。私は前世で大罪でも犯したのだろうか…。
そんなことを考えていたらいつの間にか目の前が真っ暗になっていた………………………。
ここはどこだろう。何処を見渡しても周りには何もない。けれど真っ暗というよりは少し明るい感じがする。何かの空間のようなものだろうか……。でも不思議だ。水中にいるみたいに息を吐けばゴポポッと音がして泡が出る。
嗚呼、水族館にいるイルカやシャチはこんな気持ちなのだろうか……。恐怖心などは一切無く、むしろ心地よさが溢れている。ずっとここにいたいと。こんな静かな空間にずっといられるなんて…どれだけ幸せか。
(夢でもいい…私はこの時間を大切にしたい…。)その気持ちに浸っていられるのもつかの間だった。
「強く願えば何でも叶うんだ。」急に遠く離れた所から声が聞こえた。
(誰…?)「君もそう思って強く願ったんでしょ?助けて。苦しいってね。」(嘘…そんなのは嘘っ…。私は何度願っても何度祈っても目を覚ました…。誰も助けてなんてくれなかったっ…。苦しくても、誰にもこの気持ちは届かなかった…っ!!)
だってそうだ。誰も私とは関わろうとしなかったじゃないか。なのに…何故…?
「嘘じゃないよ。ちょっと遅くはなってしまったけれど。僕はこうして君の声に答えた。」私の…声に…?(あなたは…何者なの…?)
「僕?僕はね…」そう言うと何処からか小さな球体のような光が落ちてきた。そして私の目の前で止まったかと思えば激しく、まるで爆発でもするかのように光り弾けだした。
(なっ……?!まぶしい……!!)あまりの眩しさに私は慌てて顔を両手で覆った。
「ごめんね。人間の君には眩しかったでしょ。もう大丈夫だよ。ほら。顔を見せて?」すると軽く手首を掴まれ顔を覆っていた手を退けられた。恐る恐る目を開くとそこには中学生ぐらいの男の子が立っていた。(男の…子…?)
金髪の猫っ毛で見た目はとてもふわふわで気持ち良さそう。(さ、触りたい……。あわよくば撫でたい……。)その衝動に我慢できず微かに人差し指と親指を擦ってしまう。
それに気がついたのか男の子は私の顔を覗きこんだ。
(ひっ…ち、近いっ…!!)男の子は人差し指で私の頬をつつきながら「駄目だよ。触るのは話が終わった後ね?」クスクスと笑いパッと離れた。(うぅ…バレてる。てか遊ばれてる?私……。)
それにしても、本当に何者なのだろうか。男の子の瞳はとても綺麗で、……こう、どこまでも広がる海のような青~とか雲一つ無い晴天の空のような青~とかじゃなくて、透き通るような…ほんのり青?みたいな…。兎に角綺麗な色に変わりはない。(透明なマニキュアみたい……。)スタイルもよく、顔も小さい。(モ、モデルさんだ……。)
男の子はthe外国人って感じの見た目だ。そして何よりも顔がいい。顔が。そんなことはどうでもいいだろう。(あなたは一体何者なの…?ここはどこ?私は…死んだの…??)私は姿勢を正し、真剣に男の子を真っ直ぐ見つめ質問した。
「えっとね。まず、自己紹介からしようかな。僕の名前はペスト。ペスト=アザンディーティだよ。僕は神様なんだ。」(か、神様だったの…?!)その途端、私の顔はブルーベリーのように真っ青になっていただろう。だって私はさっきから神様の髪の毛を触りたい、頭を撫でたいなどと無礼なことを考えていたのだから…。「大丈夫だよ。そんなに気負わなくても。むしろ僕は嬉しいし。確かに人間と神の格差は大切だと思うけれど僕はそういうの煩わしくって。だからなるべく同じ目線で物事を話したいんだ。」(な、なるほど…)案外フランクなんだな…。
(あれ、そういえば何で私の考えてることが解るの…?私さっきから何も話してないと思うのだけれど…。)「ああ。そこはあれだよ。神様だからね。君と意思疎通?的な感じで君の考えてることが解るんだ。だって君、この空間じゃまともに声、出せないだろ?」私は口を開き話してみる。しかしゴポゴポと音をたてながら泡が出るぐらいで、腹の底から声を出しても一切聞き取れなかった。(ほ、本当だ…声が出ない…。)
「そそそ。まぁこの話はこのぐらいにしておいて。それで本題に入るんだけど…。」(は、はい…)私は唾を飲み込んだ。ゴクリと音が響き渡る。体が強張るのを感じた。まぁ、神様とマンツーマンで話しているのだから緊張するくらいのことは解ってほしい。「そう強張らなくていいよ。リラックスしてね暦 鈴菓さん。ここはね、ルームって空間なんだ。ルームっていうのは僕たち神々が自分でいつでも好きなように作り使うことのできる空間なんだ。簡単に言うとアプリゲームでよくあるルーム作成とかのルームと同じだね。」ルーム…なるほど…。って、え?
(ま、待って…何で私の名前知っているの?!私まだ名乗ってない…)「んー。さっきも話したと思うけど、神様だからね。君たちには一人一人リストがあって、それを僕たちが保管・管理をしているんだ。それに僕はね、ずっと君を見ていたんだ。」
……神様にはプライバシーやプライベートというものが存在しないのだろうか。(というか、私を…?どうして…?だって私、確かに助けは求めてたし願ってたし祈ってたけど、こんなちんちくりんでましてや目立ちもしないしどこにでもいるような人間だよ…??)
うぅ…。自分で言ってて悲しくなるし、心が痛い…。
「……何言ってるの。僕は"君"だから見てたんだ。」……どういうことだろう。(私だから…?)「そう。僕は君や君のような実親から暴力を受け逃げ場の無い人間たちを救う神様なんだ。」(え…こどもって…私子供じゃないけど…だってもう17歳だし…あと1年で22時過ぎてもゲームセンターに入り浸れるし……。)
「うーん…。えっとね、君たち人間は僕たち神からしたら子供のようなものなんだ。僕こう見えて18629歳だし。……ま、子供ってより米粒みたいなもんだけど。(ボソッ)」(最後何か聞き捨てなら無いことが聞こえたような……)こ、米粒って…。ペストは優しいのか優しくないのかわからないな…。
「だから君がおしめを交換してもらってるときだってちゃあんと見てたよ?あの時、本当に可愛かったなぁ。特にトイレをしておしめの中が気持ち悪くて号泣してて…でも君の実親は何で泣いているのか解らなくて。気づいた時には君のお尻はベッタベタで。本当に見てて愛おしかったよ。」(ひっ………)
何故かペストは頬を少し赤らめうっとりして懐かしむように話していた。神様は変わった性癖をお持ちなのかも知れない…。
「ま、そんなことはさておき。君にとって残念かどうかはわからないけれど、死んではいないんだ。」ドクンッ………。
心臓が酷く脈をうった。死んでない…?じゃあ私はまたあの天井を見てまたあの日々を送らなきゃいけないの…?!
嫌だ…嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だっ…!!!!!やっぱり嘘だったんだ…。助けてくれるって…声に答えてくれたって…っ!!
(嫌だ…わ、私…もうあそこには…)私は自分を守るかのようにその場にしゃがみこみ、耳に手をあてて丸まった。全身の震えが止まらない。耳鳴りがする。吐き気がする。気持ちが悪い。血の気が一気に引いたようだ。呼吸ができない…苦しい…。涙がみっともなく溢れでる。恐怖に支配される感覚がある。
「鈴菓ちゃん。落ち着いて。大丈夫。君をあの場所には戻したりしない。」ペストは私の前にしゃがみこみ優しく私に腕を回した。まるで泣きじゃくって聞き分けの無い子供をあやすように。優しく背中を擦り、頭を撫でてくれた。
(戻らなくてもいいの…?あの場所に…だって私…死んでないんでしょ…?)ギュッ…と手に力が入る。手のひらに爪が食い込むほどに。すると、ペストは私を落ち着かせるようにゆっくりと口を開いた。
「そうだね。君は死んでいない。今からする僕の話をよく聞くんだ。…あのね鈴菓ちゃん。僕は君を現実逃避させるために君をここへ呼んだんだ。」(げ、現実逃避…?)神様って本当に何でもありなのかな…。それとも私の聞き間違いだろうか。
ペストは私の頭を腫れ物でも扱うかのように優しく撫でながら話を続けた。「そう。現実逃避。でもこれはただの現実逃避じゃない。……君の考え・想い次第では君は死ぬことになる。いわば命懸けの現実逃避だ。」(命がけの現実逃避…?どういうこと…?)よくわからない。ペストは何を言っているのだろう…。「これを見て。」
そう言いペストは私から離れた。隣にに立ち腕を軽く上げた。するとテレビ画面のようなものがでてきた。(ゲームみたい…すごい…。)その技術に感心していたが、よく見ているとそこに写っていたのは私自身だった。
(私…?何で私がこの画面の中にいるの…っ?!だって私、今ペストの隣にいるよ…?!)「うん。そうだね。これは現実世界での君。君は気絶したあと病院に運ばれたんだ。君の実親が君の吐血の量・息の薄さ・体の先から冷たくなっていくのに恐れて。君の死に恐れてね。そして君はずっと眠り続けている。」
画面に写っている私は病院のベッドで眠っていた。何やら大がかりな機械をつけられ体のあちこちには包帯がぐるぐる巻きに巻かれていた。
「今僕の隣にいる君は、君の意識だ。意識だけで今君は体を維持している。」(意識だけで体を…?って、ちょっと待って。今って気絶してどれぐらいたっているの…?私は一体何日眠り続けているの…?)「君はかれこれ3日間眠り続けているね。」(3日間…?!)私はびっくりして目を見開いた。
「うん。3日間。ただ、君の実親は刑務所行きを恐れて無罪を主張しているみたいだけど。」ペストが軽く画面をスワイプするとそこにはみっともなく大泣きし鼻水や唾液をたらしながら警察にしがみつき無罪を主張する実親たちの姿があった。
「ほんとみっともない。こんなのは人間じゃないし僕たち神々の人間じゃない。こんなのは悪魔の人間だ。」(ペスト…?)怖かった。実親ではなく別のものを見ているようだ。目に光は無く、まるで恨みや憎しみを宿したような瞳だった。彼の過去には何があったのだろうか……。心配そうに見ている私に気づいたのかペストはさっきのペストに戻りこちらに向き直った。「いいかい。君はね今、ある病にかかっている。」(や、病…?どう見ても交通事故にあったり崖から落ちて運ばれてきた人みたいだけど…)
「こーら。そーやって話を脱線させようとしない。まぁ、確かにそう見えるとは思うけど…。最後まで僕の話ちゃあんと聞くの。」ペストは人差し指を私の唇に押しあてた。(うっ………。単に気になっただけで脱線させようとは思ってなかったのだけれど…。)たぶん結果は脱線するのだろう。そしてペストは押しあてた人差し指をそっと離した。
「ごほん。それでね。その病というのは"フローズンドリーム"っていうんだ。通称"凍結の夢"。」(凍…結…?)「そ。凍結の夢。まぁ、どういう病かというと、君の意識を異世界に移行するんだ。」(意識を…?異世界に…?)「意識だけで今のように体も実現されて、そのまま移行されるんだ。移行している間、君は眠り続ける。簡単に言えばコールドスリープのようなものかな。期間は最低5年間。つまり5年間の現実逃避は約束されているって訳。……でも問題がいくつかあるんだ。」5年間もあの場所に戻らなくていいなんて…でも逆に考えれば5年間立てばあの場所に戻らなければならないのか…。私は嬉しいような悲しいような何とも言えない複雑な気持ちになった。
(それはそうと、そのいくつかの問題っていうのは?)少し、ペストの顔が歪んだ気がした。
「うん。まず1つめ。"フローズンドリーム"は5年間~30年間の間しか現実逃避できないということ。30年間を過ぎれば異世界での君の体は透き通りやがて消える。現実世界での君の体は凍結が始まり最終的には全身が凍結しやがて砕けてなにも残らず消えてしまう。」体が…凍結…。今はこんなにも暖かく、動くのに…。(どちらにしろ消えてしまうのね…)
「うん。2つめは君の精神状態次第で何年間こちらにいようが関係なく死ぬ。この件に関しては異世界というより現実世界での君の体が君の精神状態に耐えられず凍結し砕けて死ぬという感じかな。」……何でも凍結して砕けて死ぬのがセオリーなのかなここは。異世界だろうが何か思い悩むことがあると現実世界の私にも響くってことか。
「3つめ。これで最後だよ。異世界で自殺した場合、君は死神のもとへ行くことになる。もちろん現実世界の体は凍結され砕けて死ぬ。そこから先どうなるかは僕にもわからない。死神の管轄だからね。そうなってしまうと僕も救いようがない。」私は信じられなかった。異世界でもそんなことが存在するのか…。(異世界に来てまで自殺する人もいるんだね…。)
「残念ながら。現実世界ではおろか、異世界でもやっていけなくなり自殺をはかり死神のもとへ行く人間たちは何人も見てきた。君は…そうならないでね。絶対だよ…?」
ペストはとても悲しそうに見つめてきた。今にでも泣き出しそうなぐらい。掠れた声で。ペストは何人ものと言っているがきっと何百、何千人と見てきたのだろう。胸がきゅっと締め付けられるような感覚がした。
「あ、でも安心してね。君が異世界で殺された場合はちゃあんと僕のもとに戻ってくるから。その場合は体は凍結せずそのまんまだよ。そこから君はまた別の世界へ行くか、同じ世界でやり直すか、目を覚ますか選べるんだ。」私が辛気臭い顔をしていたのかペストはニッコリと微笑み私の頭をぽんぽんしてくれた。
「君は本当に優しい子だね。異世界に行かずにこのまま僕のそばに置くのも悪くないのにね………。」ペストは私の頭においていた自身の手で私の顔を包み込んだ。その時のペストの手は怖いぐらい暖かくて優しかった。(ぺ、ペスト…あの…私っ……。)「そしたら僕が可愛がって一生大事にしてあげるのに…」
その目は本気かどうかはわからない。どこまでも真剣な眼差し。でも、ものすごくドキドキする。周りから見たら中学生ぐらいの男の子に女子高生が口説かれてる絵面だろうか。誰も見てないけど。私はどうすればいいのか解らず、わたわたと一人で混乱していた。
すると「………なーんてね。顔、真っ赤だよ。ふふふっ。君は本当に純粋なんだね。ま、そんな君だからこそ僕も救いたいって思ったんだけどね。」と言い顔から手を離した。少し、それが寂しい気がした。(って……。ま、また遊ばれた…。)私は恥ずかしくなり頬に手を添えた。
気になることが一つある。(そういえば……ねぇペスト。最初、救うのが遅くなったって言ってたけど、何してたの?他の神様はやっぱり私のこと放置してたの?)ペストの顔が苦々しい物を食べたかのように歪んだ。少しの沈黙があった。1分前後ぐらいの。そしてゆっくりと、ためらうかのように…すこし震えながらペストは口を開いた。
「僕も他の神々も放置はしてないんだ…僕が一人前になってなくて…やっと一人前になったから君をここに呼んだんだ……それに、君がここまでになってしまったのは少なからず僕たち神々の責任でもあるからね。」ペストたち神々の責任…?一体なにがあったのだろうか。ペストの瞳は私の実親を見ていたときのように光を失っていた。
しかし、その時とは別のようにも感じた。今のペストの瞳には自らが許せない悔しさ、後悔などが宿っているように見えた。(え……?どういうこと……?)
「あのね鈴菓ちゃん。君が毎日死にかけていたのは………」
ビビーーーーーーーッ。急に甲高い音が鳴り響いた。エラーでもあったのだろうか。あまりにも大きな音だったものだから心臓が跳ね返るようだった。(?!?!なに?!なに?!なんなの?!)混乱している私とは別にペストは冷静にまた画面のようなものをだしコマンドを開いていた。どうやら先程の音の原因の確認をしているようだ。私も画面を覗き混むが、まったく文字が理解できなかった。
(へ、蛇みたいな文字みたいなのがいっぱい……。)そういえば、ごく自然に横から覗き混んでいるがペストが怒る気配が無い。普通は、こう……機密事項だから見るなっ!!とか嫌がったり、無礼だっ!!とかでどっか飛ばされそうだけど。本当にフランクなんだなぁ……。
「ん?どうして怒らないのかって顔してるね。まぁ、確かに機密事項っちゃ機密事項だし、あまり見られたくはないけれど……君、理解できないだろ?だから大丈夫かなって。」なるほど…。さらっとしているけど、何か複雑だなぁ…。
「あ、ごめんね。さっきの音、びっくりしちゃったでしょ。後がつっかえてるみたいだからそのお知らせみたいなものかな。また今度お話しようね。………僕も君には大切な話があるし。(ボソッ)」(え……?大切な話…?それって……。)
その瞬間、私の足元に魔方陣が開かれた。そこからフツフツと細かい光が頭上へ向かって飛んでいった。そして段々と激しい光に飲み込まれていった。(ま、待ってペスト……私はまだ聞きたいことが……………っ!!)
手を伸ばすけれど、ペストには届かなかった。
「それじゃ、またね。鈴菓ちゃん。元気でね~。」微かに見えたペストは手を振っていた。どんな顔をしていたかは解らなかったけれど……………………。
お帰りなさいませ。
【凍結の恋愛話】第1話「恋愛話のプロローグ」を読んでいただきありがとうございます。
前書きでも書きましたがものすごく長かったですよね…。
自分でも気がついたら妄想が爆発していて…(笑)
こんなに長くなってしまったけど、それでも自分の書きたかったことが書けてよかったと思っています。
ありきたりな話かも知れませんが、次回更新も楽しみにしていただければ幸いです。
ではでは!